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インタビュー詳細

閼伽流山トンネルリニューアル工事では交通規制方法の工夫と検討を行う

NEXCO東日本関東支社 積雪寒冷地域を中心にリニューアルプロジェクトを進める

東日本高速道路株式会社
関東支社
管理事業部長
金田 泰明 氏

2,636橋、258トンネル273チューブを管理

 供用後30年以上を経過している橋梁は約47%

 ――保全について、管内橋梁の内訳を教えてください

 金田 管理橋梁は2,636橋です。そのうち鋼橋が1,153橋で43.7%、PC橋が1,093橋で41.5%、RC橋が390橋で14.8%となっています。延長別では100m未満が1,444橋で54.8%、100m以上~1,000未満が1,135橋で43.0%、1,000m以上が57橋で2.2%となります。供用年次別では40年以上を経過している橋梁は551橋で21.0%、30年以上~40年未満の橋梁は679橋で25.8%です。



橋種別橋梁数

※上下線別に橋梁を建てている場合は、それぞれ1橋(計2橋)として計算(以下同)



橋長別橋梁数



供用年次別橋梁数


 ――トンネルの内訳は

 金田 258トンネル273チューブを管理しており、総延長では約210kmです。工法別では在来工法が40チューブで14.7%(総延長約25km)、NATM工法が139チューブで50.9%(総延長約150km)、開削工法が92チューブで33.7%(総延長約15km)、シールド工法が東京湾アクアトンネルの2チューブ(延長約19km)で0.7%となります。供用年次別では31年以上を経過しているトンネルは64チューブで23.4%です。



工法別トンネル数

※上下線別のトンネルで1本2チューブ、暫定2車線で1本1チューブとして計算(以下同)



供用年次別トンネル数


 ――点検を進めての全体的な損傷状況は

 金田 NEXCO東日本全体としても一番多い事例だと思いますが、積雪寒冷地を通過する路線を中心に、凍結防止剤散布による塩害の影響から、構造物の劣化が進行しています。伸縮装置部分における非排水構造の損傷や、損傷箇所からの漏水により桁端部が腐食するなどの事例が多く生じています。



塩害損傷状況 (左)薄根川橋 (右)四釜川橋


 また、交通量が多く大型車両の混入率が高い路線では床版に損傷が発生している箇所があります。最近では、東京外環道の幸魂(さきたま)橋で鋼床版にき裂が確認されており、順次補修を行っている状況です。コンクリート床版もひび割れなどの損傷を受けていることが比較的多くなっています。



幸魂橋の損傷写真(左)と補修工事(右)


 なお、支社管内には海岸沿いを通過する路線もありますが、飛来塩分による塩害はほとんどなく、アルカリ骨材反応についても検出されていない状況にあります。

 ――トンネルの損傷状況は

 金田 建設当時にインバートを設置していない一部のトンネルにおいて、現在、路面の隆起(盤膨れ)や覆工に損傷が発生している箇所があります。その要因としましては、経年劣化にともなう地山の脆弱化や、地下水の影響による地山膨張などが挙げられます。トンネルの内空圧が若干変形している状況も見られますが、損傷の進行速度は緩やかであり、それほど顕著ではありません。これらは、支社管内では上信越道と長野道に多く発生しており、優先順位を決定のうえリニューアル工事として対応しています。


新たな耐震補強対象は約190橋

 対策が必要なロッキングピアは管内に81橋

 ――耐震補強の進捗状況はいかがでしょうか

 金田 昭和55年道路橋示方書以前の設計基準を適用した橋梁(約4,000橋脚)の耐震補強はすでに完了しています。熊本地震後の新たな耐震補強を行う必要のある耐震性能2を確保するための対策は、ロッキングピアの耐震補強を優先して進める計画ということもあり、ロッキングピア以外のさらなる耐震補強は検討している段階です。

 検討を行っていて難しいのは、橋脚によって対策の条件や内容が異なることです。支承を取替える場合もありますし、支承取替えができない困難な箇所であれば、落橋防止装置の設置を検討する必要があります。下部工の基礎は動的解析により応力照査を行わないと対策を決定できない橋梁もあります。当然、対象橋梁は把握していますが、全体計画を整理したうえで順次事業設計に着手していきます。

 ――新たな耐震補強の対象橋梁数は

 金田 昭和55年道路橋示方書以降のもので約190橋です。その中には、耐震補強を完了した橋梁の支承補修、段差防止対策などが含まれています。

 ――ロッキングピア対策の現状について教えてください

 金田 支社管内には、対象箇所が自治体管理の橋梁を含めると81橋あり、うちNEXCO管理の橋梁は30橋です。自治体管理の51橋についても基本的に当社で耐震補強を実施することで各自治体と協議済みです。

 ――ロッキングピアについては、どのような直し方で施工していきますか。場所によっては基礎まで補強しなくてはならないことが、取り沙汰されていますが

 金田 ロッキングピアを有する橋梁の耐震補強としては、橋台の固定化を最優先とし、中間橋脚の上下端の剛結化(ラーメン)することで、想定以上の地震力が作用した場合でも冗長性を有する構造系とするのが望ましいとされています。具体的には、橋台部の固定化は竪壁前面をRC増厚し、床版下面および堅壁基部を鉄筋で定着させます。ロッキングピアに関しては、ロッキングカラムを支持する壁部材も含めたRC巻立てを行うことが基本となります。

 なお,上記の補強によりロッキングピアの基礎への影響が大きく、負担軽減を図る必要がある場合は、中間橋脚天端を全方向可動または全方向弾性支持とし、作用する地震時水平力を軽減させる構造としております。また、基礎杭の照査を実施した結果により、必要に応じて増杭などの基礎補強も行う予定です。


工期が8年となった片品川橋の耐震補強工事

 斜張橋、トラス橋、アーチ橋などの特殊橋は管内に29橋

 ――耐震補強の具体例は

 金田 関越道の片品川橋で下部工と上部工の耐震補強工事を行い、平成28年12月に完了しました。下部工着手が平成20年3月ですので、8年越しの工事となりました。橋長1,033mの片品川橋は支社管内最長で、橋脚高が非常に高く、上部工の重量を極力軽くするために上下線一体化したA橋、B橋、C橋の3連からなるトラス橋です。橋脚高が高いので支承もヒンジ構造として、全橋脚に重量を極力分散させる形で設計をしています。

 具体的には、橋脚は炭素繊維巻き立てでじん性補強を行いました。上部工は、通常の当て板による耐震補強では上部工が非常に重くなってしまうため、免震および制震を主とした設計方針のもとに補強を進めました。免震支承を採用することはもちろん、免震化してもなおトラス部材に入ってしまう力を軽減させるために、摩擦型制振ダンパーを橋梁で初めて採用しました。昭和60年度の建設時にも土木学会田中賞の作品部門を受賞していましたが、その景観性も配慮する形で補強を行った結果が評価され、平成28年度の田中賞作品部門(改築)を受賞させていただきました。




片品川橋の耐震補強工事


 片品川橋以外にも、斜張橋、トラス橋、アーチ橋、ローゼ橋、方杖ラーメン橋といった特殊橋は管内に29橋あります。こうした長大・特殊橋は、耐震補強をするにしても道路橋示方書のとおりという訳にはいきません。そのため、学識経験者の方の知恵をお借りしなければならず、どうしても一定の検討期間を必要とします。実際に片品川橋も8年の工期を要しましたが、1橋ずつ着実に進めていきます。



関東支社管内 特殊橋梁・長大橋一覧表


 ――支承と伸縮装置の取替えおよびノージョイント化は

 金田 支承の取替え工事は、平成28年度、平成29年度とも計画を含めてありません。伸縮装置は、補修可能な箇所から少しずつ取替えています。平成29年度に施工および施工を予定している橋梁は4橋で、伸縮装置取替えのみの単体工事としては発注しておらず、複数の工種を含めた工事の一部として工事契約しています。支承、伸縮装置の劣化原因の基本は「水」であり、止水することが重要であるという認識から、橋梁全体のうち、損傷がみとめられた桁端部補修にあわせて施工するなど、部分的な取替えとして実施している状況です。

 ノージョイント化は、平成29年4月に第三京浜道路の東山田高架橋で床版連結工事を行い、ジョイントレス化する工事も行っています。また、東関東道の寒風高架橋でも実施する予定であり、工事契約を締結しました。条件的に短スパンで連結している箇所が結構あるので、施工可能な橋梁から実施しています。

 ――床版防水について

 金田 支社管内に床板防水の必要な面積は約5,500千㎡あり、今までに約2割にあたる約1,100千㎡が施工済みです。そのうち、長時間の交通規制を行っても渋滞が発生しない区間については、一部でグレードⅡ相当を施工していますが、ほとんどの橋梁では交通規制時間の制約があることからグレードⅠ相当の床板防水を実施しています。なお、平成29年度グレードⅡ相当の床板防水工を実施した橋梁の例としては、長野道の小仁熊橋(下り線)で約2,000㎡程度を施工しています。