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i-MOVEMENTショーケース見学会を開催

NEXCO中日本 i-MOVEMENTで取り組む約260の技術を2025年度末までに概成

公開日:2023.10.16

 NEXCO中日本は12日、伊勢原保全・サービスセンターで「i-MOVEMENTショーケース見学会」を開催した。同社グループでは2019年6月から、保全・サービス事業全般を対象に現在の業務プロセスを形式化したうえで、それらを高度化した水準を設定して技術開発を行い、業務運営の標準化と高度化を図るプロジェクト「i-MOVEMENT」を推進している。
 伊勢原保全・サービスセンターと川崎道路管制センターに設置されている同ショーケースは、プロジェクトにおいて実証・検証が完了した技術をいち早く仮実装している場所だ。仮実装後、業務プロセスが確定した技術は各保全・サービスセンターで本格導入されることになる。現在、同社では約260の技術開発を進めており、2025年度末までにそれら技術の概成を目指し、2020年度後半には管内すべてで導入することを目標としている。
 見学会では、点検業務の高度化として「点検記録用3次元データ化Webアプリ Points3D」、「路面性状測定車(ロードタイガー新型7号車)」、規制作業の標準化として「バルカンバリア」などの展示・実演が行われた。

「Points3D」は、スマートフォンで撮影した動画を簡易かつ低コストで3Dデータ化するアプリで、電駆ビジョンが開発したものを橋梁点検に適用すべく実証を進めている。30秒程度の動画ならば約2分で点群データによる3D化が可能で、構造物を様々な角度から俯瞰できるようになる。同技術を既存の台帳と連携することで、現場での過去の変状確認や事務所での写真整理などの作業を削減でき、点検・記録業務の高度化、効率化を図れる。


同技術の概要(左)(「イノベーション交流会」HPから)/撮影(インプット)データ(中央)と点群(アウトプット)データ(右)(NEXCO中日本提供)

「ロードタイガー」は、走行しながらひび割れ、わだち掘れ、平坦性などの路面性状を測定する車両。当日は、11月から実運用が開始される新型車の展示、デモ走行が行われた。新型車は、最高時速120kmで走行しながら路面の1mmのひび割れ変状を見つけ出すことが可能であり、測定データ解析の大部分を自動化処理できるようになった。また、これまで夜間に限られていた測定が昼夜問わずできるほか、車体サイズのコンパクト化により普通免許での運転が可能だ。


ロードタイガー7号車。1982年開発の1号車から改良を重ねてきた
車体後部の左右2台の3Dステレオカメラで青色LED照明を路面に照射させて撮影して測定

 鋼製仮設防護柵の「バルカンバリア」は、本体下部にキャスターが格納されているため、人力かつ短時間での移動が可能であることが特徴。本体1基は長さ4,115mm×高さ814mm×幅560mm、重量463kgで、ピン接続により連結することにより、施工区間や規制距離に合わせた設置ができる。各高速道路会社のリニューアル工事などで採用実績がある。


バルカンバリア。人力で容易に移動が可能だ

 当日はこれら技術のほか、「橋梁点検ドローン(構造物点検調査ヘリシステム SCIMUS)」、「鋼鈑桁橋狭小部点検ロボット(ケーブルカム)、「誤進入車両感知システム(みはるんだー)」、「シンクロピカッチ」などの技術が紹介された。

(左写真)橋梁点検ドローン(構造物点検調査ヘリシステム SCIMUS)。地上に設置したトータルステーションが機体を追従し、非GPS環境下での自動航行・自動撮影が可能。
(右写真)鋼鈑桁橋狭小部点検ロボット(ケーブルカム)。ロボットの移動やカメラ操作を一つの送信機に集約することにより、簡単に地上からの点検を可能にした。

(左・中央写真誤進入車両感知システム(みはるんだー)。ラバーコーンに光電センサー(みはるんだー)を設置し、車両が誤進入し光電センサーを遮断すると、作業員が持つ受信機(しらすんだー)に警告がいき、作業員の即座の退避行動を可能にするシステム。
(右写真)シンクロピカッチ。複数の超高輝度LED警告灯「ピカッチ」をシステムで連動させ、飛行場の誘導灯のように流れて点滅することで、ドライバーへのスムーズな車線変更を促すことを可能にする。

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