道路構造物ジャーナルNET

設計要領などを改訂

24年道示に合わせ耐震設計法などに対応

高速道路総合技術研究所(NEXCO総研)
道路研究部 橋梁研究室長

青木 圭一

公開日:2014.10.01

金属溶射を正式に掲載
JISで定められた材料を想定

 ――防食面では
 青木 設計要領第二集に金属溶射仕様を追記しました。C-5系の重防食塗装に比べて、長期耐久性が期待できる金属溶射の採用が建設・保全ともに増えている現状を反映したものです。
 基本的にJISで定められている材料を用いた溶射工法を想定しています。現在、実地暴露試験を続けており、その実験結果を基に来年度以降、細目を定めていきたいと考えています。
 ――次に高性能床版防水に関しては技術的な変更はあるのでしょうか。
 青木 高性能床版防水工については、昨年度定めたとおりで変更はありません。
 低温施工となる場合とそれ以外の条件に区分し、材料試験を実施することとしました。
 低温施工となる場合は、同じことが2度と生じないように施策しています。防水層的に一番厳しい温度条件を考慮したもので、まず床版温度は0℃、アスファルト舗装合材の初期温度は110℃に設定し、引張接着試験(-10℃、-30℃の低温化の試験も行う)などで確認させます。試験に合格したものしか、冬季および低温時では使用できないようになっています。


 ――防水層と床版との間の安定した接着性能の品質に必要な床版表層の含水率の更なる精度向上も図っていますね。
 青木 コンクリート床版表面の含水率をより正確に計測できるよう、従来の高周波容量式水分計から電気抵抗式水分計を採用しています。
 測定原理に床版表面の凹凸の影響の少ない電気抵抗を測定することが大きな特徴で、コンクリート床版表面の水分含有量によって電気抵抗が変化することを利用しています。
電気抵抗式水分計「HI-100」
 測定端子に導電ゴム製のセンサを用いていますので、少々の不陸でも凹凸表面に確実に密着し、正確な計測が可能になっています。

骨材の粒径にばらつきを与える
より確実な舗装・防水層間の接着を企図

 ――現在橋梁部の舗装の基層に用いているSMA(砕石マスチックアスファルト)は防水層との接着層が点接着的になってしまい設計時に想定している接着面積より実際は少なくなるため、接着性を弱めているという指摘もあります。実際に新東名では僅かですがそうした事例も生じていました。これについてはどのように対応していますか
 青木 SMAが全て悪いということではなく、確実に施工され、その性能を発揮している個所もあります。ただ、実際SMAはポーラスな構造ですから、施工状況によってはご指摘の通り、防水層に対して点接着的になり、設計で想定していた通りにならないという可能性もあります。舗装研究室を中心に、SMAの骨材を現在の均一な粒径ではなく、粒径にばらつきを与えることで、点接着を防ぎ、より面的な接着が確実になるよう研究を進めています。
 面的な接着がどうして必要かというと、キャビティ(空気層)があればあるほどそこに水がたまり、それが悪さをして接着界面を切ってしまうからです。
 ――粒径にばらつきを与えるということですが、既存のアスファルトフィニッシャーの性質上、骨材は細かい粒径から散布されがちで期待される効果を出すのは難しいとの指摘もあります。
 青木 そうした指摘は承知しています。現在進めている研究では、材料面だけでなく、施工機械も含めて面接着が確実になるよう研究しています。

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