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桁長は82m、重量は約1,300tにおよぶ

首都高速道路 高速大師橋更新事業 P4~P5径間の鋼床版箱桁ブロックを台船架設

公開日:2022.05.16

 首都高速道路は15日未明、多摩川に架かる首都高速1号線・高速大師橋でP4~P5径間の新設桁を橋桁移動設備に架設した。同桁(鋼床版箱桁ブロック)は長さ82m、幅18m、重量約1,300tにおよび、大型台船(第二空海丸(最大載荷重量5,156t))に載荷して、運搬・架設を行った。

 浜出しは東京都江東区有明の鉄鋼埠頭で、起重機船「武蔵」(定格荷重3,700t)を用いて9日に行っている。架設桁は台船に対して直角に積載したが、これはP4~P5径間の支間長が約80mで、台船の船長が約75mであることから、台船が縦に架設位置に進入しなければならないためだ。


架設桁は台船に対して直角に積載している

 台船は12日朝に多摩川最下流に架かる多摩川スカイブリッジを通過した。同橋近接部にスペーサー台船を設置し、同橋橋脚との離隔を物理的に確保した上で、アンカーと台船をワイヤーロープで繋ぎウィンチで操作しながら同橋下を移動した。同橋桁下と架設桁の離隔はわずか1mほどだったと言う。同日午後には高速大師橋下流側の係留杭設置箇所まで曳航を行った。


多摩川スカイブリッジの通過方法(首都高速道路提供)


多摩川スカイブリッジ上流側から係留杭設置箇所までの曳航

 14日には首都高速道路による報道陣への現場公開が行われるなかで、係留杭設置位置から架設位置手前までの移動が行われている。ウィンチ操作で上流側の係留杭を軸として反時計回りに台船を約130°回転させた後に、架設位置手前まで台船を進めた。



係留杭設置位置から架設位置手前までの移動

 架設当日の15日は午前2時30分ごろから作業を開始した。潮の干満差を主に利用して架設作業を行うことから、満潮時前後に台船が架設位置に進入できるようにするためだ。台船上に搭載した昇降ジャッキ(スーパーテーブルリフト)により、架設桁を2m弱ジャッキアップした後、午前3時過ぎに架設位置への進入を開始した。スーパーテーブルリフトは、受点4箇所に設置し、1箇所あたり昇降能力300tのものを2台、同250tのものを1台配置した。


台船搭載状況(首都高速道路提供)


ジャッキアップ後、台船が架設位置に進入

 架設位置進入後は、満潮後の潮位低下と台船へのバラスト注水、昇降ジャッキのジャッキダウンにより、架設桁を橋桁移動設備上の架台にタッチさせ、微調整を行いながら慎重に受け手側に荷重を預けていった。午前8時ごろには台船が離脱を開始した。


架設位置進入後、受け手側に荷重を預けていった

台船が離脱/離脱後の状況

 高速大師橋更新事業は、同橋の鋼橋区間(P4~P7の橋長292m、3径間連続鋼床版箱桁橋)を架替えるもので、P5~P6径間の新設桁(長さ132m、重量約1,900t)は4月20日に同じく大型台船による架設が完了している。東京側のP6~P7径間(約74m)は、橋上に設置したトラベラークレーンを用いて順次架設していく。2023年度には約2週間の通行止めを実施しての既設橋移動と新設橋の移動・架設を行い、その後、既設橋の撤去・解体を経て、2025年度に工事完成予定だ。
 施工は、大成・東洋・IHI・横河JV。


手前が架設済みのP5~P6径間

架設ステップ(首都高速道路提供)

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