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詳細設計データと生産情報データを実工事に実装する取り組みを進める

橋建協 2022年度国内鋼道路橋受注量は前年度(188,187t)並みを見込む

公開日:2023.03.06

 日本橋梁建設協会(髙田和彦会長、右肩写真)は3日、東京・TKP新橋カンファレンスセンターで専門紙各社との意見交換会を開催し、国内鋼道路橋の受注実績や活動状況を説明した。当日は髙田会長をはじめ、協会から20人が出席し、DXの推進、資材価格高騰の影響、担い手の確保などで意見交換を行った。
 2022年度第3四半期の会員31社の国内鋼道路橋受注量は104,531tで、前年同期比88.1%となっている。発注者別では、直轄が前年同期比82.2%の36,007t、高速道路会社が同84.3%の42,178tと減少したのに対して、地方自治体が同125.0%の22,883tと増加した。受注金額ベースでは前年同期(2,740億円)よりも453億円減の2,287億円となった。このうち、新設工事は1,898億円、更新工事は11億円、保全工事は377億円で、更新・保全工事が全体の17.0%を占めている。
 2022年度通期と2023年度の見通しについては、「第4四半期の発注量が増加しており、2022年度は昨年度と同程度(188,187t)を見込んでいる。2023年度は期待する大型物件の発注が遅れているが、悲観的な市場環境ではなく、着実にさまざまな工事が発注されると考えている。現時点では、爆発的な発注増を期待するのは難しく、20万tを目標としたい」(髙田会長)との見解を示した。

 協会の重点活動テーマのひとつである「DXの推進」では、i-Bridge適用工事の登録が2021年度は41工事、2022年度が2月末までで23工事となっていることや、製作工場での遠隔臨場検査の課題、ミルシートのデジタル化、災害時の鋼橋点検を効率化するシステム「B-MAP」の進捗状況などが報告された。
 製作工場での遠隔臨場検査では、撮影者の増員と撮影スキルが必要、検査日の数日~1週間前に社内検査記録の提出をしなければならない場合がある、などの課題があり、協会では遠隔臨場検査要領の関係機関への改善提案を行うとともに、その標準化を進めていく。
 日本鉄鋼連盟と共同で進めているミルシートのデジタル化については、さらに記載事項のデジタル化を進めて施工計画や帳票作成の効率化が図れる「DXミルシート」とするためのシステム検討を協会で行っている。
 B-MAPは橋梁データの入手とインプットが課題となっていたが、国土交通省の道路データプラットフォーム「xROAD(クロスロード)」を活用して、今後、インプットを進めていく。
 さらに、協会では、鋼橋の詳細設計データを工場の生産情報データに連携させるために、設計情報属性ファイル交換標準という仕様を構築していたが、実際の工事への実装ができていなかったため、建設コンサルタンツ協会と実装のための共同開発を近々開始することが報告された。

 資材価格の高騰については、物価資料への積算価格の迅速な反映やスライド条項の弾力的な運用はなされているが、それでも積算価格と実勢価格との乖離が生じていることから、一層の迅速化を関係機関との意見交換会で要望しているとした。

 担い手確保のための協会広報活動では、若手社員による戦略広報WG(みかんプロジェクト)で、SNSによる橋梁業界の魅力発信を継続して展開しているほか、2022年度には現場見学30箇所(1.838人参加)、出前講座26講義(1,090人参加)を実施した。小学校での出前講座が好評だったことから、2023年度にはこれまで未実施だった中学校でのイベントを計画している。



2022年度第3四半期時点の受注実績(橋健協提供)

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