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ニンジャシール橋梁伸縮装置補修工法

ガイアート 伸縮装置遊間部と後打ちコンクリートを同時補修できる工法を展開

公開日:2022.08.29

1車線を3時間程度で交通開放
 初施工から2年経過 不具合の発生なし

 ガイアートは、橋梁伸縮装置に発生する漏水や機能不全を補修する「ニンジャシール橋梁伸縮装置補修工法」を開発し、展開している。同工法は、2液混合常温型ポリウレア樹脂を損傷している止水部に充填することで止水機能を回復させるもの。施工は重機や熟練者を必要とせず、1車線を3時間程度で交通開放できる。さらに、同社が展開しているコンクリート舗装用補修材「ニンジャシール」と同工法を組み合わせることにより、後打ちコンクリートの補修が同時に行えることも特徴だ。


補修イメージ(ガイアート提供。以下、同)

 2020年3月に熊本県玉名市管理の橋梁2橋で初施工し、2年経過後も不具合が発生していないことが確認されている。


補修事例 施工前(左)と施工後(右)

伸び率600%(JIS A 6021)の止水材「ニンジャシールソフト」を遊間部に使用

 ニンジャシール橋梁伸縮装置補修工法は、ガイアートが日本特殊塗料、オリジンと共同開発したコンクリート舗装用補修材「ニンジャシール」の技術を応用したものだ。「柔らかいステンレス」とも言われている2液混合常温型ポリウレア樹脂を材料とする同「ニンジャシール」は、防水性、耐摩耗性、付着力の高い性能に加えて、伸び率300%(JIS A 6021)というしなやかな物性を有する。これにより交通荷重の振動を吸収するため、既設舗装を傷めない特徴を持つ。遊間部にはニンジャシールよりもさらにソフトでしなやかな伸び率600%(JIS A 6021)の「ニンジャシールソフト」を用いることにより、伸縮装置の挙動に追従する止水材となっている。

遊間部と後打ちコンクリートの同時補修で交通規制回数や施工コストの削減に寄与
 施工の容易さにより直営施工も可能

 伸縮装置の劣化損傷は遊間部の止水機能不全によるもののほか、後打ちコンクリート部の損傷で水が侵入して発生しているケースも多い。一般的な止水部補修工法は遊間部のみが適用対象であるが、同工法ではニンジャシールソフトを遊間部に充填し止水機能を回復させた後に、ニンジャシールで伸縮装置を面的に覆うことで後打ちコンクリート部の補修を同時に行える。別工事が不要で、ひとつの工事で補修を完了することにより、交通規制回数や施工コストの削減に寄与できる。同社によると、伸縮装置を交換した場合と比較して1/10程度のコストで施工できるという。
 施工の容易さも同社が目指したことのひとつだ。ニンジャシールは施工に必要な材料が1缶のキットになっていて現場で計量することなく使用できることから、熟練者でなくても扱いやすくなっている。また、ディスクサンダーや電動ドリルなどのコンパクトな資機材で対応できる。施工自体も1回の技術指導で可能になるという。


1缶にすべての材料をパッケージ化

 この背景には、財源が厳しい市町村や県などの自治体に同工法を採用してもらい、直営施工での補修を進めてもらいたいという同社の思いがある。「将来的には舗装補修を含めて行政と地域の方々が共同で施工できる形を目指していきたい。それが可能になるものを提供していくことが当社の使命であると考えている」(ガイアート・小川登技術統括部長)。

下地処理などの前工程を含めても1日で施工完了
 長野県軽井沢で施工 寒冷地での性能検証を実施

 本工法の適用対象となる伸縮装置は、簡易鋼製ジョイント、突合せ型鋼製・ゴム製ジョイント、埋設型特殊合材製ジョイントだ。施工時の必要遊間は10mm~70mmで、止水材の許容伸縮率は圧縮で15%以内、引張で200%以内(ただし遊間70mm以内)となっている。
 施工は既存の止水材を除去して、ダイヤ刃のディスクサンダーを用いて施工箇所の錆を完全に除去し、下地処理を行う。ニンジャシール施工箇所端部はゼロ擦り付けであると水が侵入する可能性が高いため、Vカットをする。


下地処理(ケレン)作業

 その後、バックアップ材を設置して、プライマーを塗布(2回塗り)、遊間部にニンジャシールソフトを充填する。


プライマー塗布(左)/ニンジャシールソフトの充填(右)

 上面をニンジャシールで覆う場合は、ニンジャシールソフト硬化(23℃で約1時間)後、表面に滑り止めのためにトップコートを塗布したうえでニンジャシールを施工していく。


ニンジャシールの塗布

 バックアップ材の設置作業からは1車線3時間程度(20℃の場合)で交通開放が可能で、下地処理などの前工程を含めても1日で施工が完了する。ニンジャシールソフト1セット(A液とB液の合計で6.4kg)では遊間50mm、厚さ30mmの場合、3.8mの施工が可能となっている。
 2022年7月には長野県北佐久郡軽井沢町の白糸ハイランドウェイの橋梁で同工法を適用した。架橋地の標高は約1,260mで平均気温が札幌市とほぼ同じであることから、定期的に止水性能と耐低温性を検証していく予定だ。


白糸ハイランドウェイの橋梁「長日向橋」施工前

同橋 施工後

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