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講習会も開催、約100人が参加

プレビーム振興会 国道20号八王子南BP殿入高架橋で現場見学会を開催

公開日:2023.07.11

 プレビーム振興会は28日、八王子市内で講習会及び現場見学会を開催した。現場見学会の対象となったのは国道20号八王子南バイパスの同市道や殿入川を跨ぐ箇所に架かる殿入高架橋だ。同橋は上下線の本線橋と側道橋の4本の橋梁で構成されている。殿入川や市道の位置、市道の建築限界などを考慮して、いずれも殿入川を跨ぐA1~P1のスパンが最長で桁高も1.2mと高くなっている。P1~P2、P2~A2は建築限界を考慮し、いずれも桁高を90cmと抑えているのが特徴だ。「PCコンポ桁で設計した場合は約1.5倍を超える桁高になる」ことも予想されることから、SRC構造で桁高を抑え、スパンもある程度飛ばせるプレビーム合成桁を採用している。講習会および現場見学会には実地とweb配信合わせて約100人が参加した。(井手迫瑞樹)


講習会には約100人が参加/現場見学会も開催した

上下線と両側の側道橋4橋をプレビーム合成桁で設計・施工
 市道直上の建設限界に桁高対応できるため採用

 殿入高架橋はいずれも橋長65m前後の3径間連続プレビーム合成桁(側道橋:5主桁、主桁間隔は2,300mm、本線橋:4主桁、主桁間隔2,300mm)である。プレビーム桁は鋼桁、下フランジコンクリートと床版コンクリートが合成された構造。鋼桁に荷重を裁荷し曲げ変形(プレフレクション)を与えた状態で、下フランジコンクリートを打設し、硬化後に荷重を解放することにより、下フランジコンクリートに圧縮力をかける構造。これにより①桁高を低くでき、②変断面の桁形状にも対応可能で、③連続桁により、さらに経済性を発揮できる。④また、平面桁配置の自由度が高いため、複雑な道路線形への対応が可能だ。1968年の初採用以来、道路橋で1,105橋、鉄道桁29橋、建築梁103件の実績がある。また、東京都内に限って言えば、殿入高架橋を含めて36橋の実績を有している。

 

 本線橋は下り線が橋長64.867mで支間長はA1側から25.248+20.956+17.263m、上り線が橋長65.313m(25.352+21.045+17.337m)、側道橋は下り線が橋長64.686m(25.18+20.895+17.211m)、上り線が橋長65.133m(25.419+21.105+17.389m)となっている、本線橋は自動車専用橋であり有効幅員は7.75m、側道橋は車道部が5.5m、歩道部が4.5mであり、本線橋より側道橋の方が幅員は広い構造となっている。



本線橋と側道橋構造図


A2側の丘の上から見た全景写真

 河川や市道の位置を考慮し、A1~P1のスパンが長く、P1~P2、P2~A2のスパンが短い構造となる。P1~A2間は市道が2本、桁下を横断しているため、桁高を抑制する必要がある。さらに側道橋はA1側が高い位置にあり、P2まで6%を超える下り勾配であり、P2~A2は逆に上り勾配という特殊な縦断線形を有している。逆に本線橋はA2からA1に向かって2%の下り勾配であり、いずれも市道直上を跨ぐことから桁高を絞れるプレビーム合成桁を採用した。


渡河部と市道を跨ぐ部分の径間

桁高が大きく変化する

側道橋の縦断勾配も特殊だ

現場条件を考慮し、3社で統一して重機を使用
 桁上にはKKフォーム(アーチフォーム)を配置

 同橋は、架設手法も工夫した。下り線本線及び側道橋は川田建設、上り線本線橋はドーピー建設工業、同側道橋はIHIインフラ建設が、いずれも同時期に受注し、各社でクレーンなどの重機も積算の中に入っていたが、「工事用道路が上り線側道橋の外側しかなく、そこからしか資材搬入や重機による架設が出来ないため、工程の錯綜が懸念された。コスト縮減とそうした作業効率の改善を図るため、重機は3社で統一して1台を使い、工事用道路から最も奥に位置する下り線側道橋のA1~P1から順に上り線側道橋方向に1径間ずつかけていく手法を採った。また、桁重(添接部以外の鋼桁下フランジに予めコンクリートを打設済み)はA1~P1が35t、P1~P2が20t、P2~A2が17t程度であることからA1~P1間は550tATC、他径間は300tATCで一括架設した」(川田建設・川口英展現場代理人)。


A1-P1のセグメント桁接合状況
同主桁架設状況

横桁アングル架設状況/桁架設状況

P1~P2間セグメント桁架設状況

P1~P2間主桁架設状況

P2~A2間セグメント桁組立て状況

P2~A2間主桁架設状況/交通誘導員配備状況

 桁上には床版打設用の埋設型枠としてKKフォーム(アーチフォーム、1パネル橋軸450×桁間2,130mm)を採用した。「2人で架設できる程度の重さ」であり、はめ込んだ後、両側の隙間(桁間は2,300mmのため170mm程度の隙間ができる)に無収縮モルタルを打設し、アーチ反力を確保した。アーチフォームの架設は、足場設置の際の本線橋との取り合いを避けるため、側道橋側から架設していった。



アーチフォーム架設状況

無収縮モルタルを打設していく

接合部の下フランジはスランプ18cm、床版部はスランプ15cmで打設

 桁および型枠、鉄筋を配置した後は、コンクリートを打設していく。横桁間隔は約10mごとに配置し、プレフレクションの必要が無い接合部の下フランジを打設した後に、床版コンクリートを打設していく。接合部の下フランジはスランプ18cm、床版部はスランプ15cmで打設していく予定だ。

 設計は大日本コンサルタント。元請は川田建設、ドーピー建設工業、IHIインフラ建設。一次下請(重機)は小川建機。

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