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鋼橋の補修・補強技術を事例とともに報告

土木学会鋼構造委員会 「第26回 橋に関するシンポジウム」を開催

公開日:2023.08.07

 土木学会鋼構造委員会は4日、東京都千代田区の法政大学市ヶ谷キャンパスで「第26回 橋に関するシンポジウム」をオンライン併用で開催した。今回は、「鋼橋の維持管理 ~補修・補強技術の最前線~」を副題とし、高知自動車道曽我部川橋の耐震補強事例や首都高速道路での鋼橋疲労対策などが報告された。
 開会にあたり、山口隆司委員長(大阪公立大学 右肩写真)は、「メンテナンスが2巡目に入り、メンテナンスを回す仕組み、とくに研究、開発した技術の社会に対する実装が注目されている。新しい技術をつねに研究、開発し、報告していくことで、橋のメンテナンスを回し、持続可能なものにしていけると考えている」と挨拶した。
 特別講演では、愛媛大学特定教授の森伸一郎氏が、2023年2月に発生したトルコ南部を震源としたM7.7およびM7.6の地震の現地被害状況の調査結果について報告を行った。被害発生の可能性のある地域には1,000を超える橋梁があったが、通行止めとなったのは15橋のみと被害は限定的だったが、横変位拘束構造の損傷・破壊、主桁の軸方向き裂、支承台座の損傷などを確認できたという。また、単径間、多径間ともに大多数がPC桁の単純支持形式であり、端部横桁、中間横桁のない構造の橋梁が多かったことも特徴で、横桁の不在により被災の可能性もあるので、実態を把握して被害分析を行う必要があるとした。
 基調講演では、琉球大学教授の下里哲弘氏が「鋼橋における疲労と腐食の損傷診断と適切な措置」と題して、オンラインで講演した。腐食措置技術の研究として、桁端部へのコールドスプレー法や、ステンレス鋼・炭素鋼を桁の一部に採用したハイブリッド鋼橋の事例を紹介した。
 その後、「著名な歴史的鋼道路橋の補修・補強 ~最新の技術と細心の工夫により、歴史的な価値を守りながら鋼橋を後世に繋ぐ~」(日本橋梁建設協会・谷口好信氏)、「最大支間長143mを有する曲線トラス橋の耐震補強(高知自動車道 曽我部川橋)(横河ブリッジ・宮定龍司氏)、「首都高速道路における鋼橋疲労対策」(首都高速道路・佐藤歩氏)、「鋼床版Uリブ・デッキプレート溶接部のルートき裂に対する維持管理に関する取組み」(高速道路総合技術研究所・服部雅史氏)、「鋼鉄道橋ソールプレート溶接部の疲労対策」(西日本旅客鉄道・丹羽雄一郎氏)などの講演が行われた。


会場とオンラインによるハイブリッド形式で開催された

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