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鋼床版面積が大きく、車線規制下での施工と通行止めでの施工両方で行う

名高速 高速2号東山線新洲崎JCT~丸田町JCT間4.3kmをリフレッシュ

公開日:2023.11.28

 名古屋高速道路公社は、10月28日~11月4日にかけて高速2号東山線新洲崎JCT~丸田町JCT間(入口3カ所、出口2カ所含む)の延長約4.3kmのリフレッシュ工事を車線規制及び上下線通行止めして施工する工事を行った。RC床版では床版の補修、複合防水の設置、舗装の打ち替え、鋼床版では舗装打替えを主とするリフレッシュ工事を実施するもの。通常は9日間程度を通行止めしての施工であるが、今回は鋼床版の施工面積が約3万㎡と大きく、例年の9日程度の通行止め期間内で施工できる量を超えていることから、事前に車線規制工事を行って一部区間を先行施工している。また、JCT部やランプ部など、通行止めを行わないと施工できない箇所もあることから、車線規制下での施工と通行止めでの施工とで行う計画とした。(井手迫瑞樹)

鋼床版が約29,470㎡、RC床版が約45,870㎡
 Iリフレッシュ工事に係わるのべ人員は約8,300人

 内訳は鋼床版が約29,470㎡、RC床版が約45,870㎡。舗装のほか、路肩コンクリート撤去、床版上面の断面修復、その他の付属工事、構造物点検も合わせて行った。4工区での施工とし、リフレッシュ工事に係わるのべ人員は約8,300人に達する予定だ。

 2号東山線の1日平均交通量は、新洲崎JCT~白川間の上下線で約3.1万台/日、白川~吹上間で同約2.2万台/日、大型車混入率は9.6%(R3センサス値)となっている。供用年次は新洲崎JCT~白川間が万場線と同じ昭和61年10月27日供用であり、白川~吹上間が昭和63年4月26日に供用された、設計はいずれも昭和55年道路橋示方書に基づいている。平成13、14年度に新洲崎JCT~吹上間上下線 で舗装修繕、同20年度に同区間 の西行きの舗装打ち替えを実施し、その際は塗膜防水のみを行っている。但し令和3年度に東行きの白川出口付近の約400m区間を先行施工しており、同区間については床版防水工なども施工済みである。施工区間の東行き(下り)の基層までの切削は、先行施工区間を除くと初めてで、床版防水も未設置であるため、初の施工となる。RC床版厚は240mmとなっている。


施工数量とRC床版および鋼床版の補修概要図

IH式舗装撤去工法、研掃用WJ、ショットブラストなどを採用
 低弾性PCMを使って断面修復を行い、複合床版防水工

 施工はまず舗装の切削から始める。鋼床版部は施工の効率化と騒音低減を目的として、IH式舗装撤去工法を大部分(22,890㎡)で採用し、電磁誘導加熱により舗装と床版の界面接着を切った後バックホウで舗装を撤去し、残アスファルトについてはビーストなど乗用タイプの大型剥がし機を用いて、RC床版部については、通常の切削・撤去を行った後、同様の剥がし機または研掃用WJでアスファルト舗装撤去後に残ったタックコートや接着防水層を除去した。さらに鋼床版は通常ショットブラスト(投射密度300kg/㎡)で研掃するが、地覆-床版際部などでは錆部が激しく場所によっては400~500kg/㎡の投射密度を必要とする箇所もあった。


RC床版上の残滓をWJで除去

ショットブラスト前の鋼床版/地覆-床版際部などでは400~500kg/㎡の投射密度を必要とする箇所も

ショットブラストの施工状況

 RC床版部は目視および打音検査で損傷箇所を確認した後に、1㎡以上の断面修復が必要な箇所はWJ、同未満箇所はベビーチッパーなどではつりを行う。その上で低弾性PCMを使って断面修復を行い、表面をショットブラスト(100~150kg/㎡)で研掃した後、複合床版防水工を行う。本現場では端部は立ち上げまで防水処理し、成形目地を設置し、防水を実施した。


WJの施工状況①

WJの施工状況②

ベビーチッパーによる脆弱部のはつり

 その後、基層(密粒度As(13)改質Ⅲ型-W)40mm、表層(排水性舗装)40mmを舗設した。
 鋼床版部はレベリング層として高耐久グースあるいは通常のグースアスファルトを施工した上で、表層を舗装していく。

万が一鉄筋損傷が生じた際もバックアップ体制を構築

 一昨年度のリフレッシュ工事で起こしたバックホウ施工時に鉄筋を損傷させてしまう事故を防ぐため、今回のリフレッシュ工事でも以下のような対策を施している。

 まず、舗装撤去時のRC床版損傷対策として机上調査および事前調査で床版被り厚が薄い箇所の当たりを付ける。次いで舗装基層の切削は床版上面に1cm程度残す形で行い、コンクリート部を切削しないようにした。その上でバックホウを使って残ったアスファルトを剥ぎ取るが、鉄筋が引っかかったことを刃先に感じれば直ちに止めるよう指示した。見落としを避けるためにバックホウの作業時は必ず監督員が現場に配置するようにした。また、各工区が昨年度の鉄筋損傷時の復旧工事で活躍したエヌダブル に万が一鉄筋損傷が生じた際のバックアップを準備させて施工に臨んでいる。


バックホウで撤去中の既設舗装

 バックホウでの残アスファルト剥ぎ取り中に鉄筋露出箇所が発見された場合は作業を一時中止し、5m程度離れた位置で再度バックホウによる剥ぎ取りを実施する。そこでも鉄筋が露出するようであれば、その径間のバックホウによる舗装版撤去は中止することとした。これは鉄筋が露出した場合の対処をあらかじめ定めることで、舗装版撤去作業に注力し過ぎ、鉄筋を巻き上げてしまうといった事故を防ぐとともに、監督員が迷わず作業中止を判断できるよう配慮したものである。

リフレモルセットSFとスーパーセットリペアを採用
 路肩コンクリート撤去には静的破砕剤『太平洋ブライスター』を注入

 WJは、昨年施工時の水回りの処理とはつり品質を考慮した結果、4工区 ともサーフェステクノロジー(使用WJ機械『オートチッパー』、4台)に統一した。施工に用いたWJの吐出量および吐出圧は60l/m、230~240MPaに設定した。これにより脆弱化したコンクリートを床版の上段配力筋下面まではつり、後工程のPCMの施工品質確保を助けている。

 こうしたはつり作業後、腐食した鉄筋はさびを落とし、防錆剤を塗布し、鉄筋防錆を行った。
断面修復材は、ひび割れ含浸プライマー、接着剤を断面修復部全体に塗布した上で、既設床版と静弾数係数が等しい(26.5±5kN/mm2)低弾性材料の使用を規定した。本現場では第4工区で、ひび割れ含浸プライマーにスマートボンドプライマー、接着剤にスマートボンド(NIPPO)、断面修復材に スーパーセットリペアP(同)、第1~3工区と第4工区の一部 で、同様に浸透性NSBプライマー(日進化成)、ニッシンボンド(同)およびリフレモルセットSF(住友大阪セメント)の組み合わせが使われている。


プライマーの塗布


小規模断面修復

比較的大断面の断面修復

 次いで100~150kg/㎡程度の投射密度によるショットブラストを施したのち、床版防水工を施工する。全体で46,570㎡施工するが、今回は全面積でデンカの「デッキコート複合防水工法」を使用している。 床版コンクリート上面及び地覆立ち上がり部までアクリル樹脂系の浸透材を塗布し、次いでその上にアスファルト加熱型塗膜系防水材を設置する工法だ。


RC床版上のショットブラスト

複合床版防水の施工(左、中)と舗装工(右)

 一方、床版防水の施工や床版の補修において阻害要因となる路肩コンクリートの撤去は、今回の施工範囲のほぼ全延長、両側合わせて10,150mを対象に施工した。路肩コンクリートに30mm幅の溝を作成して静的破砕剤『太平洋ブライスター』を注入し、24時間養生 を行い、破砕が進んだのちにバックホウで撤去している。


太平洋ブライスターの施工と破砕された路肩コンクリート

 元請は第1工区が大有建設、第2工区が中部土木、第3工区が日本道路、第4工区はNIPPO。WJの一次下請はサーフェステクノロジー、2次下請は久野製作所、キクテック。IHの一次下請は竹中道路(第1~3工区)、グリーンアーム(第4工区)。切削の一次下請は、ヘイセイテック、佐原工建、ユナイト(第1工区)、ワールド開発工業、大塚建設(第2工区)、ナミセイロード(第3工区)、ユナイト(第4工区)。ショットブラストの一次下請はフタミ。緊急対応はエヌダブル。

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