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『Vision2023~進化する技術と社会への貢献 PC建協の未来地図~』を新たに策定

PC建協 2022年度会員受注額は4,186億円、2年連続で4,000億円を突破

公開日:2023.05.22

 プレストレスト・コンクリート建設業協会(PC建協)は18日、東京都のホテルグランドアーク半蔵門で第11回定時総会を開催した。
 総会後の記者会見で、森拓也会長は新たに策定した『Vision2023~進化する技術と社会への貢献 PC建協の未来地図~』に触れた。
 「前回のビジョン(2017年)策定時と比べて、現在は高速道路会社が進める大規模更新工事が本格化しており、PC各社の大きな事業の柱となりつつある。そうした状況を踏まえて高度化した新しい技術例も紹介している。また、担い手確保は変わらず建設業の最も重要な課題であり、一層の働き方改革や処遇の改善が求められているという状況にある。特に2024年度から始まる時間外労働の上限規制までは、あと1年を切っている。この数年、建設業全体の努力により、労働環境は大きく改善されてきているが、実施に向けた最終段階に差し掛かっていると考えている。そのためにもPC建協としては、プレキャストの拡大、ICTをはじめとするDXの推進などを行い、生産性向上を進めていく必要がある。プレキャスト技術に関しては今後の拡大を目指すUコンポ橋について記述をしている。担い手の確保については近年の取組みと今後の方向性を示している。特に学生を対象とした、PC技術専門家派遣による大学や高専での講義、いわゆる出前講座についても、コロナの終息とともに改めて精力的に取り組んでいきたいと考えている」と詳しく述べた。

 2022年度の会員受注額は4,186億円と対前年度比97%であったが、8期連続3,000億円を超えるとともに、2年連続で4,000億円を突破した。施主別の受注内訳は、国土交通省を中心とした中央官庁で対前年度比104%の556億円、地方自治体で対前年度比93%の593億円、NEXCO3社を中心とした高速道路会社で対前年度比97%の2,613億円、鉄道・運輸機構をはじめとする鉄道会社で対前年度比129%の359億円という内訳だった。工事種別の受注は新設は対前年度比96%の2,182億円、補修・補強は同98%の2,004億円という内訳だった。

 23年度の発注は、22年度を下回り3,500~4,000億円程度と予測している。新設は前年度をやや下回り、補修・補強は同水準になると予測している。施主別では中央官庁や自治体、高速道路会社の新設橋梁は昨年度をやや下回る一方、同補修補強は同水準と予測している。ただし、工事の内容によっては、受注予測は大きく変動する可能性がある。

 6月9日から始まる国交省、NEXCO3社、鉄道・運輸機構などとの意見交換会では、①年度工事量の安定的な確保、②働き方改革の推進、③生産性向上の推進、④PC橋の長期保全の推進、⑤PC建築(PCaPC造の建築)の推進などについて議論を交わす予定だ。とりわけ、時間外労働の上限規制については、危機感を有しており、特に集中工事が多い、高速道路のリニューアル工事については、長期の既契約工事について、見直しも働きかけていく方針だ。(井手迫瑞樹)

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