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水尻橋・立沢川橋・蛇王川橋・赤牛川橋・気仙沼湾横断橋P12

仙台河川国道 復旧・復興道路の現場を巡る

 記者は7月末に国道45号の復旧工事、復興道路などを取材した。その内容について、松居所長インタビュー記事と併せてレポートをお届けする。(井手迫瑞樹)


 取材日直前から、ぐずついていた天気は、奇跡的に回復、晴天下での取材を行うことができた。東京を始発の新幹線で起ち、仙台河川国道事務所に9時前に到着。9時半に事務所を出発し、仙台南部道路、仙台東部道路、開通した三陸道を経て、志津川ICで降り、最初の目的地である水尻橋に到着したのは11時前だった。


高耐久PC桁の実験場

水尻橋

 水尻橋は、先の東日本大震災で流失した国道45号の橋梁。橋長76.5m、幅員3.5+10+3.5mの2径間連結PCポステンスラブ桁橋で、現在は下部工を完了し、上部工を架け替えていた。同地周辺では、新たな街づくりに伴い、TP8.7mが防潮堤の高さになっている。地盤は旧地盤高から10mかさ上げしており、国道45号の道路面も同様に嵩上げしている。水尻橋を含む国道45号の復旧区間は2.5kmだが、北半分1.3km弱は2年前に供用しており、現在は残る南半分1.2km区間の工事を進めていた。写真位置は、同様に流失橋の架け替えを進めている汐見橋と水尻橋に挟まれる土工区間になる。汐見橋は橋長約78mの2径間連続PCバルブT桁橋で、ここでも主桁の架設を行っていた。


水尻橋工事概要(日本ピーエス提供)


記者が取材した時は桁架設前だった/傍らでは建設中のPC橋も(井手迫瑞樹撮影)


 さて、水尻橋で最も大きな特徴は、平成28年3月に出された高耐久PC桁の仕様を初めて採用していることである。東北地方整備局管内では被覆PC鋼材とPEシースの組み合わせを用いた施工実績がまだ少ないため、同橋の製作の傍ら、施工ヤード内に実際のシースの形状を模した実物大の供試体を製作し、高粘性グラウト(注入速度は毎分10ℓに設定)と流量の異なる2種類のプレミックス型の超低粘性グラウト(毎分10ℓおよび5ℓ)を用いた施工実験を行った。水尻橋ではグラウトは上部からではなく、最も低い中間部分から注入した。通常は両端の比較的高い位置からグラウトを行うが、水尻橋では独特の勾配を有し、通常のやり方ではグラウトが注入し辛いことから、今回のような方法を採用した。シースの内径は70mmと従来(同75mm)より空隙比率が少ないため、超低粘性で押していくことを考えている。グラウト長は左右各37mに達する。充填確認方法は各排出口からの溢れに拠る。この試験及び実施工で得た知見は、仙台河川国道事務所だけでなく東北地方整備局全体の高耐久PC桁施工に反映していく方針だ。


工場内でのグラウト充填試験(日本ピーエス提供)


実物大グラウト試験設備(左:井手迫瑞樹撮影/右:日本ピーエス提供)


中央部の閉合調整に苦労

立沢川橋

 さて、次に立ち寄ったのが復興道路の志津川IC~歌津IC間にある立沢川橋だ。同橋は南三陸町志津川の立沢川を渡河する橋長165mの3径間連続PCラーメン箱桁橋で、橋長の約半分ずつをオリエンタル白石(北側)と安部日鋼工業(南側)が別々に建設を進めた。両社とも移動作業車を使った張出し工法を採用したが、「中央部の閉合調整に苦労した」という。通常は側径間を先につなぎ、桁中央部を最後に連結するものだが、現場条件や2社別々の施工のため、調整が難しいことから中央径間を先につなぐ手法に変更し、最終ブロックの施工及び上げ越し誤差調整は現場に後から入ったオリエンタル白石が担当した。


立沢川橋(井手迫瑞樹撮影)

 同現場は材料面でもこだわった。当初は(前後の道路ができておらず)、30~40m下からのコンクリート圧送が必要であったため、各部位で高性能AE減水材や膨張材を適切に使用して圧送性を高めつつ、打ち継ぎ個所の拘束クラックやマスコン対策を行った。具体的には早強コンクリートおよび早強コンクリートに膨張材を添加したものをスランプ8cmおよびスランプ12cmの2種類、計4種類用意し、状況に応じて使用した。昨年度末には前後の道路が使えるようになり、「搬入路が改善されたことから施工環境や品質管理は大きく改善された」(安部日鋼工業)としている。また、高炉スラグコンクリートを壁高欄や中央分離帯壁という比較的かぶり厚の薄い箇所に使用し、将来の凍結防止剤散布による塩害に備えている。

 鉄筋は端部のみエポキシ樹脂塗装鉄筋を採用、シースはポリエチレンシースを使用している。

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