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1層で200㎜の厚付けが可能で複数回の吹き重ねが不要

太平洋マテリアル 1材型PCM乾式吹付工法『太平洋エアショットワン』工法を展開

公開日:2023.07.31

 太平洋マテリアルは、橋梁のコンクリート床版や下部工、港湾施設などの断面修復に1材型ポリマーセメントモルタル乾式吹付工法『太平洋エアショットワン』工法を展開している。「従来の乾式吹付工法の課題であった粉塵の抑制や作業性の改善および性能向上を図った次世代の断面修復工」(太平洋マテリアル)として、2022年の販売開始から1年半で順調に実績を伸ばしている。同吹付工法は粉体と水を別系統で圧送し、手元の専用ノズル内において粉体がシャワーリングを通過することによって水と混ざり、さらに最先端部の混錬機構を通ることでモルタル化して吐出されるもの。ノズルの長さも混ざりやすさと、吐出時の施工しやすさを考慮して設計されている。吹付能力は0.2~1.0m3/時間で、リバウンドもなるべく抑えた設計である。(井手迫瑞樹)


エアショットワンの基本構造図

1層で200mmの厚付けが可能、モルタルの性状調整が容易に
 圧送可能距離は200m

 同工法の特徴は、モルタルを構成する粉体と水が直前でモルタル化する乾式吹付工法を採用していること、水を常に定量で送り続けることが出来る特殊水供給ポンプを使っていることである。乾式吹付工法のため、1層で200㎜の厚付けが可能で複数回の吹き重ねが不要となり、圧送距離は200mまで伸ばすことが出来た。水の圧送は汎用的なダイヤフラムポンプでなく制御機能や流量計を付加したモーノポンプを用いることで、水量も正確に調整することが出来、規格値の範囲内でモルタルの性状を変えられ、現場の施工条件に応じたモルタルを打設できる。また、粉体圧送は市販の粉体圧送機を同工法専用に改良したものを使用している。


施工状況写真


標準配合と圧縮強度

性能例

各種試験後の解析結果

PCMの付着性能を確保するためプライマーを施工面全面に塗布
 同社が初期指導を行う

 現場での施工は、WJなどで脆弱部をはつった後、鉄筋の防錆処理を行い、モルタルの付着性能を確保するために吸水調整機能を持つプライマーを施工面全面に塗布する。その上で所定の修復厚さまで吹付を行い、表面を左官仕上げして完成となる。人工はプラントに2人、ノズルマン、ノズル補助に1人ずつ、さらに左官仕上げに3~4人程度で施工できる。施工には専用機械の操作および施工作業の習熟などが必要であるため、太平洋マテリアル側が初期指導を行っている。

 同社では、「今後も施工性の向上に努め、広くコンクリート構造物全般の補修・補強工法として展開していく」方針だ。

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