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-分かっていますか?何が問題なのか- ㉟鋼道路橋の耐久性向上(その2)

これでよいのか専門技術者

(一般財団法人)首都高速道路技術センター
上席研究員
髙木 千太郎 氏

2.防食塗装の耐久性向上について

鋼道路橋の塗装を防食方法として採用した耐久性向上の検討は、疲労亀裂と同様な考え方を基本とし、図‐1の流れに従って行うこととした。



図‐1 耐久性向上検討の流れ(鋼道路橋・腐食)


まず、現在管理している道路橋を防食の観点から区分けしたところ、全体の約4割、486橋で1,598径間が鋼橋であった。次に抽出した鋼道路橋の定期点検結果を再度調べ、30%以上の発錆もしくは断面欠損が生じている橋梁(再防食措置が必要なレベル)を区分けすると、17.7%の86橋がこのレベルに該当した。

ここにあげた防食性能が落ちてきた86橋を腐食原因別に区分けすると、第一位が①伸縮装置遊間からの漏水で61.6%の53橋、第二位が②桁端部の狭隘な箇所(先の遊間からの漏水、湿気こもり等)で23.3%の20橋、第三位が③床版損傷部からの漏水で19.8%の17橋、第四位が④桁下が河川や運河で、飛沫水や飛沫海水を浴びる及び湿度が高いで11.6%の10橋、第五位が⑤維持管理困難環境(鉄道、店舗等の桁下条件で塗り替え困難)で8.1%の7橋、第六位が⑥排水装置損傷部(縦引き、横引き排水管の損傷)からの漏水で2.3%の2橋となった。

①から⑥までを見て、総数が合っていないのではないか、と疑問を抱く方もあると思う。ここでその理由を述べると、腐食原因としてここに示した数、パーセントは、原因が重複している数をそのまま計上したので総数としては合致しない。①から⑥の腐食原因を確認し、改善することが可能な場合と非常に困難な場合の二分してみた。

腐食原因の改善が比較的な容易と考えられるのは、①の伸縮装置遊間からの漏水、③の床版損傷部からの漏水、④の桁下が河川や運河、⑥の排水装置損傷部からの漏水である。次に腐食原因の改善が困難なのは、下部構造等を含め大きな改良が伴う②の桁端部の狭隘な空間、⑤の維持管理困難環境(跨線橋の場合、終電後の線路閉鎖、起電停止後から始発までの23時間が維持管理作業時間)となる。

ここに示した区分けにおいて、④も改善が困難ではとお思いの方も数多くいるとは思う。私は、敢えて④は改善策実施が可能な環境と判断した。その理由は、15m以下の小橋梁(国内管理橋の半数以上が該当)も含めるとニーズが多大にあるので、当然我々技術者が持てるシーズを活用し、関連企業に利益を生むと判断、比較的改善が容易のグループとした。この真意は、この後の記述を呼んでもらいたい。

以上の6つに分類した腐食について、道路橋においてどのような箇所かイメージしやすくなるように一覧図としたのが図‐2である。鋼道路橋、鋼部材等の知識が無い人でも、腐食(防食機能の劣化、断面欠損)が分かり易い様に区分けし、表示したので参考にされるとよい。



図‐2 重大損傷に繋がる要注意箇所(鋼道路橋・腐食)


それでは分類別に、腐食原因を改善する対策にどのような方法が考えられるかについて事例を示して具体的に説明しよう。まずは、腐食原因の改善が比較的容易な場合である。

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