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床版防水工も5分野24の留意点に沿って施工へ

南三陸国道管内 小佐野高架橋の高耐久RC床版施工現場を視察

公開日:2018.11.15

 細田暁横浜国立大学教授、佐藤和徳日本大学教授(元南三陸国道事務所長)、子田康弘同大学准教授らは、国土交通省東北地方整備局南三陸国道事務所が所管する小佐野高架橋(鋼4+4径間連続非合成箱桁橋、460.7m)の現場打ちRC床版の現場視察を行った。南三陸国道事務所では、凍害や塩害に対して耐久性の高い現場打ちRC床版の施工を試行しており、同橋にも適用している。対策内容としては、水結合材比の低減、高炉スラグ微粉末やフライアッシュの使用+長期封緘養生、膨張材の使用(ひび割れ抑制)、段階施工時に生じるコンクリート引張応力の事前検討と低減、コンクリートの物性を事前に計測した結果に基づく温度応力解析、十分なエントレインドエア(受け入れ時に空気量5%以上を確保することを目標)の確保、塩分環境下での骨材の反応性確認などを行っている。


小佐野高架橋(本線部)

 同橋の上部工は甲子川渡河部のA1~P4間(床版厚は210~250mm)を高田機工(床版打設一次下請は近畿鉄筋コンクリート)、P4~A2(床版厚は230mm)とランプ橋部(117.72m、鋼3径間連続非合成箱桁橋、床版厚は210mm)を川田工業(床版打設一次下請は小林建設)が施工した。床版のコンクリートの打設は高田機工が3月末~4月末にかけて、川田工業がランプ橋は3月末~4月上旬、本線橋を5月上旬~6月上旬にかけて、それぞれ打設した。


床版上面はおしなべて非常に美しい

 現場に行くと寒風が吹きすさぶ。床版上面は微細なひび割れは少しあるものの、有害なひび割れはない。ただし、表面に足跡のような模様が転々とついている箇所がある。養生シートの上を歩いてしまったのだろうか。少しばかり砂地となっていた。箇所によっては不陸も生じており、磨いた形跡があった。床版の品質には影響がないが、防水工や舗装などの後工程を考慮すると改善の余地がありそうだ。


微細なひび割れ/表面についた足跡

 視察後は床版防水工の施工上の留意点について、同事務所の担当者や幹部、舗装元請のNIPPOの現場代理人などを交えたディスカッションが行われた。佐藤和徳教授は、国土交通省の床版防水工の標準仕様で漏水の可能性があるケースとして①地覆・壁高欄、排水枡周りなどの端部と②防水シートの施工時の破損を指摘した。その上で、下地処理、防水シートの敷設方法、端部の処理方法、舗設準備状況、舗装端部の転圧の5分野について24の留意点を試行版として提起しており、小佐野高架橋ではこの提案に沿って施工がなされる予定だ。また、これらの成果は、現在細田教授らが中心となってまとめている「RC床版の高耐久化の手引き(案)」(仮称)に反映される予定。同案の適用範囲は東北地方整備局全域で、来年3月5日には仙台市内で講習会が開催される予定だ。


床版防水工に関するディスカッションも行った

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