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1,105mの海上橋部含む2.4kmの臨港道路事業

鹿児島港臨港道路(鴨池中央港区線)下部工が進捗

公開日:2022.06.17

 国土交通省九州地方整備局鹿児島港湾・空港整備事務所は、鹿児島港臨港道路(鴨池中央港区線)の建設を進めている。「南北に長い鹿児島港のボトルネックとなっている中央港区と鴨池港区を結ぶ区間の整備を行い、港湾物流の円滑化を図る」(溝江孝雄所長)もの。具体的には同港の南側に位置する物流倉庫から物資を運び、離島や大隅半島への物流の起点となっている北側の港へのアクセスを円滑にさせることが可能となり、さらにその西側を走る国道225号および産業道路の渋滞の緩和も目指す。現在は事業延長2.4kmのうち、鴨池港区側の護岸工事40mと、両港区を結ぶ橋梁の橋脚3基(P4、P6、P8)が完了しており、さらに2基の橋脚(P5、P7)を施工中(鋼管内部の土中掘削と中詰めコンクリートの打設)で、さらに護岸工事40m部分が契約済みでこれから施工に着手する。さらに橋脚2基(P3、P9)を発注公告中だ。その現場を取材した。(井手迫瑞樹)

合計596mのPCラーメン箱桁と509mの鋼細幅箱桁
 950mの護岸道路も構築

 鹿児島港臨港道路は、鹿児島港を南北に縦貫する非常に長い道路(延長約17km)であり、既に谷山臨海大橋や天保山シーサイドブリッジ、黎明みなと大橋等を含む区間を順次開通させてきた。
 鹿児島港臨港道路(鴨池中央港区線)はその北側にある延長2.4kmの事業で、鴨池港区の鴨池緑地公園前の護岸を前出しして950mの護岸道路を造り、鴨池緑地球技場付近から南に1,105mの橋梁で渡し、「2隻の大型旅客船が接岸可能で鹿児島県のインバウンドを担うマリンポートかごしまと本土を結ぶマリンポート大橋及び、過年度に供用された臨港道路の一部である黎明みなと大橋の結節点までつなぐ」(溝江孝雄所長、右写真)ものである。
 メインとなる橋梁の長さは1,105mに達する。


橋梁一般図(国土交通省九州地方整備局鹿児島港湾・空港整備事務所提供、以下注釈なきは同)

橋脚構造一般図例(P5橋脚)

 曲線を伴う両端部は現場打のPC橋で、A1~P3(鴨池港区側)が橋長289mのPC3径間連続ラーメン箱桁、P9~A2が橋長307mの同形式である。中央部は鋼橋で、橋長は509mの鋼6径間連続細幅箱桁形式(合成床版)を採用している。幅員は暫定2車線構造となっている。橋脚はRC構造であり、基礎は、A1橋台、A2橋台ともに場所打ち杭、橋脚は全て鋼管矢板井筒基礎とした。
 護岸道路については、埋立部(鴨池側)は、既設消波ブロックを一時撤去後、護岸を35m程度前出しし、その上に道路を敷設する。現地は良質な地盤であるため、特に地盤改良などを行う必要はなく、その上から基礎捨石を投入して基礎工および本体工を施工していく。最後に新たな護岸の前面に仮置きしていた消波ブロックを据え付けるもの。埋立て済みの中央港区よりの350mについては、橋へのアプローチを行うため、既存の護岸にテールアルメ工法を用いて少し勾配をつけて終点に結節する計画とした。


 護岸道路建設予定地(鴨池側)(井手迫瑞樹撮影)

橋脚部基礎は鋼管矢板井筒を採用、基礎の深さは30m
 錦江湾内部はうねりや風はあまりないが南風は注意

橋脚基礎

 さて、橋梁を橋脚の基礎から見ていこう。地盤は主にシラス層(火山灰層)で海底地盤より30mの深さに支持地盤となる砂礫層がある。現在施工中のP7橋脚では長さ41.5m、φ1,200mmの鋼管を24本円筒状に打ちこんでいく。打ち込みは30mの下杭と11.5mの上杭の2つに分けて施工しており、基本的にバイブロハンマーで打設後、上杭の終盤のみ油圧ハンマーで打撃する方法を取った。その後井筒内の土砂を掘削し、底版コンクリートの打設、井筒内の排水を行い、橋脚本体工を行っていく。

橋脚基礎施工状況(P5、P7)


左から導材設置完了状況/鋼管打設完了状況/鋼管矢板打設状況/油圧バイブロハンマ施工状況

左から鋼管矢板接合状況/油圧ハンマ施工状況/鋼管内掘削状況(中右、右)

(左、中左)中詰めコンクリート打設状況/(中右、右)井筒内掘削状況

井筒内掘削状況

 底版はDL(Datum Line=工事標準面)の14.85m下から2.5mの厚みを水中コンクリートで一括打設する。その上の頂版コンクリートもミキサー船を用いて4m厚を1ロットで打設する。
 船を用いての打設であるが、現場は外洋ではなく錦江湾の内部にあるため、風やうねりは台風シーズンなどを除いてほとんどない。但し、南東の湾口の方角から吹く風がある日については少し条件が厳しくなる。
 頂版工施工後の橋脚躯体用の型枠や配筋工は全て仮締切りされた鋼管矢板内の足場で施工し、コンクリートの打設は作業船に載せたアジテーター車からポンプ車で圧送してスランプ8cmで打設する。マスコン対策が必要な箇所については、混和剤(凝結遅延剤)を加えることで調整している。

橋脚の施工状況(過年度に施工した完成済みの橋脚から)

スタッド鉄筋/頂版下筋の配筋作業/頂版鉄筋の組立て状況(中右、右)

頂版打設状況

各部分(躯体・梁)の鉄筋配置状況

躯体コンクリートの打設状況


現在の施工状況(全景)/同(近景)(右写真のみ井手迫瑞樹撮影)

鋼桁はFC船で1径間ずつ吊り曳航して架設
 PC桁はワーゲンを使って張出し架設

上部工
 P3~P9の鋼桁部は1径間ごとに合成床版底鋼板を載せた形で地組ヤードからFC船で吊り曳航する一括架設を行う予定。P4~P8の4径間はいずれも径間長90mで鋼重は最大で512.8t(P7~P8)、P3~P4及びP8~P9の径間長は74.5mとなっており、鋼重は最小でも458.8t(P3~P4)に達している。
 PC桁部分はいずれもR=200mと曲線が入っている。横断勾配は最大で8%に達している個所もある。同桁部分はワーゲンによる張出し架設を行う予定であるが、こうした曲線及び勾配と、暑中コンクリート対策に丁寧な対応が必要になってくる。

鋼桁部 金属溶射+ふっ素樹脂トップコートを採用
 PC桁部鉄筋も鋼材もエポキシ樹脂で被覆

防食
 下部工について塩害の影響がある橋脚部は、被り厚を90mmとし、エポキシ樹脂塗装鉄筋を採用した。土中部及び頂版部は70mmとし、鉄筋も普通鉄筋としている。
 海上部ということもあり、PC桁については被り厚を厚く取ると共に、エポキシ樹脂塗装鉄筋およびエポキシ樹脂被覆PC鋼材を採用する予定だ。
 鋼桁は従来の重防食塗装ではなく、金属溶射+ふっ素樹脂トップコートを桁全体に施し、加えて添接部には、防錆処理高力ボルト(金属溶射+塗装)、支承の鋼材部にはST-SGN12(高防錆表面処理)を用いることを計画している。

 橋梁詳細設計は日本工営(株)。下部工元請は五洋建設(株)、りんかい日産建設(株)、みらい建設工業(株)、(株)不動テトラ。護岸道路は(株)渡辺組など。現在下部工施工中の五洋建設(株)の一次下請は(株)森長組、(株)森崎建設工業など。

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