道路構造物ジャーナルNET

桁および梁の仕口合わせに万全を期す

NEXCO中日本 名古屋西JCTのランプ橋桁と門型橋脚を架設

公開日:2019.08.22

 中日本高速道路(NEXCO中日本)名古屋工事事務所は、名古屋第二環状自動車道(名二環)名古屋西JCTで、5月21日夜間にC-2ランプ橋の東名阪道本線上を跨ぐ桁の架設、6月13日夜間にJCT南側に位置するP15およびP28の門型橋脚の架設を行った。桁の架設では、狭隘なヤードでの施工と桁の遊間調整に苦慮し、P15の橋脚架設では下柱との調整代がないことが課題となった。
 21日の架設桁は桁長約19m、鋼重約73.6t、13日のP15門型橋脚は橋軸直角方向約50m×橋軸方向約3m、鋼重274t、P28は梁部架設となり、R梁が橋軸直角方向約15m、鋼重約68t、L梁が橋軸直角方向約18m、鋼重約72tだった。名古屋西JCT~飛島JCT(仮称)間(延長12.2km)の2020年度開通を目指して工事が進む現場を取材した。

C-2ランプ橋(J11~J13)架設
 5月21日深夜から22日未明にかけて架設したのは、現在建設している名二環飛島JCT(仮称)方面から名古屋高速5号万場線に向かうCランプ橋(鋼5径間連続多主鈑桁橋+鋼8径間連続鋼床版箱桁橋、橋長約560m)の東名阪道本線上を跨ぐ桁(J11~J13)。桁長は約19m、床版を含む幅員は約7m、桁重量は約73.6tだった。


左:位置図(NEXCO中日本提供)
右:東名阪道本線上を跨ぐ桁を架設する(大柴功治撮影、注釈なき場合は以下同)

 現場は、交通量の多い国道302号と県道115号の交差点付近であり、東名阪道の高架と県道115号(西進)の間にはほとんどスペースがなく、架設済み桁の橋脚も近接していた。そのため、ヤード幅が約6mしかなく、架設に使用する550t吊トラッククレーンと架設桁は、県道115号(西進)の1車線を規制して設置しなければならない状態だった。


架設図(NEXCO中日本提供)


ヤード幅は約6mしかなく、県道115号(西進)の1車線を規制した

 地組ヤードの確保も橋脚や既設桁があるために難しく、架設ヤードを挟んで県道115号(西進)の南側の限られたスペースで地組を行った。架設桁は、架設前日の夜間に県道115号(西進)を通行止めにして、550t吊トラッククレーンを用いて架設ヤードに移動している。


架設ヤードを挟んで県道115号(西進)の南側に設けられた地組ヤード

クレーンのブームと東名阪道の遮音壁との離隔は約400mm
 桁の遊間調整では4回にわたり桁伸縮量を計測

 架設は、東名阪道名古屋西IC~名古屋高速5号万場線千音寺IC間の上下線を22時から通行止めにして行われた。東名阪道の通行止め規制にあたっては、「1年前から関係各所と協議して、通行止めの連絡体制と計画構築を行ってきた」(名古屋工事事務所)という。
 東名阪道の通行止めと、クレーンの俯角に入る県道115号(西進)の1車線追加規制が完了した後、22時30分ごろに地切りし、同45分ごろに巻上げを開始した。ブーム長は43mで右に約120度旋回し23時ごろに架設位置に到達させている。吊上げにあたっては、クレーンが東名阪道に近接していたので、ヤード上と東名阪道本線上の双方からロープを使用して架設桁の挙動を制御して、施工の安全を確保した。さらに、架設位置に到達後の「クレーンのブームと東名阪道の遮音壁との離隔は約400mmしかなかった」(元請のJFE・IHI・横河JV)ために、慎重に施工した。



東名阪道上を旋回させながら架設位置に到達させた

 架設桁(J11~J13)は、両側の桁が架設済みのため、落とし込みによる架設になる。縦断勾配はJ11側へ向けて4.2%だった。
 課題となったのは、桁の遊間調整だ。架設日前は気温変動の大きい日が多く、桁の伸縮量が読みづらい状態だった。そのため、「架設当日を含めて早朝や気温が高くなる昼間に合計4回の測量を行い、伸縮量の傾向をつかみ、計画した遊間で問題がないことを確認した」(JFE・IHI・横河JV)。ちなみに、桁の伸縮量は最大で約40mmに達したという。
 落とし込み時の遊間はJ13側が20mm、J11側がJ11~AP7の架設済み桁を事前にセットバックすることにより当初計画では100mmとなっていた。ただ、当日にJ11側は100mmの遊間は必要ないと判断し、作業を少しでも早めるために事前に60mmのセットフォアを実施し、40mmの遊間とした。



微調整をしながら桁を落としこむ

 落とし込み位置調整後、チェーンブロックを用いて仕口調整を行い、23時30分ごろには仕口調整が完了。24時過ぎからはJ13側のボルト接合を開始した。J11側のJ11~AP7の20mmのセットフォアは24時45分ごろに完了して、J11側もボルト接合を開始した。


仕口調整が完了

 架設当日は、J13側では248本の本締めを実施、J11側では248本の本締めを実施して、総締め本数(J13側672本、J11側672本)の3分の1以上を確保した。1時30分ごろにはJ13側のラッシングが終了し、3時ごろにJ11側のラッシングも終了して、架設作業が完了したため、通行止め規制を予定時間の6時よりも2時間早い4時に解除することができた。

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