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高さは最小で門型標識などを交わすことができる4.5mまで下げられる

NEXCO中日本 東海北陸道旅川橋、山田川橋 床版架設機を用いてプレキャストPC床版を設置

公開日:2021.10.18

 中日本高速道路金沢支社は、建設を進めている東海北陸自動車道の4車線化において、清水高架橋、旅川橋、山田川橋の上部工の施工を進めている。旅川橋、山田川橋については、床版架設機を用いてプレキャストPC床版(以下、PCaPC床版)を設置した。同現場を取材した(井手迫瑞樹)

旅川橋 鋼桁部はスレンダーボックス
 山田川橋は鋼少数I桁

 旅川橋は、富山県南砺市内の、市道上川崎上津線、県道143号線小森谷庄川線、上津清水川、一級河川小矢部川水系旅川を跨ぐ個所に建設が進む、橋長805m、幅員9.25mの22径間連続PC・鋼混合桁橋である。より詳細に説明すると、A1側からPC11径間2主版桁、PC3径間連続箱桁、PC4径間連続2主版桁、鋼4径間連続細幅箱桁橋となっている。スパン最長はコンクリート桁部が49m、鋼桁部が67.8mとなっている。
 山田川橋は、富山県南砺市の市道七ツ屋荒木町線や一級河川小矢部川水系山田川を横架する位置に建設されている橋長373mの10径間連続PC・鋼混合桁橋だ。PC2主版桁部が6径間(189m)、連続鋼少数I桁橋部が4径間(184m) となっており、最大スパンは山田川河川内のP6-P7で約60mとなっている。桁中間部にPCと鋼桁の剛結部が存在する。

床版のパネルサイズは約10m×1.9m
 パネル重量は14t 旅川橋で89枚、山田川橋で79枚設置

 PCaPC床版の対象は両橋の鋼桁部である。
 床版のパネルサイズは両橋とも橋軸直角方向が約10mで橋軸方向は約1.9m。パネル重量は旅川橋、山田川橋ともに約14tであり、壁高欄水切り部を床版と一体で打設し、現場の後工程を省力化している。旅川橋は全部で89枚、山田川橋は同79枚架設した。

旅川橋架設概要(左:クレーン架設、右:床版架設機による施工)(NEXCO中日本提供、以下注釈なきは同)

 床版架設はまずクレーンによる架設から行った。これは最低限の床版架設機を組むヤード分と後ろに運搬台車を設置する足場となる床版が必要であるためだ。旅川橋は89枚中クレーンでの架設が39枚、山田川橋は同39枚を架設した。クレーンは200t級を用いた。


クレーンによる架設
 床版架設機の特徴は前後の門型支持脚で天井クレーンを支持する構造だ。天井クレーンのホイストで床版を吊り上げ、前方の架設地点へ移動し、90°旋回させて所定の位置に床版を据え付ける機械である。
 床版架設機のサイズは、全長26.3m、全高9m(補剛材あり)であるが、高さは最小で門型標識などを交わすことができる4.5m(補剛材なし)まで下げることができる。高さ調整は進行方向側の脚に設置してある油圧ジャッキで調整し、さらに柱に明けている穴にボルトを差し込んで固定している。

台車への載荷(旅川橋)

架設機の組立て(山田川橋)



台車で床版架設機に床版パネルを搬入し、ホイストで床版パネルを吊上げる(旅川橋)(井手迫瑞樹撮影)

旅川橋の床版架設機による施工① 橋軸直角方向の状態で前に運んでいく(井手迫瑞樹撮影)

山田川橋の床版架設状況

 現場は横断勾配が2.5%~最大で5%の勾配があったが、その対応は、脚間の横つなぎ材と脚との間にある油圧ジャッキで調整し、さらにロックナットで盛りかえることによって水平調整している。

高さ調整用の孔/油圧ジャッキ(井手迫瑞樹撮影)

旅川橋の床版架設機による施工②(井手迫瑞樹撮影)

旅川橋の床版架設機による施工③ 90°旋回させて所定の位置に床版を据え付ける(井手迫瑞樹)

間詰コンクリートの施工状況(旅川橋)

間詰コンクリートの施工状況(旅川橋)

 

 1日当たりの架設枚数はクレーン架設が8~12枚、床版架設機による架設が5~10枚程度であった。床版架設機の施工は、5枚ごとに架設のためのレールを盛りかえて行い、1~2回分が1日の架設サイクルであった。

山田川橋のPCaPC床版架設状況俯瞰写真

旅川橋のPCaPC床版架設状況俯瞰写真

 設計は大日本コンサルタント、日本構造橋梁研究所、八千代エンジニヤリング、近代設計。施工は川田建設・川田工業JV。一次下請は旅川橋が川崎技興、山田川橋がKITAGAWA(以上、架設工)、今井重機建設(クレーン工)。

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