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インタビュー詳細

食と観光の後志を道路で有機的につなぎ「世界」と結ぶ

2020年新春インタビュー 北海道開発局小樽開発建設部 倶知安余市道路を全面展開

国土交通省北海道開発局
小樽開発建設部長
渡邊 政義 氏

 国土交通省北海道開発局小樽開発建設部が所管する後志地方は、北海道でも有数の食と観光が盛んなエリアだ。倶知安を中心とした地域はリゾートとして世界的にも名高く、仁木町などはブドウの栽培が盛んでワイナリーが軒を連ねる。余市のニッカウヰスキーは、以前から著名だったが、NHKの朝の連続ドラマ『マッサン』が火をつけ、今もそのブームは衰えない。そうした勢いを更に後押ししようとしているのが、現在建設中の倶知安余市道路と北海道新幹線だ。渡邊政義小樽開発建設部長に取材し、倶知安余市道路の整備事業を中心に海岸部道路の防災対策や維持管理上の話題を合わせて詳細を聞いた。(井手迫瑞樹)


20の自治体に跨る地域を所管

 橋梁は293橋、トンネルは64箇所を管理

 ――管内の地勢的特徴と道路の整備方針および構造物の整備の考え方について

 渡邊 北海道開発局管内は10の地方に区分けされており、小樽開発建設部は、そのうち後志(しりべし)地方を管轄しています(右、管内地図、小樽開発建設公表資料及び、提供資料より抜粋、以下注釈無きは同)。後志地方は全部で20の自治体(1市13町6村)が属しており、面積(4305.84km2)は東京都の約2倍に達します。国道は6路線490kmを所管しています。その中に構造物は橋が293橋(延長11.9km)、トンネルが63箇所(延長53.8km)あります。

 後志地方の中心都市である小樽は札幌から40kⅿという至近にあり観光が盛んです。江戸時代、小樽は北前船の蝦夷地側の玄関口であり、明治期は開拓と原料積み出しの港でした。最盛期には全国から20を超える金融機関が小樽に支店を出していました。現在はその遺構が歴史的建物物群として観光にうまく使われています。さらに札幌圏域だけでなく、函館を中心とする道南地域、室蘭・苫小牧といった胆振地方、という3つの圏域に接しており、地理的にも恵まれています。

 後志地方の魅力は小樽だけではありません。最近では昨年10月25,26の両日に管内の倶知安町でG20の観光大臣会合が開かれました。倶知安町も含めたニセコエリアはインバウンドを含む観光リゾートとして、ホテル・コンドミニアムの建設投資も盛んであり、注目度の高さがうかがえます。

 北海道新幹線の整備もJRTTによって進められておりますが、その路線は道南から後志管内を伝って札幌に向かうルートであります。後で説明する倶知安余市道路も併せて、今、後志地区は日本でも指折りの交通インフラへの公共投資が成されている地域といえるのではないでしょうか。

 後志は、酒造業や農業も盛んです。NHK朝の連続ドラマ「マッサン」で有名になった余市のニッカウヰスキーは知らない人はいらっしゃらないでしょう。また仁木ではブドウ栽培やそれを原料としたワインの生産も多くなり、ワインを素材にしたツーリズムも始まっています。

 これらの動きの背景として、4年前に策定した北海道総合開発計画では、北海道の「食と観光」を比較優位のある戦略的産業と位置付け、それらを生産する空間を守り育てるために、道路など社会基盤整備を進めることで「世界の北海道」を実現させるとしています。小樽・後志地区は北海道の中でも食と観光の生産空間の代表的な地域であり、社会基盤整備には大きな蓋然性があります。そして、こうした地域産業に従事される方々が安全・安心して住めるように、防災の視点に加えて、医療機関へのアクセスが容易にできるための移動ツールとしても、道路整備の意味があると考えます。

 また、無電柱化の取組みを小樽、余市、倶知安などで行っています。観光地の景観性を向上させることと、災害時における倒壊リスクを減らす施策として取り組んでいるものです。

 このように様々な基盤整備を通じて、「世界の後志」の実現に向けて頑張っていきます。


倶知安余市道路 全長39.1kmの高規格幹線道路

 構造物比率は橋梁が7.2km、トンネルが8.9km

 ――倶知安余市道路の進捗状況は

 渡邊 余市IC~倶知安ICまでを高規格幹線道路として整備する全延長約39.1kmの道路事業(右概要図)です。高速道路としてできるだけ沢山利用していただくため、ICは余市、仁木、仁木南、共和、倶知安の5つを整備します。例えば共和ICは港町である岩内町とのアクセス強化が大きく期待されています。また、倶知安IC出口は今回のG20観光大臣会合の行われた花園地区に接続する計画になっています。インターチェンジ直結のリゾートとして、ホテルやコンドミニアム開発が一層進むはずです。倶知安には新幹線の新駅もできますから、高速道路と新幹線を併せた高速交通の大動脈が整います。

 ――構造物比率は

 渡邊 構造物延長は16.1kmです。橋梁が約7.2km、トンネルが8.9kmとなっています。ただし、トンネルは新稲穂トンネルがLR2本(3.8km)のセパレートトンネルとなります。

 ――橋長が一番長い橋は

 渡邊 銀山大橋の565mが最も長く、次いで第2バンノ沢川橋(7径間連続ラーメン箱桁橋)となります。100m以上の長大橋は28橋に達します。

 ――今年度施工中の橋梁およびトンネルは

 渡邊 施工中は6橋、トンネルは新稲穂トンネルのR側です。

 橋梁は島付内川4号橋と銀山大橋、余市川橋、モンガク橋、黒川1号橋、登川大橋の6橋です。

 ――島付内川4号橋の進捗状況は

 渡邊 橋長22.8mの単純PCプレテン中空床版橋です。現在は橋台の施工を進めています。

 ――銀山大橋は

 渡邊 橋長565mの9径間連続鋼3主鈑桁橋(合成床版)です。こちらも下部工を施工中です。基礎は場所打ち杭および直接基礎を採用しています。基礎は長くても13m程度です。ピア高は最高で30mを超えており、比較的高くなっていますが、建設は全てオールステージングでの施工としています。下部工はP2、P3、P8の建設が完了しており、P5の基礎工とP4、P6の橋脚本体工を現在施工しています。A1、A2、P1、P7は未着手です。上部工も未発注です。

 ――余市川橋は

 渡邊 橋長308.1mの4径間連続鋼非合成細幅箱桁橋(合成床版)です。P2、P3の施工が完了しており、今年度はA2とP1が施工中です。A1は未着手です。上部工は未発注です。

余市川橋


 ――モンガク橋は

 渡邊 22.8mの単純PCプレテン中空床版橋です。こちらも橋台を施工中です

 ――黒川1号橋は

 渡邊 23.8mの単純PCプレテン中空床版橋です。こちらも橋台を施工中です。


登川大橋 上部工で道内最大1200tオールテレーンクレーンを使用

 鉄塔で斜吊して桁の端面を上げ、落とし込み時の手間を省く

 ――登川大橋は

 渡邊 429.5mの3+3径間連続鋼非合成細幅箱桁橋(合成床版)です。下部工は全て完了し、余市IC側の3径間(P3~A2)の上部工も架設を終え(元請は横河ブリッジ)、もう一方の上部工(A1~P3)も昨年末に架設を完了しました(元請は日立造船)。さらに余市IC側の3径間は床版の打設まで完了しており、もう片方は今後床版打設などを行っていきます。

 桁の架設の仕方は、通常のクレーン+ベント架設を施工しています。製作の際に3Dモデリングを行い、それを用いて干渉チェックなどを現場で行っています。

 ――登川大橋の施工上の特徴をもう少し具体的に

 渡邊 現場の特徴として、余市町道(黒川栄町山手線)、北海道道(753号登余市停車場線)、二級河川の登川といった交差物が多く、接続するNEXCO(余市IC)とも調整が必要な点があります。

登川大橋A1~P3架設前(河川や道路数本と交差している)

 P3~A2に関しては、小樽IC~余市ICまでの開通前に余市ICのヤードを借りてトラッククレーン+ベントで架設しました。

 A1~P3(216.4m)に関しては、550tと1200tオールテレーンクレーンを使って13ブロックに分けて架設しました。550tクレーンは両端部の架設、1200tクレーンは登川渡河部のブロック長が長く、架設重量も重い箇所のブロックを含む区間にそれぞれ架設しています。1200tクレーンは道内に3台しかないものの1台を用いました(クレーン施工は電材エンジニアリング)。また、交差道路上のみ合成床版(パワースラブ)を予め設置した形で架設しています。これは工期中の冬季の落雪を防止するための屋根として用いるためです。

登川大橋架設状況①

登川大橋架設状況/跨道部の夜間架設①

跨道部の夜間架設②

最終の落とし込み状況


冬の本格的到来までに桁架設を完了した

 ――現場を見ると、桁上に斜吊のような仮設設備がありましたね

 渡邊 架設の際の端面調整を行っているものです。これをすることによって施工の際のベントやジャッキアップの手間を省け、ブロック間の落とし込み架設をスムーズに行うことができます。仮設鉄塔で斜吊をしていなければ端部は70~80mmは下がるところでした。


仮設鉄塔で斜吊して端面調整し、落とし込みをしやすくした(井手迫瑞樹撮影)


 ――現場地盤はそれほど良いようには見えません。クレーンを配置している直下は何か補強しましたか

 渡邊 各クレーンのアウトリガーの位置には、予め杭を打ち補強した上で施工しています。