道路構造物ジャーナルNET

塩水噴霧試験2,000時間で赤錆の発生なし 異種金属接触腐食も生じない

日本ラスパート 遅れ破壊が発生しない複合皮膜による防食技術「ディスゴ処理」

公開日:2021.07.09

 日本ラスパートの複合皮膜による防食技術「ディスゴ処理」(NETIS:KK-180040-A)が土木分野で実績を伸ばしている。橋脚の耐震補強工事に使用するPC鋼棒や橋脚のスパイラル筋、床版とプレキャスト壁高欄の連結ボルト、あと施工アンカーなどの分野で使われており、日本建築センターが実施した塩水噴霧試験では、ディスゴ処理を施した供試体は2,000時間経過後も赤錆が発生していないことが確認されている。


床版とプレキャスト壁高欄の連結ボルトでの採用事例
NEXCO東日本北海道支社「道央自動車道 勇払川橋床版取替工事」高丘橋(下り線)

亜鉛アルミ含有のベースコートとアルミとエポキシ樹脂が主成分のトップコートの2層構造
 完全クロムフリーで環境にも配慮

 本技術は、めっき処理ができない鋼製部材や、高力ボルトやバネ鋼などの遅れ破壊の心配がある製品、アルミニウム部材・亜鉛鋼板などと接触する鋼製・ステンレス製部品を対象として、電気亜鉛めっきや溶融亜鉛めっきと同等の防錆防食性能を持ち、異種金属接触腐食防止が高く、酸洗いや電解工程を必要としない表面処理として開発された。


ディスゴ処理されたボルトとPC鋼棒

同・スリーブ打込式アンカー

 皮膜は、膜厚が12μm程度と薄く、嵌合が必要な製品にも適している。亜鉛アルミを含有するベースコート(7~9μm)とアルミとエポキシ樹脂を主成分とするトップコート(3μm)の2層構造で、亜鉛の犠牲防食作用と燐片状アルミとエポキシ樹脂によるバリヤ効果、リン酸系防錆顔料によるベースコートの不動態効果によって、高耐食性を実現した。なお、皮膜にはクロム化合物などの特定有害物質を一切含有していないため、環境に配慮したものともなっている。


皮膜構造

 従来、鋼製品の防錆には、電気亜鉛めっきや溶融亜鉛めっきが広く用いられているが、その処理工程中に酸洗いや電解工程が含まれるため、水素脆性による遅れ破壊の懸念があった。また、アルミ部材や高耐食めっき鋼板と組み合わせた際には異種金属接触腐食が生じていた。
 日本建築センターが実施した塩水噴霧試験では、ディスゴ処理を施した供試体は2,000時間経過後も赤錆が発生していないことが確認されている。それに対して、電気亜鉛めっきの供試体では480時間で、溶融亜鉛めっきでは240時間で赤錆が発生した。


ディスゴ処理を施した供試体を用いての塩水噴霧試験。左写真が試験前、右写真が2,000時間経過後

 日本ラスパートでは、「これまで建設や電力、輸送機など幅広い分野で多くの採用実績があるが、高耐久化が求められている橋梁をはじめとした土木分野でも採用が増えてきた。今後は橋梁の検査路や道路付属物などについても本技術の採用を目指していきたい」(同社)としている。

【ディスゴ処理の採用事例】

本州四国連絡高速道路 門崎高架橋(Uリブ補修)

本州四国連絡高速道路 櫃石島高架橋

ピルツ橋の耐震補強工事に使用するPC鋼棒

検査路への昇降部分/ボックスカルバート内のPC鋼棒

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