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北川鉄工所と共同 巻上装置と移動装置が独立し、クレーンに分類されない構造

大成建設 新方式の半断面床版取替機を開発

公開日:2023.11.28

 大成建設は、北川鉄工所と共同で高速道路リニューアル工事の大幅な工期短縮を実現する新方式の半断面床版取替機を開発した。同取替機は、巻上装置と移動装置が独立し、クレーンに分類されない構造としている。また足回りは架台やレールなどが不要な車輪自走式を採用している。同構造や足回りを採用したことで、床版取替工事の際の床版取替機の組立・解体および検査に要する日数を従来の1/3、週末開放施工の場合の床版取替期間を従来の1/4にそれぞれ短縮できるのが特徴だ。(井手迫瑞樹)

床版取替機の組立・解体に補助クレーン不要
 監督署によるクレーン検査が不要

 同社が開発した半断面床版取替機は、新設側フレーム、既設側フレームの2つの大型部材と附属する巻上装置、移動装置、吊り治具、発電機ユニットで構成される。フレームの延長方向長さは最大20m、幅は最大4m、フレーム直下のクリアランスは3.5~4.5mであり、この間で作業を行う。


新しく開発した半断面床版取替機(大成建設ニュースリリースより抜粋、以下同)

 同工法の従来の半断面取替機にないメリットは、①床版取替機の組立・解体に補助クレーン不要を実現、②クレーン規格外としたため、監督署によるクレーン検査が不要、③車輪による単独走行が可能――な点である。
 設置は、まず既設側フレームおよび新設型フレームを各々トレーラーで搬入し、各フレームの支持脚をトレーラーから伸ばして床版上に設置する。トレーラーが抜けた後、両フレームを接続する。次いで、別トレーラーで巻上装置および発電機ユニットを搬入して、設置する。この際、設置に補助クレーンは一切必要としない。


設置手順

 さらにクレーン構造規格外であることを、製造元の広島県内の労働基準監督署と施工地の監督署(1号案件の岐阜県内)に確認したところ規格外であることが承認された。一般的な汎用重機と同様に運んで組み立てるだけで使用できるため、検査に要する時間(約半日)を不要とした結果、「劇的に組立てに要する時間を削減できる」(大成建設)(下表参照)

 しかし、クレーン規格外とはいえ、施工の際はクレーンに準ずる使い方をしなくてはいけない。そのため、クレーン規格の安全性に基づいた構造計算と構造をしており、「クレーンに匹敵する強さ、構造となっている」(同社)。さらに「スペアを備え置き、機械に損傷が生じた場合、すぐ直せるようにしている」(同)。

巻上装置と移動装置および吊り治具が分離
 吊荷の安定性にも配慮した構造を採用

 本床版取替機の構造の最大の特徴は巻上装置と移動装置および吊り治具が分離していることである。撤去の際は、巻上装置と吊り治具を接続して、切断した既設床版を巻上げ、所定の高さまで巻き上げた後、床版を移動装置に掴みかえる(その際、巻上装置は再度掴み下ろす位置まで移動させておく)。そして移動装置をフレーム中央まで移動させた後、移動装置で床版を90°回転させ、さらに床版を巻上装置の位置まで移動させて巻上装置に掴みかえ、移動装置は次の作業場所まで移動させ、床版を巻上装置でトレーラーに積み、トラックで搬出する。床版設置はこの逆の手順で施工していく。


施工手順

施工後の次の場所へのフレーム移動概要図

 また、吊荷の安定性にも配慮した構造を採用している。同取替機は吊荷の姿勢を制御するため、巻上装置の4つの独立ウインチとワイヤーで吊荷の姿勢を制御できるようになっており、壁高欄付き床版などの偏心している吊荷でも水平を保持した安定した姿勢で上下させることが出来る。さらに移動装置には回転中心スライド機構を設けている。床版長手方向に90°回転する際に、吊荷が作業エリア(半断面を想定しているため極めてセンシティブである)からはみ出さないよう、回転中心から左右に300mmずつスライドできる機構を備えている。
 既に5機製作中で、来年5月からはNEXCO中日本の現場で3機、同7月からはさらに別の現場で2機使用する予定だ。

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