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台風19号 栃木県の被災現場を巡る

 関東、甲信越、東北を中心に甚大な被害をもたらした台風19号。栃木県でも、10月11日午前0時から13日午前9時の降水量が、奥日光で512mm、鹿沼市375mm、栃木市305mm、佐野市267mm、小山市218mmを記録した。12日24時間では、鹿沼市370mm、佐野市261.5mm、小山市213.5mmなどと、観測地点13箇所で観測史上最大の降水量となり、とくに佐野市、鹿沼市、小山市などでは2015年9月の関東・東北豪雨の降水量を超える豪雨となった。

 この豪雨により栃木県が管理する河川では、永野川(栃木市)、秋山川(佐野市)、荒川(那須烏山市)、思川(鹿沼市)など13河川27箇所が決壊。その他、旗川(佐野市)、小曽戸川(佐野市)、田川(宇都宮市)、湯西川(日光市)、名草川(足利市)など多数の河川で溢水が発生した。栃木県南部の被災現場を取材した。


 11月15日、まず決壊箇所が6箇所と最も多かった永野川に向かった。上流域にある県道199号上永野下永野線は、鹿沼市上永野にある久保田橋が被災したことにより通行止めになっていた。県管理の久保田橋は、1964年に建設された3径間(RC造)の橋長24m、幅員5.5mの2等橋(TL-14)だ。右岸が大きく洗掘され、橋台が沈下して、桁ズレが発生して橋脚上でV字形になっていた。



久保田橋は上流側右岸が大きく洗掘されていた


橋脚のフーチングも沈下して桁ズレ(沈下)が発生


 久保田橋の下流約6kmには、栃木市管理の新田橋、牛落橋、台橋(栃木市星野町)があるが、この3橋も被災していた。新田橋は歩行者用の橋梁だったが、左岸側のパイルベントを残して完全に流失していた。4径間の鋼鈑桁橋である牛落橋は、左岸側3径間が流失していた。牛落橋近くには新田橋の桁が流されてきていた。台橋は4径間でパイルベント橋脚だったが、河川内の橋脚が傾き、桁ズレが発生している。



左岸のパイルベントを残して流失してしまった新田橋



牛落橋は橋脚洗掘により左岸側3径間が流失。下流側には新田橋の桁が流されてきていた


台橋。橋脚が傾いているのが分かる


 永野川から離れ、西側の秋山川へと向かう。秋山川に架かる国道293号の葛生大橋は損傷がなかったが、上流側の左岸が大きく洗掘されていた。



1車線分が洗掘され、通行止めとなっていた


 葛生大橋から県道200号秋山葛尾線を北上し、佐野市豊代町にある常盤橋に到着する。佐野市管理の同橋は1958年建設の7径間鋼鈑桁橋。左岸側の橋台が大きく洗掘されていた。橋脚には大量の流木がからまっていた。


常盤橋。上流側、下流側ともに大きく洗掘されていた


大量の流木がからまっている橋脚


下流側から見た常盤橋

 次に、秋山川の西側を流れる旗川の橋梁を見て回る。佐野市船越町にある室の沢橋は、12径間の荷重制限1tの橋梁で被災はしていなかったが、上部工構造がユニークだった。3主桁だったが、木桁となっており、床版も木製となっていたのだ。橋台、橋脚と木桁は鋼I桁を支承代わりとしていた。



室の沢橋。木桁と木製の床版


 室の沢橋の約1.5km上流にある渡戸橋(佐野市管理)は、新設らしき橋脚があるほかは跡形もなく、今回の台風で完全に流失したのか、架け替えのためにすでに撤去されていたのか判断がつかなかった。ただ、左岸側の橋台が洗掘されていた。



被災したのか、撤去済みだったのか判断がつかなかった渡戸橋


 秋山川の支流で佐野市葛尾東の町中にある小曽戸川の橋梁では、橋台にき裂が発生し通行止めとなっていた。



被害は町中にある小河川にも及んでいた


 秋山川に戻り、県道126号栃木田沼線の佐野市多田町にある安蘇川橋を取材する。同橋は、11径間(RC鈑桁1+鋼鈑桁2+RC鈑桁8)の橋梁で、右岸側RC部の橋脚洗掘により、2径間と3径間の間に桁ズレが発生していた。




安蘇川橋。右岸側で桁ズレが発生


 佐野市から東南方向の小山市の思川に移動する。思川堤防近くの用水路ではカルバートが流失していた。思川に架かる橋長約200mの小宅橋は、仮設橋として住民が使用しているが、中央径間部が流失して通行不能となっていた。



(左)用水路のカルバートも流失(右)通行止めの小宅橋


小宅橋。中央径間部の1径間が流失していた


 最後に訪れたのが佐野市の中心街近くにある秋山川に架かる中橋だ。4径間のコンクリート箱桁橋だが、河川中央の橋脚が流失したことにより、中央径間が崩落していた。




佐野市中心街近くの中橋は中央径間が崩落


 栃木県では県管理の橋梁2橋(久保田橋、安蘇川橋)が被災した。市町では25橋梁の被災申請が県に上がってきているとのことだ(11月13日現在)。

(2019年12月26日掲載 大柴功治、井手迫瑞樹)


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