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インタビュー詳細

閼伽流山トンネルリニューアル工事では交通規制方法の工夫と検討を行う

NEXCO東日本関東支社 積雪寒冷地域を中心にリニューアルプロジェクトを進める

東日本高速道路株式会社
関東支社
管理事業部長
金田 泰明 氏

 月夜野高架橋と五料橋の下部工を再構築

 ――凍結防止剤による塩害が発生している具体的な区間は

 金田 支社管内で最も多い区間は上信越道の信州中野IC~信濃町IC間で、東北道の那須IC以北、上信越道の佐久ICや関越道の渋川伊香保IC以北も塩害が多い区間となっています。

 ――対策工法は

 金田 損傷が著しい橋梁については、リニューアル工事として床版取替を行います。小規模なものについては、床版の部分的な打ち替え、桁端部の処理、床版上面の高性能防水工など、大規模修繕や通常補修で対応していきます。電気防食など特殊なものは支社管内ではあまりありません。なお、アクアラインの鋼製橋脚部の塗装に電気防食を施工しており、20年経過した現在、点検の結果では上塗り塗装に一部損傷がみられますが、中塗り以深は健全な状態です。また、犠牲陽極を用いた電気防食も実施しています。

 ――下部工については

 金田 下部工を再構築している事例があります。関越道の月夜野ICのランプ橋(1脚)、上信越道の松井田妙義IC付近に位置する五料橋(上下線各1脚)などです。

 ――具体的には、どのように橋脚を再構築したのですか

 金田 月夜野ICの国道17号と接続するランプの月夜野高架橋は下部工形式が門型橋脚で、形状寸法は梁部が1.3m×2.34m、柱部が2.04m×2.34m、直径2.5m、高さが8.0mの掛違い橋脚です。橋脚の再構築は、橋軸方向に仮受ベントを2箇所設置し、油圧ジャッキと受梁を介して上部工を受換え、既設橋脚の撤去、新設橋脚をフーチングの上から再構築した後、上部工端部の断面修復および支承の設置を実施しています。

 五料橋は下部工形式が円柱式張出し橋脚で、形状寸法が直径2.5m、高さが約8.4mの掛違い橋脚です。橋脚の再構築は、既設橋脚の撤去までは月夜野高架橋と同様で、その後、新設橋脚を基部より再構築した後、支承の設置および上部工の再受換えを実施しています。

 両橋梁とも、橋脚の劣化損傷は伸縮装置からの凍結防止剤を含む水に起因する塩害が原因でした。


鋼橋塗替えは、平成29年度は12橋約70,000㎡

 耐候性鋼材は37橋で採用、ほとんどが良好が状態

 ――鋼橋について昨年度の塗替え実績と今年度計画している塗替え予定を教えてください

 金田 平成28年度は7橋で約40,000㎡、平成29年度は12橋約70,000㎡となります。基本はc-1塗装系で塗り替えます。



下牧第二橋塗替え (左)施工前(右)施工後


 ――古い橋梁は塗膜にPCBや鉛等有害物質をともなう場合もありますが、その処理はどのように考えていますか

 金田 塗装歴の確認からスタートして、塗替え施工前に塗料成分の調査を行い、その結果に基づいて、鉛なら鉛、PCBならPCBで厚生労働省の通達に従って処理しています。高濃度の粉塵に対する対策はもちろん、PCBの処分にあたっては処理施設が限定されるため、処理施設の受け入れが可能な時期までは当社で適切に管理する必要があります。ただ、PCBは昭和40年代後半に施工された橋梁に多く使用されていますので、千葉管理事務所や京浜管理事務所管内といった古い有料道路路線に多くみられますが、きちんとした管理を行っています。

 ――実際には、塗膜剥離剤を使う手法と循環式エコクリーンブラストを使う手法が多いようですが、関東支社管内ではどのような方法で既存塗膜の除去を行っていますか

 金田 主に塗膜剥離剤を使用し、既存塗膜を除去しています。一部でブラストを使用している箇所もありますが、有効な防護具を着用し施工しています。

 ――耐候性鋼材の採用事例は

 金田 耐候性鋼材は、支社管内の37橋で採用しています。現在までのところ、悪性な錆はほとんどなく良好な状態です。ただ、長野道や上信越道の山間部では一部、凍結防止剤の影響もあって、部分的に悪性錆が生じている箇所もあります。そうした箇所では補修塗装を行っています。


豊洲高架橋 既設プレキャストRC床版を取替え

 閼伽流山トンネル インバート設置工事を半断面ごとに行う

 ――リニューアル工事について。上信越道の豊洲高架橋床版取替工事が行われましたが、その詳細を教えてください

 金田 豊洲高架橋(上り線)のうち、橋長261mの鋼4径間連続箱桁橋部分を対象に床版取替工事を行い、取替面積は約2,700㎡です。既設床版はプレキャストRC床版(端部および支点部のみ現場打ちで、それ以外はRCプレキャストパネル)を採用していて、供用開始から22年が経過しています。建設時、試験的にプレキャストRC床版を採用しており、その間詰め部は、上下縦長の逆五角形状であったのですが、止水状態が悪く、下面に鉄筋露出などの損傷が起きていました。ただ、プレキャストパネルですので現場打ちよりは良い状況でした。



豊洲高架橋床版取替工事


 この区間は、年間約25t/kmと凍結防止剤の散布量が多く、平成28年秋と昨春に小仁熊橋の床版取替工事を行っています。同橋も供用年数は23年でした。供用開始から大型車両が増加傾向にあり、疲労により床版に微細なひび割れが入り、そこから凍結防止剤を含んだ水が浸透し、塩害を多く招いていた状態でした。小仁熊橋の場合も路面にポッドホールが出ていましたが、舗装を剥がして詳細に調査すると床版が土砂化していました。

 豊洲高架橋も同程度の凍結防止剤を散布していますが、間詰め部が弱点になっています。今回、プレキャストPC床版を採用しましたが、現在の設計基準に従い間詰め部も同じ50N/㎡で打設しました。非常に高耐久なコンクリートで水セメント比(W/C)が低いコンクリートで打設しているため、密実性は従前より確保されます。プレキャストPCパネルの継手はループ継手を採用しており、同継手部はエポ鉄筋を用いています。小仁熊橋(下り線)をサンプルに壁高欄もプレキャスト化(DAK式RCプレキャスト壁高欄)しています。

 ――閼伽流山(あかるさん)トンネルのインバート設置工事は

 金田 現在、同トンネルの下り線で、盤膨れにともなう補強としてインバート新設を施工しています。トンネル延長は1,960mで、対策延長は全体で150m弱(40mと110m)です。インバートの新設施工では全面通行止めを行って施工する場合もありますが、支社管内は交通量が多いため、全面通行止めによる施工は非常に困難な状況です。この工事では、車両を1車線通行させながら昼夜連続車線規制で施工していますが、路面の掘削、型枠工、コンクリート打設・養生、埋戻し・舗装復旧と一連のサイクルで施工する必要があるため、交通規制を一時的に解除することは本来難しいのですが、3連休期間や繁忙期の交通規制解除を含め、渋滞を発生させないように施工工程を工夫しながら進めています。



閼伽流山トンネル補強工事 施工手順



(左)インバートコンクリート打設 (右)目隠しフェンス・ガードレール設置


 お客さまの利用が多くなる週末などに交通規制を解除できれば良いのですが、半断面(1車線)ずつの施工であるため、交通規制を毎週末に開放する場合は施工に期間を要してしまいます。

 現在、本工事では連休のみ交通規制を解除していますが、将来的に、交通量の多い他区間において同様のインバート設置工事を行うことを想定し、毎週末に交通規制を解除できる施工サイクルや仮設備を検討し試験的に採用するなど、情報を蓄積しているところです。

 ――上信越道豊田飯山IC~信濃町IC間の盛土補修工事は

 金田 本工事を行っている場所は地下水が非常に高く、本線を横断するカルバートボックスがダムアップしているような箇所で、横断ボックス側に損傷が発生しています。本線も地下水が高くなったため、少し沈下しはじめている箇所があるので、その部分を補修しています。不等沈下にともなう補修工事と言えます。



盛土補修工事


 ――工期としては長いですが

 金田 施工箇所が軟弱地盤であるため、FCB工法により気泡混合軽量土に置き換えます。完全通行止めができませんので、車線を区切って施工します。車線を区切るために鋼矢板を打ち込み、1車線を確保したうえで掘削を行っていくので、若干期間を要します。



関東支社管内 リニューアル工事一覧表


 ――盛土ののり面の排水対策や補強はどれくらいあるのですか

 金田 支社管内でも対象が800箇所以上あり、1箇所ごと、降雨後の湧水の染み出し状況を確認のうえ対策の必要箇所を決定していきます。東名高速・牧之原地区の盛土崩落にともなうのり面対策については、砕石竪排水工や水抜きボーリング工といった盛土内浸透水排除工を、支社管内は平成28年度までにすべて完了しました。

 今後は、東日本大震災タイプの盛土補強を順次進める計画ですが、それと併せ、特定更新事業として位置付けられているのり面小段排水溝の改良や跳水対策など、排水機能の強化対策も実施していく予定です。


移動式防護柵「Road Zipper System」を

リニューアル工事の現場に採用していくことを検討

 ――アクアラインが開通20周年を迎えました。現在の状況と管理は

 金田 アクアラインはすぐに大規模な補修を行うという状況にはなっていませんが、供用後20年経過していますので、それなりに老朽化は進んできており、今後、補修計画を検討していきます。また、平成21年以降、アクアラインではETC料金引き下げの社会実験を行っています。通行料金が800円と比較的安価な価格設定であるため、週末に交通量が集中し渋滞が発生している状況で、点検や補修を計画する際に渋滞対策も考えなければなりませんが、構造物としての老朽化対策は今後必要になってくると思われます。特に、橋梁部分は直接海水の飛沫を受けるため、塩害の進行にどう対処していくかということが課題ととなります。

 ――新技術、新工法の採用は

 金田 工事自体の新技術、新工法というよりは交通規制に関連した話になりますが、移動式防護柵「Road Zipper System(ロードジッパーシステム)」を活用していきます。



ロードジッパーシステム(井手迫瑞樹撮影)


 具体的には、ロッキングピアの補強対策のように施工箇所が一定期間固定される場合や、今後本格化されるリニューアルプロジェクト事業の現場に採用していくことを検討しています。常磐道の半地下構造区間におけるはく落対策工事で試験導入しており、平成28年11月から平成29年3月、東京外環道の大泉区間の建設工事で本格導入しました。

 ――最後に

 金田 「安全をすべてに優先する」という方針のもと、日々の小さなリスクを見逃すことなく着実に対応していくこと。そのためには起こりうる事象を想定し、計画的に道路管理を行っていくことが必要です。

 また、SMH(スマートメンテナンスハイウェイ:Smart Maintenance Highway)など道路管理の効率化・高度化に資する新しい取組みにも積極的にチャレンジし、お客さまに「安全・安心・快適・便利」な高速道路空間を継続して提供できるよう努力していきます。

 ――ありがとうございました

(2019年1月16日掲載 大柴功治)

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