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インタビュー詳細

2017年わが社の経営戦略 大手ファブ トップインタビュー ⑨高田機工

橋梁・鉄構事業ともに堅調 選別受注の徹底を継続

高田機工株式会社
代表取締役社長
寳角 正明 氏

 当NETの姉妹メディアである「週刊 鋼構造ジャーナル」では、毎年、橋梁を主事業の一つと位置付ける鋼構造ファブリケーター各社のトップに経営戦略を訪ねるインタビュー記事を掲載している。その内容について、数回に分けて転載していく。第5回目は、宮地エンジニアリングの青田重利社長と高田機工の寳角正明社長の記事を掲載する。


 ――2016年度業績は

 寳角 橋梁事業での年度受注はここ3年間、目標に近い実績を残した。工場生産も豊富な受注残があったため、稼働は年度を通してほぼフル生産状態だった。新名神高速道路工事の事故や入札情報漏えいの影響が懸念されたなかで、良好な結果だった。

 鉄構事業は、関西圏および首都圏の工事を難易度や採算性を重点的に検証する選別受注を図ることで、数年ぶりに年度目標を達成できた。また、受注価格が採算を確保できるまでに近づき、関西の案件を中心に収益性も良好だった。

 売上高は、前年度比25%増の156億円で経常利益も6億円と大幅に改善した。橋梁・鉄構事業の両セグメントとも十分満足できる利益ではないが、久しぶりの黒字決算となった。特に鉄構事業はここ数年と比較して大幅に回復した。品質や安全性も良かったと認識している。

 ――今年度の見通しは

 寳角 橋梁事業では、東北や関東、特に中部地方整備局からの発注はある程度期待できるが、長期的には高速道路会社の発注量は減少傾向が続いている。受注先の選定も総合評価方式により、厳しい状況が予想される。新設道路橋の総発注量は昨年度を少し上回る20万t程度を想定。傾向として上半期に発注が集中している。当社の年間目標受注量は1万2,000tだが、8月時点で約8,000t受注し、順調に推移している。

 今後も地道に顧客のニーズや積算を研究し、分析に基づいた施策により他社との差別化を図りたい。生産部門は、作業安全性や品質の管理はもちろんのこと、特に生産性向上に対する努力に取り組んでいる。また、工事金額が上昇している現場架設で、さらなる原価低減を検討していく。

 鉄構事業は、首都圏一極集中が進行するなかで、東京五輪や再開発関連など大型物件が多く、昨年並みの市場規模を想定している。現在は昨年度受注した物件を和歌山工場での生産性向上や加工協力会社との連携強化により、加工効率の向上を図ることが肝要だ。工場や協力会社の生産性を十分考慮した選別受注をいっそう徹底していく。

 業績目標としては、橋梁事業が120億円、鉄骨は50億円を設定した。



瀬田川橋(滋賀県大津市)


 ――設備投資計画は

 寳角 和歌山工場は、建設から24年が経過し、設備の老朽化が進んでいるほか、製品の大型化に伴う加工対応が課題となっている。こういった状況で、建屋の保全のほかコンプレッサーやクレーンの更新を実施する。また、作業環境の改善や省エネを目的に、屋内照明をLED化する。そのほか、製品の品質管理や耐久性向上、作業環境対策として、空調や温度、湿度の管理体制が整った全天候対応の塗装工場増設を複数年計画で実施する。

 橋梁加工では、橋桁用多関節溶接ロボットの導入やⅠ断面桁用設備の更新、鉄構では超高層建築物加工に対応した最新超大型4面ボックス用溶接装置とビルトH断面ひずみ矯正装置を本格稼動させる。そのほか、専用エレクトロスラグ溶接装置の導入を計画している。

 ――新事業・新製品は

 寳角 当社が今後も独自の経営を継続するには、新分野への進出が必要。従来から研究している免震・制震技術を中心に模索中だ。すでにリリースしている鋼ポータルラーメン橋、制震デバイスの制震ストッパー・ダンパー、座屈拘束ブレース、支承可動化工法、ノックオフボルトの販売を促進するほか、新製品の開発にも取り組む。

 ――課題と対策・戦略は

 寳角 橋梁事業では、政府調達協定対象の大規模工事(WTO物件)の受注拡大に向け、全社員が問題意識を持ち、応札対応部署の人的資源の強化や選別受注を推し進めていく。鉄構事業では、原価積算の精度と生産管理能力の向上が求められる。また、沿岸部にある和歌山工場の大型海上輸送機能の活用や大スパンに適した「生研トラス」を採用した特殊構造物を中心に受注するほか、耐震・免震・制震製品を中心に当社の特徴や強みを活かしていく。さらに人的経営資源の確保や組織の可視化も図る。(聞き手・佐藤直人 文中敬称略)