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アームローラーも改良 間詰にはUHPFRCを充填

阪神高速 守口線の床版取替で平板型UFC床版を採用

 阪神高速道路は、11月中~下旬に行われた1号環状線(南行)リニューアル工事の一環で、阪神高速守口線の大阪市北区南森町2丁目~西天満5丁目内に供用している守S20(合成鈑桁橋)の床版取替に、玉出入路で採用したHydro-Jet RD工法と平板型UFC床版を採用している。今回は、集中工事時の床版架設を短期間で行え、かつ床版の高耐久化のために採用した平板型UFC床版の架設に焦点を当て取材した。(井手迫瑞樹)


約635m2の床版を取替え

 守S20は、隣接する守S19とあわせて橋長65mの上下線一体型の2径間連続鋼合成鈑桁橋。1967年供用時は、単純合成鈑桁2連の構造であったが、その後に桁連結を行い、連続化した経緯がある。今回はその北側35mのRC床版を取り替える。同橋は6主桁で幅員は17.6m、床版の支持間隔は3.1~3.3m、当初の床版厚は170mmと薄く、80年に床版下面への鋼板接着補強を施している。しかし、詳細調査などの結果、内部のひび割れや上面の土砂化も出ており、床版を一部切り出して、輪荷重走行試験を行った結果、健全な床版に比べ大幅に疲労耐久性が低下していたことが分かった。接着した鋼板との間の浮きはごく一部を除いて見られなかったが、貫通ひび割れが生じており、鋼板の一部で腐食も見られた。そのため該当する延長35m×幅員17.6mの約635m2の床版を取替えることにした。


主桁数が多く幅員が広いため橋軸直角方向を 2 枚に分割して設置

 以前施工した玉出入路との最大の違いは、上下線一体の本線橋で主桁数が多く幅員が広いということだ。そのため床版パネルは、橋軸直角方向を 2 枚に分割して設置する。そのため橋軸方向に継手(縦目地)が生じる。橋軸方向の継手は RC 構造とするが、間詰め材料に場所打ち UHPFRC を用いることで目地幅を小さくした。玉出入路は、2 主桁で幅員が狭く、橋軸直角方向には 1 枚のパネルで構成したため、橋軸方向の継手はなかった。

 玉出入路がランプ橋であるのに対し、今回の守 S20 は本線橋であり、交通影響がより大きいため、更なる工程短縮の取組みとして、高欄・中央分離帯をプレキャスト化した。


UFC採用により床版を薄肉化
 3割以上軽量化でき鋼桁の補強量も大きく縮減

 さて、UFC床版を使うことの構造上のメリットは2つある。1つは床版の厚さを薄肉化できることである。本現場では現在のRC床版をプレキャストPC床版に打ち換える場合、60mm程度厚くし230mm厚のPC床版を設置する必要があった。UFC床版に用いるUFCの設計強度は180N/mm2と高く、通常のPC床版と比べて90mmも薄い140mmにできた。2つ目は薄肉化による軽量化である。超高強度繊維補強コンクリートを採用しているため、大きなプレストレスを与えることができ、3割以上軽量化できる。そのため、鋼桁の補強量を大幅に縮減することができた。

 UFC床版には平板型とワッフル型の2種類があるが、今回は平板型を用いた。理由はUFCの強度を活かし定着部をコンパクト化するとともに、径間中央の交差定着部で緊張することにより、端部場所打ちを回避し、耐久性向上、工程短縮が図れるためだ。ワッフル型を使わなかったのは、橋軸・橋軸直角方向ともにプレテンション方式で、床版同士は、橋軸方向に等間隔に配置した鋼横リブおよび鋼横桁で支持された状態で接合する必要があり、桁構造まで変えることが必要だったためだ。また、ワッフル型は、鋼床版と同等の軽さを求められる場合に適用することを想定して開発しているが、RC 床版の取替用の床版にはそこまでの軽さを必要としていないためだ。


パネルは全部で42枚配置
 アームローラーは2台使用

 今回施工するUFC床版(左写真)1 パネル当たりのサイズは、長さ1.1m~1.75m、幅 8.71m~9.75m、床版厚140mmで、床版重量は標準パネルで約4.9t、最大でも5.4tに抑えられた。UFCが有するセルフレベリング性状から地覆までを一体成型とはせず、地覆下床版端部までとなっているため、壁高欄のアンカーボルトは保護管で防護した。

 パネルは全部で42枚配置し、標準パネルが36枚、端部定着パネルが4枚、交差定着パネルが2枚という構成になっている。また、扇町出口に向かって拡幅をしているため、下り線側の標準パネルは橋軸直角幅のサイズが1枚1枚微妙に異なる。上り線側はそうした形状はなく、形状は均一である。UFC床版は、玉出入路同様、アームローラーを用いて運んだ。施工方向は守P21から守P20へ向かって施工した。アームローラーは玉出入路で用いたものを改造したものと、今回の床版架設用に新たに製造したもの、2台を使用した。玉出入路改造機は重量9.7tであるのに対して、新造機は重量10.1tで、全長、全幅、全高も改造機よりも大きくなっている。

2台のアームローラーを使用した(大柴功治撮影)

アームローラーによる床版の把持状況/アームローラーの車輪と吊り治具

 車輪間隔は多主桁に対応するため、アームローラーの荷重が3本の鋼桁に均等に分散されるように4mとした。また、旋回機能を付けている。(※主桁間は3.08m)

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