道路構造物ジャーナルNET

事業期間はおおむね15年を想定

大規模更新・大規模修繕は約3700億円

阪神高速道路株式会社
参与

西岡 敬治

公開日:2015.02.01

 ミストブラストや塗膜剥離剤を試験施工

 ――塗装で一つ質問ですが、鉛・クロム含有塗膜を除去する際に阪神高速道路ではどのような対応を考えておられますか
 西岡 ミストブラストや桁湿潤によるブラストなどブラスト工法、剥離剤+2種ケレンなどの試験施工を実施している最中です。今後これらの結果を見ながら方針を決定する予定です。


        ミストブラストや桁湿潤によるブラスト、塗膜剥離剤などを試験的に施工している

 ――耐候性鋼橋の損傷は
 西岡 北神戸線、神戸線、京都線で使用しており、北神戸線の一部で損傷が生じています。新設路線である京都線は以前の知見を基に当社独自のマニュアルを作っており水回り設備の徹底や桁端部塗装の塗装を施した上で耐候性鋼橋を採用しています。神戸線と湾岸線は交通量が多いこともあり鋼橋において疲労による損傷が特徴的であると言えます。

 耐震補強は完了

 ――耐震補強の進捗状況は
 西岡 1月17日に阪神・淡路大震災から20年を迎えました。道路の中で犠牲者を出したのは非常に残念ですが阪神高速道路だけでした。あの当時から非常に真摯にその事実を受け止めており、不通路線の復旧はもちろん、既設高架・橋梁の耐震補強に非常に真剣に取り組んでまいりました。平成7年に出た復旧仕様や平成8年道路橋示方書に我々の知見が取り入れてもらえたと自負もしています。
 現在は少なくとも阪神・淡路大震災レベルの大地震が来ても落橋だとか、倒壊だとか致命的損傷になる事態は避けることができると考えています。 
 ――東日本大震災では、地盤の液状化による基礎の損傷が建築構造物でおきました。阪神高速道路は湾岸部にも高架・橋梁を保持していますが、そうした個所の基礎の健全性はどのように考えていますか
 西岡 当時、地震後に湾岸線の高架・橋梁の基礎も一部で調査しており、損傷はほとんどありませんでした。そんなに心配はしていません。しかし、壊れた事例もあったことは確かです。それは液状化や、側方流動による損傷が理由です。そうした個所については今後も新たな知見を取り入れて対応していく方針です。

 ドクターパトなど新技術も積極採用

 ――活用している新技術について
 西岡 点検技術では3次元スキャナーを使った非破壊検査手法や床版や舗装の状況を規制を伴わず車上からある程度把握できる「ドクターパト」などがあります。また、特殊高所技術による橋梁点検も取り入れています。


                                           ドクターパト

 鋼管集成橋脚を犠牲橋脚に

 ――拡幅中の西船場付近の工事概要を教えてください
 西岡 西船場ジャンクションは大阪港線と環状線を結ぶジャンクションで大阪港線の拡幅(約800㍍)と環状線の拡幅(約710㍍)、そしてそれらを結ぶ信濃橋渡り(約180㍍)から構成されます。桁形式は既存桁に併せすべて鋼桁となっています。環状線側は用地を確保しRC橋脚を建設しますが、大阪港線側は拡幅部に橋脚を設置することが困難であり、従来のRC橋脚の梁を改築することで対応します。ここでユニークなのは、地震時の水平力に対して既存のRC橋脚だけでは性能を満足しないことから、地震力だけ分担する犠牲橋脚を設置する予定です。


              西船場付近の拡幅

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