道路構造物ジャーナルNET

防錆対策、床組耐疲労、床組連続化を検討

関門橋の長寿命化シナリオを整備

九州大学
教授

日野 伸一 氏

公開日:2014.11.01

 上フランジにフィレット
 板厚19㍉のリブプレート

 ――床組耐疲労WGは。
 日野 九州大学の貝沼重信准教授がWG長を務めました。支承周りのリブプレートの取替と現在の鋼製の線支承から橋軸、橋軸直角方向両方に対応できるBP-B支承に全て交換することを決めています。なお支承の防食は基本的に亜鉛溶射仕様になります。上の床組構造は基本的に連結するため、上部からの漏水の影響も大きく軽減されます。


                       取り替え前のリブプレート(左)とFEM解析(右) 

 ――現状はどのような損傷が生じているのですか。
 日野 床組みの外桁と中桁の支点部補剛材が横方向に拘束されてしまい、大きな応力集中が起こってしまって、大きなひび割れがリブプレート溶接部に軒並み出ている状況です。その応力集中を緩和するため、溶接部にストップホールを明けたりしましたが今一つうまくいかなかったため、最終的には上フランジのところにフィレットをつけた形の板厚19㍉のリブプレートに取り替える方法を採用しました。もう少し具体的にいうと、疲労寿命が短かった上端回し溶接部に応力緩和のためにフィレットを設けます。疲労亀裂が予想される部位以外は溶接変形量を抑制するために部分溶け込みで溶接する。強度は100N/平方㍉を確保します。それによって横拘束などが生じても疲労損傷が起きないようにしています。その確認のためにFEM解析による検証も行っています。
 当初の試験施工では、半円孔付リブプレートも試しましたが上手くいかず、フィレット付きの採用になりました。今後も該当部分の一部にはゲージを設けて、追跡調査を行っていきます。耐疲労に関しては、後はBP-B支承を使って沓周りのリブプレートは以上のように取り替えることで、耐疲労ワーキングとしての一応の使命は終わりました。


                     取り替え後のリブプレート(左)とFEM解析(右)

 ゴム支承のすべり材は変更を検討
 止水ゴムの品質も定める

 ――支承の取り換えについては。
 日野 現場はBP-B支承のすべり材の摺動による摩耗が激しくなることを予想しています。
 そのため荷重支持部材の耐摩耗性と摩擦特性を試験することを義務付けました。
 例えばゴム支承のすべり材も現在の充填剤入りPTFEからポリアミドか繊維強化型熱硬化樹脂に変更を検討しています。また、主成分の定性はゴム支承における管理(天然ゴムか合成ゴムかの確認)であるポリマー定性手法と同様に主成分の固同定を実施しました。具体的にはIR分析(赤外線光分析法)により対象材料のスペクトルを計測し、標準スペクトルと比較を行い異常がないことを確認します。品質管理頻度は1年に1回を想定しています。
 また、過去の損傷事例を基にBP-B支承の止水ゴムの品質も定めました。継ぎ目部の千切れ対策として接合強度を向上させるためクロロプレンゴムを採用しています。
 BP-B支承への取り替えは床組構造およびその上の床版を連結させた後に合わせて行います。交換後は各支承部とも2個所から1個所になります。
 床版の連続化もやっていくのですが、連続化するというのは床版同士を連結しなければいけない、グレーチング床版を使っているわけですが、当然、つなぎ目はIビームが切れていて、床版は連続化していないので、それも床組構造と同様連続化させなくてはなりません。当然連続化すべき箇所のコンクリートをはつって、アイビームにジョイントを跨ぐように鉄筋を入れて、力を伝達できる構造にして、再度コンクリートを打設する作業が必要です。

 3つの径間に集約
 ジョイント部の対応が課題

 ――床組連続化WGはどのような点を議論し、決定しましたか。
 日野 WG長は熊本大学の松田泰治教授が務めています。
 関門橋は現在40㍍毎にジョイントがある床組構造ですが、これをどこまで連続するかという検討、解析を行いました。その結果、主塔間および両側径間に集約して連続化するという結論を出しました。
 ただし、耐震検討を行うと、地震時の変位量が許容できないということで、その対策として橋台と主塔部にダンパーと固定ケーブルをつけてアンカレイジまたは主塔と補剛桁の間をつなぐことで地震時の変位を吸収させる補強が必要になります。加えて主塔も縦リブの補強が必要になります。
 また、連続化した個所のジョイントも課題です。関門橋のジョイントはミシガン州の五大湖を跨ぐ個所にかかるマキナック橋のジョイント構造を参考にして製作されたと聞いています。供用後40年を経過しており、タワーおよび橋台部近傍の(連続化後もジョイント構造が残る)既存の大型の鋼製伸縮装置で異音や段差が発生していますので、その対応が課題です。部分的な解体、清掃と部品交換で済ますか、あるいは全面取り換えを行うか、その辺は今後の検討課題です。
 ――ありがとうございました

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