道路構造物ジャーナルNET

電磁波レーダー搭載車でスクリーニング、極小径のコアを開けてカメラにより詳細調査

Single i 工法、床版キャッチャーを北海道で試験施工

公開日:2015.10.16

 北海道の複数の国道橋で9月28日から10月2日までの5日間に渡り、施工技術総合研究所(施工総研)、ティ・エス・プランニング、トクヤマエムテック、会津土建により開発された小径微破壊コンクリート内部調査手法「Single i工法」の試験施工が行われた。いずれも昭和48年道路橋示方書以前の設計で建設されているため、各橋梁の床版厚は200㍉に達しておらず、最も薄い橋梁では160㍉程度となっている。供用年次も古く、健全度を調査する必要があるが、母材にはできるだけ影響を与えたくない。そのため従来の小口径コアドリルよりもさらに小さい削孔径(φ5ないし9㍉)で開けた孔に浸透性の高い特殊な樹脂を注入し、樹脂が浸透して変色したひび割れ箇所を内視鏡で撮影することにより、損傷状況を確認できるSingle i工法を試験的に採用したものだ。
 同工法を施工するに当たり、削孔個所を限定するため、ニチレキの電磁波レーダー搭載車による非破壊検査技術「床版キャッチャー」によってスクリーニングし、損傷可能性が高い個所を洗い出している。電磁波の特性を利用して床版内部の損傷状況を一定程度調査できる手法で、電磁波の反射エネルギーが小さい箇所ほど、内部に変状がある可能性が大きいと判断できる。今回の対象橋梁では、非破壊検査箇所の絞り込みに加え、損傷状況を①アスコン層と床版の界面の異常、②床版のかぶりコンクリート内部の損傷の2種類に判断してコンター図により示しており、Single i工法ではその(微破壊検査との)一致率についても調査している。


床版キャッチャー搭載車(左)/床版キャッチャー概要図(右)

高砂橋コンター図①

高砂橋コンター図②

 記者は、高砂橋を取材した。高砂橋は橋長145㍍の5径間鋼鈑桁の渡河橋である。
 高砂橋は昭和32年に供用され、昭和48年に河川改修に伴い、前後2径間を延長(いずれも鋼鈑桁)し、同時に幅員を6㍍から10.4㍍に拡幅した中央部にゲルバーヒンジを有する鋼鈑桁橋だ。拡幅時に既存橋部分の床版下面を当て板補強し、さらに(中央の3径間の初期供用された幅員6㍍部分について)平成10 11年に上面を当て板補強している。現場の舗装を見ると傷みが酷い個所があるが、これはこの補強方法が損傷を惹起した可能性もあるという。というのも補強範囲は上面の方が大きく、下面と同面積部分は、床版をサンドイッチする形で削孔、上下両側に嵌合しているが、より補強面積が大きい上面部の鋼板はコンクリートを削孔してボルト固定されている。「経年劣化により鋼板の固定が緩み、交通荷重により鋼板が大きく変位し、舗装を損傷させている可能性がある」(北海道開発局留萌開発建設部)としている。


高砂橋の舗装損傷状況

 また、同橋は床版防水も設置されておらず、凍害や凍結融解、砂利化による損傷も懸念される。そのため鉄板補強をしていない箇所に対してSingle i工法による削孔が行われた。同施工は留萌開発建設部、橋建協、土木学会などから50人程度の見学者が訪れる中で実施され、施工総研の渡邉晋也主任研究員が熱心に説明していた(下写真)。

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