道路構造物ジャーナルNET

「クイックデッキライト」や「エコクリーンハイブリッド工法」を現場見学

橋守支援センター静岡 「橋梁の維持管理技術研修会」を伊豆の国市で開催

公開日:2023.01.30

 NPO法人橋守支援センター静岡は27日、静岡県伊豆の国市で「橋梁の維持管理技術研修会」を開催した。自治体やコンサルタント会社、施工会社などから約50人が参加し、講習形式と橋梁補修工事の現場見学で新技術・新工法について説明を受けるとともに、情報交換を行った。
 現場見学を実施したのは、同市の狩野川を渡河する国道414号大門橋(橋長242m、4径間下路式トラス橋)の側道橋塗替え塗装工事(発注:静岡県沼津土木事務所/元請:アースシフト)。A1~P2の延長126m、面積2,603㎡をRC-1塗装系で塗替える。素地調整は1種ケレンで、既設塗膜に鉛の含有が確認されたことから「環境面で確実な施工を確保できる循環式ブラスト工法を採用した」(アースシフト)。塗装工はヤマダインフラテクノスが担当する。足場は、日綜産業のシステム吊り足場「クイックデッキライト」を採用(570㎡)し、現在は設置が完了している状態だ。



A1~P2間の塗替え塗装工を行う大門橋側道橋

 現場見学では、日綜産業による「クイックデッキライト」と日本構造物循環式ブラスト技術協会による「エコクリーンハイブリッド工法」の説明がされた。
「クイックデッキライト」は高強度のチェーンを使用していることから最大吊チェーンピッチ2.5m×2.5mを実現(最大積載荷重200kg/㎡)。これにより広く快適な作業区間を確保できるとともに、ウッドデッキ固定プレートと平頭ネジを使用することで段差や隙間がなく、足場内での作業効率と安全性の向上が図れる。跳ね出し床も最大2.5mまで作成可能で、本工事では避難通路として使用する。
 先行床施工方式での組立てが可能なことも特徴だ。本工事ではA1~P1間が狩野川の流路となっていて河川敷から高所作業車での足場設置が不可能であるとともに、側道橋のため橋面から橋梁点検車での施工もできなかったことから、先行床施工方式での組立てしかできず、広い作業区間などとともに同足場採用の決め手となった。


A1~P2間に設置された「クイックデッキライト」/無段差・無隙間の広い作業空間を実現

最大2.5mまで跳ね出しが可能/日綜産業による現場での説明

「エコクリーンハイブリッド工法」は、累計施工面積約1,600,000㎡(2021年度施工面積は約276,000㎡)に達する循環式ブラスト工法の機械設備を有効活用し、ブラスト用研削材(スチールグリット)をピーニング用特殊鋼球に替えることで、既設橋梁の疲労き裂予防ができるショットピーニングと腐食予防を同時実現したものだ。
 塗装塗替え工と同時施工することにより、足場や飛散防止設備、循環再利用設備を併用できることや、狭隘部への施工が可能などといった特徴がある。同工法で疲労強度も2等級向上することが実証されている。昨年には、同工法を開発したヤマダインフラテクノスが、岐阜大学の木下幸治准教授と共同で、「経済的で環境に優しい鋼構造物の疲労き裂予防保全工法の開発」が評価されて、文部科学大臣表彰科学技術賞(技術部門)を受賞した。これまでの施工実績は17工事で、NEXCOの特定更新工事や国土交通省の工事などで施工を行っている。


エコクリーンハイブリッド工法の概要図(弊サイト掲載済み)/同工法の設備

日本構造物循環式ブラスト技術協会による説明と実演

 講習形式では、シンプルで簡単な操作で遠隔臨場を可能にする「シンクロアイズ」(シンクロアイズ)、鉄筋腐食抑制機能を有するRC構造物用含侵系表面保護材「プロテクトシルCIT」(ポゾリスソリューションズ)、接着系あと施工アンカーボルトのアンカー筋に装着することで施工品質の確保と作業効率の向上が図れる「アンカー留太郎工法」(アンカー留太郎推進協議会(青木あすなろ建設と遠州スプリングの共同開発工法))の説明がなされた。


講習形式での新技術・新工法説明/「シンクロアイズ」のスマートグラス(眼鏡型スマホ)

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