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クローラクレーン・ベント架設工法とトラベラークレーン架設工法を併用

国土交通省北陸地方整備局 妙高大橋架替事業 上部工架設が完了

 国土交通省北陸地方整備局高田河川国道事務所は、国道18号の太田切川渡河部に架かる妙高大橋の架替事業を進めている。現橋は橋長300mのPC4径間連続箱桁橋で1972年の架設から48年が経過している。2009年度の補修工事の際に箱桁下面のPCケーブルの破断が発見され、その後、補強ケーブルの設置などの応急処置や定期的な詳細調査などを行い、安全を確保していたが、抜本的な対策として2径間連続非合成鋼トラス橋への架替を決定した。その現場を取材した。


2009年度の補修工事でPCケーブル9本の破断を発見

 緊急・応急対応を行うとともに抜本的な対策として架替を決定

現橋の損傷状況と緊急・応急対応

 現橋では、2006年度の橋梁定期点検時にコンクリート表面にひび割れなどの劣化が確認されたことから、2009年9月から補修工事に着手したところ、同年12月に第1径間(長野側)のPCケーブル9本の破断が発見された。その後の詳細調査において第3径間で1本、第4径間で2本の破断も確認されたが、他の部位での顕著な損傷は認められていない。


妙高大橋位置図と現橋(国土交通省北陸地方整備局高田河川国道事務所提供。注釈なき場合は以下同)


第1径間のPCケーブル損傷状況


 損傷原因としては、橋面上からの水がコンクリート内部に浸透したことや桁内に取り込んでいた配水管が損傷していたことから桁内部の滞水によるものと推察された。同橋エリアは積雪が4mを超える豪雪地帯であることから凍結防止剤を散布しており、その影響も考えられた。

 高田河川国道事務所では第1径間のPCケーブル破断確認後、有識者と専門家による詳細調査を実施するとともに、アドバイスを受けながら緊急対応を実施。耐荷力を評価するための載荷試験を行うとともに、き裂変位計と沈下計を設置してセグメント桁の継ぎ目の変位とたわみ量を監視、A1橋台側にフェールセーフとして仮受台の設置などを行った。



20tトラック6台を乗せた載荷試験/き裂変位計/水管式沈下計


A1橋台側の仮受台


 2010年2月には保全検討委員会を立ち上げてさらなる対策を検討して、2011年度には第1径間と第2径間に6本、第3径間と第4径間に2本の補強ケーブルを設置した。さらに、防水工の再施工やPCケーブルの定期的な詳細調査、モニタリングの強化と継続を行っている。これらの応急対応で、上越地方と信州地方を結ぶ重要路線に架かり、交通量約14,200台/日(大型車混入率15.8%)の現橋の安全を確保してきた。




補強ケーブルの設置状況


架橋地の斜面中腹には湧水が存在。近隣工事でも難工事に

 斜面上の橋脚基礎を避けて2径間のトラス橋に

新橋架橋地と上部工形式の選定

 新橋は現橋の西側(太田切川の上流)の尾根部に架設される。架橋地周辺は妙高山の火砕流堆積物が堆積し、太田切川の洗掘により傾斜45°の深い谷地形であるため、架橋地はコストを勘案して現橋に近く谷あいが狭い箇所を選定した。これにより、現橋の橋長300mに対して、新橋の橋長は203mとなっている。



妙高大橋架替平面図


 斜面の火砕流堆積物は細砂にφ600~2,700mm程度の玉石が点在しているうえに、中腹には大田切清水と呼ばれる湧水があり、斜面上に橋脚を構築する場合には、基礎工で斜面の安定と湧水に対する対策が必要になった。ちなみに、上流側にはNEXCO東日本・上信越道の太田切川橋が架橋されているが、Ⅰ期線工事では構造物を斜面に施工する際に大量の湧水が生じて難工事になったという。

 そのため、斜面上の橋脚基礎と太田切川を避けて、谷部の平地に橋脚(橋脚高38m)を設ける2径間の橋梁とした。支間長が94.8m+105.8mで100mを超えることからトラス構造とし、豪雪地帯であるため道路上への落雪を避けることから上路式を採用した。また、冬期には路面が凍結するので鋼床版は避け、合成床版を採用して桁架設完了後に施工する。

 予備設計段階では、3径間連続PCラーメン箱桁橋と4径間連続非合成鈑桁橋も検討されたが、急傾斜地に下部工を構築することになり、架設構台やアンカー式土留め工などの仮設費がかさみ、トータルコストが高くなるので、経済性、施工性の観点から現上部工形式に決定された。



妙高大橋(新橋) 橋梁一般図


新橋完成予想図


主構高7~13mの変断面トラスを採用

 維持管理を考慮して検査路をアルミ製に

設計上の配慮

 新橋の支間長で等断面トラスとした場合、主構高は11~12mとなるが、斜面上にある橋台に作用する土圧を小さくし、杭基礎への負担を軽減するために、主構高を7~13mとする変断面トラスとしている。変断面では部材に応力が集中し、部材厚が局部的に厚くなったり、接合するボルト列数が規定を超過したりするので、橋脚上はボルト列数が規定を超過しない主構高で経済比較をして、13mとした。また、格間長も支間長とのバランスから経済性で最適化を図っている。

 維持管理面では、桁内に鉛直材や斜材が錯綜していることから、設計段階で橋梁点検車によるトラス部材や床版の点検が行えることを検証している。さらに、検査路全体にアルミ合金製上部工検査路を採用して耐久性を高めた。


側面組、平面組など仮組は合計6回実施

桁製作

 総重量約1,050tとなる桁の製作は、元請のJFEエンジニアリング・津製作所で行った。製作で苦労したのは中間支点部だ。変断面トラスであることから中間支点上で角折れしていて、下横構を取り付ける面外ガセットにナックルラインが設けられており、下横構を取り付けるためには3次元的に加工しなければならず、CIMで確認を行って製作していった。



中間支点部の桁製作/架設後


 仮組は、上下弦材と鉛直材、斜材を横に倒した状態で側面に組み、下弦材と横構は平面に組むなど、全体を6回に分けて実施している。工場塗装は重防食塗装のC-5塗装系とし、桁端部と下弦材の下フランジ+ウェブ立上り10cmについては下塗りを1層追加した(現場塗装はボルト添接部8層塗り)。



横に倒した状態での「側面組」/下弦材と横構の「平面組」