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NEXCO3社と本四高速 大規模地震発生確率26%以上エリアの2030年度末までの地震時のミッシングリンク解消を目指す

高速道路における耐震補強対策の効率的な進め方に関する検討委員会を開催

公開日:2024.01.17

 NEXCO3社(西、中、東)と本四高速は、13日、高速道路における耐震補強対策の効率的な進め方に関する検討委員会(委員長=大町達夫東京工業大学名誉教授、写真)の初会合を開催した。同委員会は、高速道路4社が保有する橋梁17,605橋のうち、未だ77%に留まっている耐震性能2の確保をより効率的に進めるための検討を行うもの。耐震性能2未確保の橋梁は4,005橋(2022年度末)あり、これを確保するために、①耐震補強工事の入札不調対策、新技術の採用などの取組みと共に、高速道路会社の組織体制の強化により、耐震補強対策を加速化、②上下線の橋脚が分離している橋梁では、どちらか一方の橋脚補強を優先するなどの手法を採用し、2030年度末までに、大規模地震発生確率が26%以上の地域において地震時のミッシングリンク解消を目指す。さらにそれ以外の地域においても2038年度末頃に同様の解消を行えることを想定している。現在は残る4,005橋のうち、工事着手済み943橋となっている。さらに工事着手前の橋梁においては、上下線一体で整備する橋梁が1,537橋、上下線一方のみを整備する橋梁を734橋とし、対策時期を見直す橋梁を791橋設けることでリソースを集中する。耐震補強着手率は290橋/年を目指していく。(井手迫瑞樹)

 委員会の冒頭あいさつで大町委員長は能登半島地震について言及し、「高速道路においてもより橋梁の耐震補強の必要性が認識されているが、(耐震性能2確保への)対策は思うほど進んでいない、この委員会に置いては、対策を効率的に進めるために忌憚なく議論を進めていきたい」と語った。

 耐震性能2未確保の橋梁のうち今後30年以内に震度6弱以上の大規模地震発生確率が26%以上の地域に供用されている橋梁は1,649橋、同未満の橋梁は2,805橋となっている。そのうち設計に着手できた橋梁は前者で1,276橋(77%)、後者で1,808橋(64%)、工事着手している橋梁は同936橋(57%)、459橋(16%)となっている。設計入札不調率は2018~21年までの4年間で4~6割に高止まりしていた。これを綜合技術監理型の導入、不成立後の特命契約による再発注要領の制定、標準図面整備による設計省力化、入札参加表明期間の延長などの施策を取り入れることで、22年度は入札不調率を27%まで抑制することが出来た。23年度はさらに5%程度まで不調率を抑制している。

 同様に工事発注の入札不調率は土木工事全体では2~3割にとどまるものの、耐震補強工事における同率は2018~20年度で4~6割弱に達している。これについては、継続契約方式、点在積算を導入すると共に、連続繊維シート巻きたて補強工法の積極採用や、落橋防止および支承を標準化することで工場製作品の納品期間を短縮するなどの方策を採用することで、2021年度は入札不調率を23%、22年度は14%まで抑えることが出来た。23年度も暫定で16%(3件)まで抑えられた。

 設計・施工のさらなる省力化を図るため、PCコンファインド工法などプレキャストパネルによる橋脚補強の適用検討や、最新式高性能電磁波(鉄筋探査)レーダを導入することで、現場作業短縮を図っていく。

 

 また、組織・人員強化も図る。平成29年度には耐震補強を主とする組織は4社合計で5課16人であったが、2023年度には71課209人まで拡充している。これにより今後の工事完了ベースを増加させていく。

 委員会では、大町委員長から「今後の設計や工事の増加に伴い、不調率が再び上昇する可能性もある事から、積算を抜本的に見直す必要があるのではないか」という指摘がなされた。これについては「見積徴収方式の採用など多様な入札方式を導入している事で対応していく」(委託4社側)とした。
 山崎文雄委員(千葉大学名誉教授)からの「能登半島地震では海側の活断層が動いたことから大きな震災となったことから、何らかの地震発生エリアの見直しが図られる可能性もある事から大規模地震発生確率26%未満の箇所においても対策を進めておくことが必用ではないか」という指摘については、「同未満の橋梁においても設計や施工を着実に進めていく」(委託4社側)とした。
 運上茂樹委員(東北大学大学院工学研究科教授)からは「現実においては専用物件など様々な要因から工事が思うように進まない可能性もある。様々な現場状況をフィードバックしながら計画を細かに見直していくことが必要ではないか」という指摘もなされた。加えて大町委員長は「耐震補強の計画が順調にかつ加速度的に進むようにウオッチできるような組織も設けてほしい」とした。

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