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インタビュー詳細

点検データの精緻化を図り、保全業務の効率化に取り組む

NEXCO西日本長崎高速道路事務所 長崎自動車道4車線化事業が進捗

西日本高速道路株式会社
九州支社
長崎高速道路事務所 所長
大塚 弘雅 氏

橋梁は61橋、トンネルは19チューブを管理

 ――保全事業について、管内の橋梁の内訳について教えてください

 大塚 管理橋梁は、長崎道と長崎バイパスあわせて61橋(本線橋のみ)です。そのうち鋼橋が37%、PC橋が42%、RC橋が21%とPC橋の割合が多くなっています。また、延長別では、長崎道と長崎バイパスあわせて、500m以上が4橋、100m以上500m未満が33橋、100m未満が24橋となります。




 IC橋を含まない上下線別の供用年数別では、長崎道の長崎多良見IC~長崎ICと嬉野IC~東そのぎICⅡ期線の10橋が10~20年で、20~30年が大村IC~長崎多良見ICを除く区間の38橋となっていて、30年以上経過している橋梁は、34橋です。長崎バイパスでは20~30年が11橋、40年以上経過している橋梁が14橋となっています。




 ――トンネルの内訳は

 大塚 長崎道と長崎バイパスで合計13トンネル19チューブを管理しています。供用年数別では、10~20年と20~30年がそれぞれ7チューブ、30~40年が2チューブで、40年以上が3チューブとなっています。






点検データの精緻化を図り、

点検と補修計画の効率化に取り組む

 ――保全に対する基本的なお考えは

 大塚 平成26年度からは総点検を実施していますが、過年度の点検データを精緻化して計画的かつ効率的に補修作業や施設更新をしていくことが重要であると考えています。在来工法で掘削し、供用から35年が経過した日岳トンネルは、NEXCO西日本のトンネルでは初めての特定更新事業となる覆工補強工事を平成28年5月から平成29年10月まで実施しました。そのほかには長崎バイパスに在来工法のトンネルが3本あります。健全性の把握を行い必要があれば覆工補修などを実施していきます。

 また、地勢的に台風や梅雨期の降雨対策を確実に行う必要があると考えています。昭和57年には長崎大水害があり、1時間あたり最大187mmの豪雨が記録されています。今後もその可能性が考えられますので、とくにのり面対策は重要と考えています。

 ――点検データの精緻化に関連して、現在取り組んでいることはありますか

 大塚 NEXCO西日本全体の取り組みでもありますが、保全事業全体をシステムとして動かしていくことが重要です。まず関係者全員が点検データを共有できるように見える化することで、点検のばらつきや見落としがなくなり、データの精度が上がります。そして、精緻化された点検データを基にすることで補修計画も効率的に立案できるようになり、省力化のメリットが生じると思います。

 システム化のひとつとして事務所では、所長と社員間だけでなくグループ会社を含めた関係者で情報の共有化を図る保全計画会議を、月1回行い、点検、補修計画の検討と立案をする場としています。大事なのは日々の点検で、路面や側溝の補修から始まり、隣接地からの枝の倒れこみなどの情報を共有することによって、道路の弱点がよくわかります。のり面の排水部の詰まりや損傷がのり面崩壊の原因のひとつになるので、事前に対策をすることは地道な作業ですが、道路の安全性を確保するうえで重要であると考えています。


管内橋梁で重篤な損傷の発生はなし

 ――管内の全般的な損傷傾向は

 大塚 重篤な損傷を受けている橋梁はもちろんありませんが、端部や伸縮装置からの漏水によって損傷が発生している橋梁もありますので、漏水対策や補修を行っています。トンネルでは、建設から年数が経っている長崎バイパスでひび割れや漏水などの老朽化が進行しています。

 ――上部工の補修・補強の実績と予定は

 大塚 はく落対策は、国道と鉄道を跨ぐ橋梁はすべて完了していて、その他の第三者被害が想定されるところはこれから順次実施します。対策工は、平成28年度に22橋、今年度の施工はありません。桁端部の補修工は平成27年度に2橋、平成28年度に3橋行っています。



はく落対策(鈴田橋) 施工前(左)と完了後(左)


 ――支承や伸縮装置の取替えについてはいかがでしょうか

 大塚 今年度の支承取替えの予定はありません。伸縮装置は、今年度に餅の浜橋(上り線)、貝津橋(上下線)、長崎多良見ICの平木場川橋(ランプ橋)で鋼製ジョイントの取替えを予定しています。


非常時の初動対応のために監視カメラを増設

 管内トンネルで「双眼監視カメラ」システムを先行運用

 ――新技術の採用などで事務所としての取り組みがありましたらお教えください

 大塚 非常時の情報収集と共有は、初動での対応に大きく影響することから、ICTの活用による見える化が非常に重要だと考えています。監視カメラを4車線区間に設置していますし、局地的に降雪量が多い箇所などには増設を計画しています。不動山トンネル(下り線)では、建設中の新名神でも導入されるカメラシステムを先行運用しています。これは、トンネル内で火災検知がされた場合、検知された周辺にカメラが自動で切り替わり、左右ふたつのカメラの動画を合成処理し、180度の視界を確保する「双眼監視カメラ」となっています。NEXCO西日本の管制室で24時間監視していて、事務所内の防災対策室でも見られるようになっていますので、迅速で詳細な状況把握が可能となります。



事務所内の防災対策室


 また、管内は基本的には温暖な気候ですが、年に1、2回大雪となることがあり、長崎バイパスでは降雪量が多くなります。



平成28年の大雪時の長崎道と除雪作業


 長崎バイパスは生活道路となっていますので、優先して雪氷対策に取り組み、平成12年度から冬用タイヤ規制を実施して降雪時の交通確保をしています。さらに、長崎市内から長崎空港までの降雪時の交通確保のために、平成28年12月から長崎多良見IC~大村ICで冬用タイヤ規制を試行導入しています。試行導入の結果、規制下における大型車の長崎道の利用を確認することができ、冬季の物流確保のためには一定の効果があることがわかりましたので、今後も冬用タイヤ規制の運用方法の改善をしていきます。

 ――ありがとうございました

(2018年3月1日掲載 大柴功治)