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インタビュー詳細

急速に進む橋梁の高齢化 「攻めの管理」が必要

川崎市 殿町羽田空港線などを整備

川崎市
建設緑政局長
藤倉 茂起 氏

上部工補修補強 3年間で32橋施工

 古い橋梁については橋面補修時に床版防水工を実施

 ――経年劣化や疲労などによる上部工補修・補強のここ3年の実績と2016年度施工済みおよび施工予定数量、2017年度の施工計画についてお答えください。また、コンクリート桁・床版部においてどのような損傷がでているか教えてください。加えて市が管理する橋梁における床版防水の施工状況(コンクリート床版を有する全橋梁に占める施工済み割合などが分かれば)、今後の施工方針、採用する工法などを教えていただけましたら幸いです

 藤倉 2014~2016年度の3年間で32橋の補修補強を施工しています。鋼橋の疲労は大師橋でも確認されていますが、過年度に補修は完了しています。

その他の補修は、鋼橋の塗装やコンクリートの断面修復、表面被覆が主ですが、一部で床版補強や増桁の補強も行っています。2017年度は4橋で表面被覆や断面修復工による補修を行う予定です。


断面修復実施例

 コンクリート桁やRC床版の損傷は主に遊離石灰や鉄筋露出です。比較的新しい橋については、床板防水を実施していますが、古い年次の橋では施工の有無を把握できていません。そのため橋面補修時に床版防水工を実施しています。

 ――コンクリートの表面被覆とは具体的にどのようなものを採用されていますか

 藤倉 橋ごとに現場条件に合った工法を採用していますが、コンクリート塗装を主に採用しています。

 ――支承の取替や、ジョイントの交換およびノージョイント化について、16年度の実績および17年度の予定は

 藤倉 支承取替の予定はありません。ジョイント交換は2016年度に2橋、2017年度に1橋施工する予定です。ノージョイント化の予定はありません。

 ――塩害やASRによる劣化の有無は

 藤倉 顕著な劣化はありません。


塗膜剥離は湿式で対応

 ――2015年度の鋼橋塗り替え実績(橋数と面積)と、2016、17年度の鋼橋塗り替え予定(同)、は。また塗り替えの際の全体的・部分的な用途でもいいので溶射など新しい重防食の採用などについてもお答えください。また、PCBや昨年の厚生労働省・国土交通省から2014年5月30日にでた文書を受けて、鉛など有害物を含有する既存塗膜の処理についてどのような方策をとっているのか教えてください

 藤倉 2015年度は1橋3,196㎡、2016年度は2橋88㎡で塗替えを行いました。2017年度の予定はありません。鉛を含有している塗膜の除去方法は、塗膜剥離剤などを採用しています。PCBに関しては、本市で実施した、塗装仕様及び施工年次から、PCBを含む可能性のある橋梁はありません。


塗装塗替実施例

 ――耐候性鋼材を採用した橋梁で錆による劣化・損傷が報告されている事例が出てきていますが、川崎市では採用事例が何橋あり、現状どのような健全度を示しているのか教えてください

 藤倉 耐候性鋼材については5橋で採用しています。大きな劣化は見られていません。


ロボットによる橋梁点検の実証試験を実施

 市内ベンチャー企業のイクシスリサーチ

 ――新技術や新材料の活用事例があれば教えてください

 藤倉 ICTを活用した新技術としては、少子高齢化に伴う労働力不足を見越して、維持管理分野において市内のベンチャー企業と共同でロボットによる橋梁点検を実施しています。

 ――イクシスリサーチのことですね

 藤倉 そうです。2016年7月に中原区の上子橋でイクシスリサーチが開発した主桁吊下げ型目視点検ロボットの実橋検証を行いました。同機械は桁下を移動し、桁の撮影および画像処理を行うことで損傷を検出し、近接目視を主体とする点検の支援を可能にしようと実用化を図っているものです。最初から人間による目視と同等の技術を有せるとは思いませんが、データを蓄積することによって、より判定を正確にできるようになることを期待しています。こうした実験フィールドの提供は今後もやっていきたいと考えています。


担い手の確保に苦慮

 「攻めの管理」のためにも次代の若手が必要

 ――最後に担い手の確保は官民ともに課題となっていますが、川崎市の取り組みについてなにかあればお答えください

 藤倉 当市自身も、市内の建設業者も均しく人材確保とりわけ若手の確保に苦しんでいます。土木技術者の受験者数が年々少なくなっており、競争率は2倍程度にまで落ち込んでいます。追加募集なども行わなくてはいけない状況です。

 受験者確保のために、現場見学バスツアーの実施など新たな広報の取組を展開しているほか、幅広い層の方が受験しやすいよう、筆記試験問題から法律や経済などの社会科学系の知識問題をなくし、技術的内容を中心とした出題とするなど、試験内容面からの対策も講じています。当市は面積も狭いことなどから、人口の割に職員数が少なく、風通しが良い組織であり、計画から決断に至る速度も比較的早いことが行政の特徴になっています。今後は橋梁も含め社会インフラの老朽化が進むことから管理も「攻めの管理」に転換することが重要と考えています。そうしたやりがいのある職場に多くの若い人が魅力を持っていただき、一緒に仕事をしていきたいと考えています。

 ――ありがとうございました