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中日本高速道路 東名中吉田高架橋塗替え工事による火災事故再発防止委員会第一回会合を開催

 中日本高速道路は、26日、東名中吉田高架橋塗替え工事による火災事故再発防止委員会(委員長:伊藤義人名古屋大学名誉教授)の第一回会合を開催した。同橋の既設塗膜剥離作業中にP53-54径間で火災が発生し、作業に当たっていた6人中1人が死亡(死因は焼死)、風下に当たるP50-P51径間で11人中10人がのどの火傷などの重軽傷を負った事故の検証および今後の防止策を検討するもの。今後数回の会合を経て火災事故防止のための安全策をまとめる予定で、次回会合は来年1月に行う予定だ(以後の写真や図は中日本高速道路配布資料より抜粋)。


 同現場では、安全対策から逸脱する行為として①現場において使用しないことになっていたディスクサンダーが最大で6台、塗膜剥離剤を含浸させる前の、既設塗膜表面清掃工程において使われていた、②現時点の聴取においては、ディスクサンダーはその後の工程において使用されていないとされるものの、「使用しない電気機器のコンセントについては抜くこととされていた」電気機器に当たるディスクサンダーのコンセントが抜かれていなかった――点が明らかになった。但し、未だこれらが火元であるかは不明。また、現場では2日前からの掻き落とした塗膜片が桁下の足場上にあった。また、塗膜剥離剤を使った作業であったため、足場内は完全に密閉されておらず、風通しの良い状況であり、これが風下の距離の離れた径間にまで被害を拡大させた可能性もある。


作業員配置状況および安全対策実施状況

 同現場で、実際に作業に当たっていたのは二次下請業者であり、亡くなられた作業員がいる径間では、ディスクサンダーが使用されていたものの、負傷者がいる径間でディスクサンダーが同様に使われていたかどうかは、現時点では不明という。ディスクサンダーは塗膜剥離剤前の清掃工程以外では使われておらず、現場は個々に独立しており、膨潤中や掻き落とし中など工程がラップしているようなところでは使っていなかったとしている。


 照明は非防爆型のLEDヘッドライトを使用していた。塗膜片は、「速やかに現場外へ撤去すること」が求められていたものの、具体的な期日は、現状では定められていなかった。水系塗膜剥離剤そのものは危険物に該当せず燃えないものの、掻き落とした塗膜片そのものは有機塗膜を含むため、今後は具体的な対応を検討する可能性がある。





 足場内環境においては、NEXCO諸基準やガイドラインにおいては、「施工計画書に『換気設備』を記載すること」「第二類物質全般:局所排気装置の設置、プッシュブル型換気装置の設置などにより空気中の発散を抑制する(こと)」となっており、今回の工事計画書にも作業1スパンに送気(ダクト+送風機)、吸気側(送風機+ダクト)を1台設置することが記載されていた。実際に設置していたものの、火災が起きた箇所は塗膜剥離剤による作業中のため(粉塵が起きる工程ではなく)、風通しが良いため、換気装置を使っておらず、密閉状態でもなかった。一方で現場では2人の作業者が初期消火に当たったが、火勢が強く消し止めることができなかった。


 今次会合では委員から①点火源や可燃物について幅広く検証を行い、対策の検討が必要、②塗装工事が足場内という特殊な環境下での作業であることや工事実施時の気象など環境条件を考慮した対策の検討が必要、③万が一想定外の事象が発生した場合においても最悪事態を回避する方策を検討すること――という3点の指摘がなされた。


 中日本高速道路は、今次の火災事故が起きた後、塗膜剥離剤を使う塗替え工事46件を止めている。焦らず、徹底的にあらゆる可能性を吟味して、事故を検証し、安全な現場を構築し、作業する人が安心できる現場を実現しなければならないだろう。(井手迫瑞樹)


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