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「インフラドクター」や「発炎筒自動投下装置」など最新技術を紹介

首都高速道路 「点検・補修デモ2023」に土木専攻の学生21人が参加

公開日:2023.10.10

 首都高速道路は6日、高速湾岸線高架下の辰巳補修基地で「首都高点検・補修デモ2023」を開催した。同デモは維持管理の現場で活用されている最新のシステムや点検・補修技術、車両などを学生に見学してもらうことで、次世代の技術者育成の一助となることを目的に実施されているもの。14回目の開催となる今回は、7大学(東京工業大学、横浜国立大学、埼玉大学、筑波大学、東京都立大学、法政大学、芝浦工業大学)から土木工学専攻の学生21人が参加した。
 冒頭の挨拶では、保全・交通部点検・補修推進室 点検・補修推進課の太田信之介主任が「お客様第一という経営理念に基づき、安全と快適を追求し、質の高いサービスを提供することを目的に新技術導入による効率化、高度化を進め、引き続き首都高グループ一丸となって適正な維持管理を推進していく」と述べた。
 会場では、GISと3次元点群データの活用により維持管理の効率化を支援するシステム「インフラドクター」の説明と体感や、ストップホールによる鋼橋き裂補修の実演が行われたほか、点検ドローンや360°全方位カメラなど点検困難箇所の点検を効率化する技術、磁気探傷試験や電磁波レーダーによる鉄筋探査法などの非破壊検査技術などが紹介され、学生は熱心に見学していた。


インフラドクターの説明。学生は距離計測などを画面上で体感した

ストップホールによるき裂補修の実演/360°全方位カメラの説明を聞く学生/磁気探傷試験の実演

 新技術では、来年度から実運用が開始される予定の「発炎筒自動投下装置」の説明と実演が行われた。同装置は、首都高メンテナンス西東京と西尾レントオール、アドバンスクリエートが共同開発したもので、車線規制時などに5分用発炎筒を安全、正確に自動投下する技術。最大88本収納可能で、投下する管の角度と投下口を工夫することにより試験運用では時速40km走行で所定位置に転がることなく投下できることが確認されている。レーザーによる着火は隔離したスペースで行うことで延焼を防いだ。発炎筒投下中に発炎筒をタイヤで跳ね上げ、高架下に落下する事象が何度か発生したことから、開発を行った。外販は来年度後半からを予定している。


発炎筒自動投下装置。投下方向は左右どちらにも切替え可能。点火・投下は端末で操作し、モニターで投下状況を確認できる

 このほか、変形性能が高いことから車両の衝突・接触を受けても設置位置からの移動が少なく、繰返し使用できる規制コーン「ステイコーン」や、車両では、道路照明の照度診断やETC電界強度診断、トンネル内の環境診断が可能な「ウェーブドクター」、ハイブリッド電源システムを採用した「環境配慮型多電源標識車」、首都高グループのみが保有する「軸重試験車」などが展示され、首都高速道路の維持管理に対する理解を深めた。


ステイコーン/ウェーブドクター/軸重試験車

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