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水性有機ジンクリッチペイント、循環式ブラスト工法の採用など主に6つの改訂点

首都高速 鋼橋塗装設計施工要領を改訂

 首都高速道路は7月末、鋼橋塗装設計施工要領を改訂した。主な改訂点は、水性有機ジンクリッチペイントの採用、ミストコートの廃止、循環式ブラスト工法の採用、IH式塗膜剥離除去機と塗膜剥離剤の採用、素地調整3種の廃止、超厚膜無溶剤系セラミックエポキシ樹脂塗料の採用の6点。さらには火災事故や鉛中毒事故などの発生を踏まえ、安全性についての配慮も細かく記載している。押並べて安全性について高く意識した改訂内容となった。(井手迫瑞樹)


 水性有機ジンクリッチペイントの採用は、フラッシュラスト対策型の水性有機ジンクリッチペイントが開発されたことに拠る。SDK規格の試験内容に耐フラッシュラスト試験を追加して、同ペイントを現場塗装に全面採用し、品質を維持しつつ、塗装時の安全性を高めることにした。

水性塗料を全面採用(首都高速道路提供、以下同)

 ミストコートは、水性塗料施工時にミストコートを使用せずとも発泡が生じなかったことから、水性塗料を使用する際に限って廃止した。

 循環式ブラストは、1種ケレン時の産業廃棄物を大幅に減少できる特徴があったものの、施工時の騒音がネックとなっていた。首都高はこれを民間共同研究において後方設備の車載などにより省スペース化した設備の施工時の騒音低減策を開発し、実現化の見込みが立ったため、塗り替え時の標準工法として採用することを決めた。また、研削材は研削材自体が発錆せず、2000回程度の再利用が可能なステンレス製に限定した。

循環式ブラストも採用

 IH式塗膜除去機と塗膜剥離剤もそれぞれ施工性や安全性を考慮した上で採用を決めた。塗膜剥離剤については、消防法の危険物および指定可燃物に定められる物品に該当しないものを用いるよう規定し、施工時の安全性を高めた。一方、両者ともに施工は樹脂リッチな塗料を対象とし、塗膜剥離剤は現場試験において1回塗で塗膜全厚がはがれることを確認した上で使用することを義務付けている。また素地調整についてはブラスト面形成動力工具を使うことにより1種相当の素地調整を行うが、施工の際には粉塵と発錆を抑制するため、電解質アルカリイオン水を用いた施工を義務付けた。

 超厚膜無溶剤形セラミックエポキシ樹脂塗料は、1回で1,000μmの厚付塗料を小面積のタッチアップや補修塗装に用いることができる、とした。


 安全性の担保については、第Ⅲ編『塗替塗装編』の第1章調査・設計の1.1有害物質の調査の項において主な有害物質について、「鉛および鉛化合物」、「クロムおよびクロム化合物」、「PCB」、「コールタール」、「石綿」の5種類を記載し、それに伴う様々な規則や通達を明示している。また、2章施工の2.1.3塗装用設備と装備においては、換気設備や洗身設備、立入禁止措置や喫煙の禁止、手洗い設備、呼吸用保護具、健康診断などについて細かく例を示し、施工者の注意を喚起している。他発注機関においては、こうした安全面については受注した施工会社に委ねているが、首都高速においては、近年、火災事故や鉛中毒事故などが数回起きていることから、現場の安全に積極的に介入する意思を示したものといえる。(2019年8月8日掲載)