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耐久性高く、軽量なためRC床版取替に際しての既設主桁の補強は不要

日之出水道機器 球状黒鉛鋳鉄を用いた鋳鉄床版を開発

 日之出水道機器は、球状黒鉛鋳鉄(ダクタイル鋳鉄)を用いた鋳鉄床版を開発した。この床版は、国土交通省新道路技術会議で「道路政策の質の向上に資する技術研究開発」としてH26年度にFS研究、H27年度に本格採択され、研究代表者である九州工業大学の山口栄輝教授をはじめ、東京都市大学の三木千壽学長、九州工業大学の惠良秀則教授らとの4年間にわたる共同研究の成果である。鋳鉄床版の詳細は、国土交通省のホームページで公開されている。
http://www.mlit.go.jp/road/tech/jigo/h26/pdf/houkokusyo26-5.pdf)。その高い疲労耐久性、軽量性を生かすべく、新設橋はもちろん、老朽化したRC床版の取替にも提案していく方針だ。鋳造品であるため、製作に伴う二酸化炭素発生量が極めて少ない点も特徴といえる。
 また、高性能鋳鉄床版を、損傷したRC床版に替わる床版として活用するために、渡邊英一名誉教授(京都大学 大学院)、山口隆司教授(大阪市立大学 大学院)の指導の元、一般財団法人 阪神高速道路技術センター、成和リニューアルワークス株式会社、佐藤鉄工株式会社と共に、床版取替え工事を想定した鋳鉄床版の施工法研究を並行して進め、実大モデルでの試験により施工性を確認した。

157kNの輪荷重を200万回移動載荷したが、疲労破壊は起こらなかった
 球状黒鉛鋳鉄床版の製作はその名称の通り鋳造によるため、疲労亀裂の起点となる溶接を不要とし、複雑な形状を苦もなく製作でき、応力集中を容易に緩和できる。その結果、高疲労耐久性を有し、輪荷重走行試験では、157kNの輪荷重を200万回移動載荷したが、疲労破壊は起こらず、ひずみやたわみなどの変形挙動は最後まで安定していた。

 球状黒鉛鋳鉄は、いわゆるねずみ鋳鉄とは異なり、十分な延性を有する。静的載荷試験では、想定通りの塑性変形が起こり、大きな変形が見られたが、亀裂が発生することはなかった。

 鋳鉄床版は、運搬や製造、経済性を考慮し、複数の床版パネルの組み合わせで構成される。床版パネルの大きさは、縦1150~1300mm×横1700~1950mmが基本である。デッキ厚は13mm、デッキ-プレートの裏には、軸方向に高さ190mm、直角方向に高さ150mmのリブが一体成型されている。橋軸方向のリブは、両端と中央に,合計3本、橋軸直角方向のリブは330mmピッチで配置されている。鋳鉄床版は単位面積重量が2.45kN/㎡と軽く、RC床版取替に際しての既設主桁の補強は不要である。下部構造の作用力も減少する。

ダクタイル鋳鉄床版パネルの形状とR拡大図


鋳鉄床版の施工

鋳鉄材料の特性
 施工は、工場で橋軸方向2.3m×橋軸直角方向10m程度の架設ブロックに組み、上塗り塗装(通常の鋼床版と同様の防食仕様)まで終えて出荷する。取替工事の現場では、上フランジ上面のズレ止めを撤去し、ケレンおよび清掃を済ませた後、既設桁の上フランジに孔明けし、連結部材を用いて鋳鉄床版のリブを挟み高力ボルトで接合する。床版と主桁との接合に無収縮モルタルの打設の必要はない。パネルどうしの接合も高力ボルト接合のため、間詰めコンクリートを必要としない。床版パネルで構成され、高力ボルト接合構造であることから、供用中に不具合が起きても、該当箇所の床版パネル取り替えのみで対応できる。軽量であるため、施工に使用するクレーンも小規模なもので済む。

主桁との連結構造/施工手順イメージ


桁上に設置した鋳鉄床版

 なお、これまでの検討対象は直橋のみであり、曲線橋や斜橋などは、今後の課題としている。
(2019年4月8日掲載、10日一部加筆)