道路構造物ジャーナルNET

現状での集大成

津波と構造物――今年の5月末に報告書を出版

九州工業大学
工学部 教授

幸左 賢二 氏

公開日:2015.03.28

幅員狭い鉄道橋はほとんどが流失

 幸左 まず、幅員の狭い鉄道橋はほとんどが流出しています。また、桁高が高いと波の影響を受けて流出しやすく、逆に桁高が低く橋梁幅が大きいものほど流出しにくくなっています。また、コンクリートと鋼では比重が重いコンクリートの方が流出していません。
 ――同じ河川にかかる橋梁でも流失しなかった橋と流失した橋がありました。中途半端に桁下にクリアランスがある橋が流れ、逆にクリアランスが極端に小さい橋は流れなかった個所もありました。調査結果ではどのように判断していますか
 幸左 まず水門がある個所では津波に抵抗し川に水が流れ込むことを多少なりといえども防いだことが分かっています。また小さな河川は、津波が川に沿って遡上しなかったものと考えられることが映像や形跡から分かっています。例えば南三陸町の志津川には市内中心を流れる八幡川という小河川がありますが、多くの橋梁が流出を免れていました。

段波ではなく定常波
 洪水のように押し流された橋梁

 ――津波は川を遡上しなかったのですか
 幸左 小さな川では遡上しなかったケースもあったと考えています。むしろ面的に多方面から津波は遡上していったケースもあったと考えています。また津波の特性ですが段波ではなく定常波であったと考えています。
 ――段波ではなかったのですか。それでは桁の流出はクリアランス下からの急速な浮力が主因ではなくむしろ洪水のように押し流されたことが主因であるということですか
 幸左 そうです。段波は精々2~3㍍程度しかなく、橋梁流出の主原因とは言い難いと考えています。洪水のように少しずつ水位があがり、構造物を押し流していったのだと考えています。少なくとも我々が分析した20~30箇所については、そうした結果が出ています。もちろん地形が複雑で反射波がでるような箇所ではもう少し高い段波が出ていたことも考えられるでしょう。歌津などはその例である可能性があります。


                           図-1 気仙川を遡上する津波の全体形状

     水理実験設備の全体像                   非砕波状の波が桁に作用するケース

          砕波状の波が桁に作用するケース

耐震補強を援用して津波に備える

 ――分析データを下に津波を考慮して、今後橋梁をどの用に建設、もしくは補強していけばよいのでしょうか
 幸左 耐震補強と同様の設備で良いと考えています。すなわち落橋防止装置、せん断キー、上揚力防止機構の設置などです。即ち津波の力よりも上回る耐力を持つようにするだけで良いのです。もちろん桁下クリアランスを大きくして津波の影響を物理的に受けなくすることは最良の方法ですがその分橋脚を高く、橋長を長くしなくてはならずコストプッシュも莫大なものになります。前者の手法を採用すれば、コスト増は最大でも2割を超えることはありません。「流出することは許されない」という重圧がかかる国土交通省の橋梁などは後者の施策もやむをえないでしょうが、自治体などそうした施策を行う財源が無い機関は前者の手法により復興することも可能であると提案できます。ただしあくまで提案であり、決定は行政の判断です。
 ――ありがとうございました

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