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プレキャストPC床版を全面採用、継手部は「スリムファスナー」を用いる

NEXCO東日本 東北道 宮城白石川橋で約2500m2の床版取替

公開日:2020.09.07

1枚ごとにサイズが異なる端部調整版を30枚設置
 調整版製作では底型枠を分割して対応

 床版全面をプレキャストPC床版としたことも本工事の特徴だ。当初計画では端部は場所打ち床版であったが、工程短縮と品質向上のために全面的に採用した。そのため、端部であるPA1とPA1側P4には各7枚、A2とA2側のP4には各8枚、合計30枚の端部調整版を設置している。


新設床版割付図

 端部調整版は1枚ごとにサイズが異なるとともに、大きな斜角を有しており、サイズは橋軸方向最小1.11m~最大2.05m(床版センター)、橋軸直角方向最小10.7m~最大12.5mとなっていた。施工にあたっては、「端部場所打ち床版での調整ができないため、日々測量を行い、プレキャストPC床版の設置精度に留意した」(大林組・横河ブリッジJV)という。
 これにより、場所打ち部は端部の伸縮装置の後打ちコンクリートと伸縮装置横の場所打ち壁高欄のみとなり、省力化と高耐久化が図られた。
 プレキャストPC床版の製作は、日本高圧コンクリートの埼玉工場で行った。上下鉄筋の垂直確保のために、鉄筋組立台を実際の横断勾配に合わせた構造とする工夫を行ったほか、板鋼に継手鉄筋のピッチに合わせた半円形の切込みを設けて組立て時のガイドとし、より正確な配筋とするようにしている。端部調整版の製作では、型枠を増やすとコストアップにつながるとともに、型枠製作の遅れから床版の納期に影響することから、底型枠を分割してさまざまなサイズ、角度に対応できるように工夫した。


新設床版の製作

「フランジブラスター」を用いてケレン作業を大幅省力化
 ケレンくずやブラスト材の清掃作業も不要

桁上フランジ研掃作業
 既設床版撤去後は、桁上フランジのケレンと塗装作業を行うが、そのケレン作業では、「フランジブラスター」を用いて工程短縮を図った。開発した大林組によると、従来の人力での作業と比べて約50%の省力化が可能になるという。



フランジブラスターでのケレン作業(上右写真・下写真:大林組・横河ブリッジJV提供)

 同装置は、自動でスイングするブラスト噴射装置とケレンくずやブラスト材を自動回収するバキューム装置で構成されている。走行車輪がついていて、桁フランジの上を手押しで移動することにより、ケレン作業と清掃作業を同時に行うことができるものだ。ブラスト噴射部を金属製の防護箱で囲うことでケレンくずやブラスト材が飛散せず、バキューム装置がそれらを回収するので清掃作業も不要となっている。

UFCを間詰材に用いる「スリムファスナー」で工期短縮
 壁高欄はEMC壁高欄を採用

継手構造と壁高欄
 総継手数130箇所におよんだ継手部には、「スリムファスナー」を採用した。圧縮強度180N/mm2以上、引張強度8.8N/mm2以上を達成する常温硬化型の超高強度繊維補強コンクリート(UFC)「スリムクリート」を間詰材に用いるプレキャストPC床版接合工法だ。


継手部にはスリムファスナーを採用

スリムファスナー概要図(大林組HPより)

 同材により間詰幅を従来のループ継手の約半分である210mmにできるとともに、支保工なしで打込みが可能。さらに、橋軸直角方向の追加鉄筋も不要で、プレキャスト床版に埋め込まれた橋軸方向の鉄筋のみとすることができる。鉄筋や型枠組立て作業が減ることで、従来工法と比較して最大で約50%の工期短縮を実現している。コロナ対策を実施しながらの施工において、同工法を採用していた意義は大きかったと言えるだろう。


スリムクリートの打設

 壁高欄はプレキャスト壁高欄であるEMC壁高欄を採用した。同壁高欄と床版との固定や壁高欄同士の連結をアンカーボルトおよび曲がりボルトで接合し、連結後に切欠部へ無収縮モルタルを充填する簡易な構造であるため、壁高欄のみの工程で比較すると場所打ち壁高欄に比べて約2割の工期短縮が可能だ。
 施工は、5月28日から開始し、床版架設・撤去に用いたクレーンで標準サイズ4.4mのブロックを1日あたり約8基設置していき、21日間をかけて6月20日に架設を完了させた(計画では12日間で架設完了予定)。これは前述したようにコロナ対策で施工人員を制限したため、おもに1日あたりの架設数が半減しているためである。


壁高欄の施工

床版防水工と舗装
 床版防水は高性能床版防水工法(グレードⅡ)を採用し、ニチレキ「HQハイブレンAU工法」で施工した。舗装は、基層が橋梁レベリング層用混合物(FB13)、表層は高機能舗装Ⅱ型で舗設している。


床版防止工と舗装工

 同橋(上り線)の床版取替工事は10月2日から終日対面通行規制を開始する予定。新設床版にはNEXCO東日本と大林組が共同で開発した超高強度繊維補強コンクリート(UFC)を上面に用いた防水性能を有するプレキャストPC床版を採用する予定だ。

 元請は、大林組横河ブリッジJV。一次下請は、第一カッター興業(カッター工)、日本通運(床版取替工/PA1~P4)、坂上松居JV(床版取替工および研掃・塗装工、床版間詰工/P4~A2)、松浦重機東北、新北上重機(クレーン工)、松本建設(研掃・塗装工、床版間詰工/PA1~P4)、ダイヘンスタッド(スタッド工)、ケミカル工事(無収縮モルタル工)、タカミヤ(吊り足場工)、大林道路(中分改良工、渡り線、舗装工)、日本高圧コンクリート(PCa床版製作)、ケイコン・ゼニス羽田JV(PCa壁高欄製作)。
(2020年9月7日掲載 大柴功治)

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