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主桁と床版間の切断工事は床版下面で完結 床版取替期間を50%、通行止め期間を18%短縮

テクノス・誠和ダイア 橋梁床版切断工法『切り方じょうず』を開発

公開日:2021.11.25

 テクノスと誠和ダイアは、共同で橋梁床版切断工法『切り方じょうず』を開発した。切り方じょうずは高い精度を出すシステムを採用すると共に、乾式切断工法を採用することで、施工時の養生を簡素化することができる。加えて、主桁と床版間の切断工事は床版下面で完結し、その後に固定アンカーとチェーンブロック等を用いて仮連結する手法を用いることから、従来工法に比べ、床版取替期間を50%、道路通行止め期間を18%短縮でき、コストも既存工法やWJによる切断工法などと同等に抑制できる。2019年3月に特許を出願、5月に中国自動車道の橋梁、さらに東北自動車道の橋梁(鈑桁部)でも試験施工し、性能を確認した。今後は(テクノスの)親会社である熊谷組の現場はもちろん、他社にも積極的に適用を働きかけていく。

固定治具取付状況/ずれ止め筋と桁との間を切断する

従来の施工サイクルを50%縮減

乾式切断工法のため防水養生が不要
 残コン厚さを約20mmにまで薄くできる

 同工法の特徴は4点ある。①床版下部で主桁と床版の接合部を切断できる、②平坦性に優れた切断性能を有する、③周辺環境への影響を低減できる、④通行止め期間を大幅に短縮できる――という点だ。

実物大試験機を用いた床版切断状況/切断機器の設置状況と切断箇所

床版切断状況

 主桁と床版間の切断は1主桁ごとに切断し、約2mごとに仮連結治具を設置していく。ワイヤーソーは乾式のため、防水養生が要らず(水の排出はワイヤーソーを挿入するためのコア抜き時の冷却水のみ)、コンクリートの飛散防止を行うだけでよい。切断時は両側にガイドを付けて、それを基準にワイヤーソーを配置して切断していく。切断は、コンクリートはもちろん、ずれ止めのスタッドやジベルも切断していくが、大きな破断音を発生させない等、施工の際の騒音も抑制できる。また、切断時の平坦性にも優れており、高さ±8mmという精度を有し、主桁直上に残るコンクリート厚さを約20mmにまで薄くできるため、その後の処理はチッパーなどを使わず、ハンマーのみでたたき落とすことができ、さらにずれ止めスタッドやジベルのグラインダー処理も最小限にできることから、施工の省力化、騒音抑制に寄与できる。

主桁直上に残るコンクリート厚さを約20mmにまで薄くできる

実橋での試験施工状況/
 仮連結治具は鋼製で標準サイズは橋軸100mm×橋軸直角200mm×厚さ16mm×高さ100mm。これを切断した床版間にアンカー孔を削孔して左右に繋げ、さらに治具間を主桁下フランジ経由で、チェーンブロック等で固定する。こうすることで、水平・鉛直方向の力に対して抵抗させる。同治具は約2mごとに設置していく。

仮設治具の設置状況
 下部での床版切断後は、従来工法同様に床版を撤去していくが、予め主桁と床版間の接合部を撤去しているため、センターホールジャッキによる剥がし作業が必要なく、クレーンの設置距離を短くできるため、50tないし100tクレーンを両側から使った撤去・架設作業を行っても220tクレーンよりもコストを縮減できる。一方でセンターホールジャッキによる剥がしと切り方じょうずでは後者が割高となるが、それでも合計コストは同等となり、全体工期や道路上の施工工期を短縮できる点で切り方じょうずの方が有利と言える。

50tないし100tクレーンを両側から使った撤去・架設作業を行える
 現在施工しているのは、鈑桁のみだが、箱桁にも適用可能。将来的に合成桁のずれ止めでも使用している馬蹄型ジベル根元の肉厚部切断もスムーズに行えるようさらに開発を進めていく。

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