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特殊高所技術を利用して足場を不要に

首都高速 コストを8割縮減、工期を約8割短縮できる塗替え工法『スポットリフレ工法』を現場公開

公開日:2018.06.17

 首都高速道路は13日、従来の足場を設置して施工する場合と比べて、塗替えコストを約8割縮減でき、かつ工期を約8割短縮できるスポットリフレ工法の現場公開を行った。
 同工法は、橋梁の点検や小規模補修などに使われている特殊高所技術とブラスト工法および独自の飛散防止ボックス『リフレくん』および超厚膜無溶剤系セラミックエポキシ樹脂塗料『Brushable-S』などを用いた小規模塗替工法で首都高速道路、土木研究センター、極東メタリコン工業、特殊高所技術、Splice-Labの5社が、約1年をかけて共同開発した。
 工程はまず特殊高所技術を用いて補修塗装を行う現場に到達し、ついでリフレくんをラチェットで下から押しつけて固定した上で桁とボックスの際の部分をガムテープで養生し、次いでボックス下部からは除去した塗膜や錆、研削材を吸い込むためのバキュームホースを取り付ける。側面の孔からはブラストヘッド(先端には内部が見えやすいように懐中電灯を取り付けている)を挿入し、上部についているガラス製の窓から内部を見つつ、ブラストを行う。ブラストにこだわったのは、確実な錆の除去と素地調整を行い、長期耐久性を有した防食塗膜を実現するため。


特殊高所技術で現場に到達/公開時は下からトンパックで『リフレくん』を上げた

ラチェットで固定し、ガムテープで際を養生

バキュームおよびブラストを設置

窓ガラス越しに内部を見ながら慎重にブラスト/施工後、リフレくんをトンパックに収めて降ろす

ブラストによって形成された素地

 飛散防止ボックス『リフレくん』は極めて軽量な段ボール製。強度的に問題はないのかと聞くとブラストの当たり面にはゴムを張り付けてブラスト材が突き破らないように保護しているとのこと。サイズは500×500×470mm。ブラスト材そのものは硬度やコスト、埃の発生しにくさを考慮し、ガーネットを採用している。


リフレくん/ブラスト機材挿入口

リフレくん下部のバキューム挿入口/ブラスト当たり面にはゴムを貼り付けている

 ブラスト施工後は、素地を確認した上で刷毛などで『Brushable-S』を塗布する。『Brushable-S』は1コートで施工できる二液混合型塗料。1つのビニールパックの中に2種類の材料が梱包されており、中央のプラスチック製の仕切り板をはずして手で揉むだけで混合させることが可能だ。1パックで0.3㎡の塗付が可能で「標準サイズのリフレくんの場合、施工面積は0.25㎡程度を想定しているため、使い切るだけで膜厚管理可能」(首都高速道路)と見做している。また刷毛塗り可能な低粘度であり1工程で厚塗りが可能(膜厚は平均で600µ程度の厚膜)であり、「約40年程度の長期耐久性を期待している」(同)とのこと。発注者の要望に応じて溶射などの施工も可能だ。


『Brushable-S』/中央の仕切りを外して、もむだけで混合可能

刷毛塗り状況/施工後

 今回は平面部(下フランジ下面)の施工を公開したが、既に「切り欠き部や、添接部、隅角部、狭隘部についても対応できるめどはついている」(同)。 具体的には、施工前に現場を確認した上で、リフレくんの形状を製作し、現場で組み合わせてガムテープで養生することで、複雑な形状に対応する。
 施工は、ブラスト機器や集塵機などを搭載したトラックを置くスペースなどが必要なことから、主に夜間、下に設置ヤードを確保できない場合は1車線通行規制を想定している。
 従来、橋桁において、小規模な錆や腐食が散見された場合、足場を組んで塗装していたが、高価な足場を組むため要補修個所だけでなく、色があせた個所なども含め大規模な全面塗り替えを選択しがちであり、その結果膨大なコストと長期間の工期、多くの人手を要していた。同工法は、特殊高所技術とリフレくん、ブラストを用いることで必要な場所を最小限にケレンし、塗装するため、コストや工期、人手を大幅に縮減することを可能とした。
 今後は、施工可能な人員を増やすことが必要。現在は3班程度の人員であり、錆や腐食の拡大による劣化を阻止するためには、人員を増やすことが必要だ。しかし特殊高所技術は非常にタフな肉体的資質と訓練が必要であり、さらに確実なブラストおよび塗装技術も要求される。今後の首都高速道路内での普及や他機関の需要増に対応するためにも、計画立てた人員の確保が出来るかが、工法の成否を握ると言えそうだ。(写真・文 井手迫瑞樹、2018年6月18日掲載)

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