道路構造物ジャーナルNET

狭く、何種類ものインフラが交錯する現場

首都高速道路 浜崎橋 橋脚を新設してロッキングピアの耐震補強に対応

公開日:2020.12.23

支障物撤去にマルチドリル
 木杭やコンクリート塊を撤去

 PCウェルの施工は、掘削前の支障物撤去にマルチドリルを用いた。PCウェルを掘削圧入する時に、木杭やコンクリート塊などの支障物があると、PCウェルがまっすぐに降りていかないためだ。

マルチドリル(左)を用いて木杭やコンクリート塊などの支障物を撤去した(右)

PCウェル ハンマーグラブで掘削
 右岸側φ5,500のプレキャストブロックは半割で運搬、現場で繋げる

 撤去後は、ハンマーグラブで掘削し、PCウェルのプレキャストブロックを配置し、その上に圧力架台を設けて沈設することを繰り返した。右岸側は径が大きく(φ5,500mm)そのままの形では運搬できないため、半割にし、現場で繋げて沈設した。左岸側(φ3,000mm)は、通常の円形状で運搬し施工した。内部は途中までは砕石で埋め、その上にRC頂版を製作し、その上部からコンクリートを打設し、密実断面とした。


ハンマーグラブの配置/PCウェルの配置

PCウェルのプレキャストブロック (左はφ5,500mm、右はφ3,000mm)

PCウェルおよび圧力架台の設置

砕石埋め戻し/頂版コンクリートの打設/橋脚回りコンクリートの打設
 鋼製柱は、クレーンによる吊下げ架設を行い、PCウェルの中に柱の下端を挿し込み埋め込んで一体化する。

新設橋脚の柱部架設状況

横梁は左岸側にあるJR東日本のカートレイン跡地を使用して地組
 横梁はドーリーで運搬 橋梁やカルバート上通過時は慎重に受替

 横梁は左岸側にあるJR東日本のカートレイン跡地を使用して地組し、ドーリーを用いて架設箇所まで運搬した。ドーリーは積載能力1台180tのドーリーを2台で1セットとし、それを4セット用意した。横梁の長さ(両側の仮設梁約10mを含むと約56m、270t)に比して規模が大きいが、それには理由がある。対岸に移動するには橋梁(金杉橋)はもちろん、歩行者専用の地下道(カルバート)の上を通らねばならず、荷重を上手く受け替えながら運ぶ必要があったためだ(下図)
 基本は両端部に配置したメインのドーリーで運ぶが、必要に応じて中間部にもう2セットのドーリーを配置し、橋梁やカルバートに過大な負荷をかけないよう慎重に移動した。渡河後は鋼製柱まで横移動し、ジャッキダウンして架設した。右岸側は溶接構造のため、エレクションピースで調整し、荷重が抜け切る前にギャップや高さを微調整し、その後、外側から全断面溶接した。左岸側は支承構造のため、その分柱の高さを低くして隙間を設け支承を設置し、その上に横梁を置いた。横梁架設後は足場を作り、桁との間に水平力分散沓を設置した。

架設ステップ図(拡大して見てください)

横梁の地組完了状況と仮設梁取付完了状況

ドーリーによる架設状況① (左)
縦移動位置まで横移動、(中、右)橋の手前まで移動

ドーリーによる架設状況② (左)前方サブ台車で荷重分担、(中、右)渡河中

ドーリーによる架設状況③ (左)前方サブ台車で荷重分担、
(中)
カルバート通過後後方メイン台車に荷重受替、(右)その後、後方サブ台車を解除

ドーリーによる架設状況④ (左)前方サブ台車も解除、(中)さらに縦移動、(右)架設位置へ横移動

ドーリーによる架設状況⑤ (左、中)架設位置調整、(右)移動完了

現場溶接状況

新設橋脚の架設完了状況(左)左岸側(支承構造)、(右)右岸側(溶接構造)

クローラークレーン施工時の安全対策も万全を期す

 PCウェル施工の際の安全対策には、防護壁を設置している。日中に新幹線が通っている横で、クローラークレーン(150tおよび80t)を使って施工することになるため、万が一クレーンが新幹線側にはみ出る、または倒れることがあれば取り返しがつかないことになるため、JR東海からの要請に対応したものだ。壁は鋼材で組み、さらにコンクリートブロックを重りにして、倒壊を防いだ。さらにクレーン自体も、キャタピラの上に鋼材を組んでグラウンドアンカーにより転倒を防いでいる。

(左)防護柵の設置、クローラークレーンの転倒防止措置(中)H鋼、(右)グラウンドアンカー

高架下状況(施工後)/完成状況写真
 元請は新設橋脚基礎工と支障物撤去工が竹中土木。耐震補強工、新設橋脚架設工、現場塗装工がIHIインフラシステム・IHIインフラ建設JV。一次下請は日本ヒューム管(新設橋脚基礎工)、丸利根アペックス(支障物撤去工)、アルチブリッジ(耐震補強工)、八千代建設、宇徳(新設橋脚架設工)、島川工業(現場溶接)、磯部塗装(現場塗装工)。

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