天草未来大橋P14~P15では国内最大級の支間長100mの送出しを実施
熊本県 天草未来大橋(1,148m)を含む本渡道路が開通
熊本県が建設を進めていた天草上島と下島をつなぐ「天草未来大橋」を含む「本渡道路」(延長約1.3km)が2月25日、開通した。同道路の大部分を占める天草未来大橋は橋長1,148m(幅員9.5m)で、上部工形式は、PC5径間連続中空床版橋(153m/G1)+鋼4径間連続細幅箱桁橋(200m /G2)+鋼4径間連続細幅箱桁橋(191m/G3)+鋼3径間連続鋼床版箱桁橋(236m/G4)+PC6径間連続中空床版橋(180m/G5)+PC5径間連続中空床版橋(156.5m/G6-1)+PC単純中空床版橋(31.5m/G6-2・3)だ。
天草未来大橋を含む本渡道路の全景(上島側から。熊本県提供)
天草未来大橋を含む本渡道路の全景(下島側から)と同道路概要図(熊本県提供)
天草市民センターホールでの開通式典(熊本県提供)
天草未来大橋概要図(建設時のもの)(弊サイト掲載済み。以下、同)
陸上部のPC中空床版橋上部工は固定支保工架設により施工していった。ヤードが工場施設と会社事務所(G1)および住宅(G5とG6)と隣接していたために手狭であり、調整や施工計画の変更などが必要になったほか、資材の搬出入で工夫を行いながら架設を完了させた。
G1の施工
G5(左)とG6(右)の施工
渡海部で航路部となるP6~P7間(G2)とP14~P15間(G4)は送出しにより桁架設を行った。G2のP6~P7の支間長は65.7mで送出し長98.5mを合計4日間で施工。G4のP14~P15は支間長100m、送出し長160mに達する国内最大級のもので、さらに送出し部材長約170.5m、総重量約714tの曲線桁を2.27%の上り勾配で送り出さなければならない難易度の高い工事となった(送出し日数は合計8日間)。
P6~P7径間の送出し
P14~P15径間の送出し
本渡道路は、天草市中心部と熊本都市圏を結ぶ全長約70kmの地域高規格道路「熊本天草幹線道路」の一部で、その西側の起点部に位置する自動車専用道路。開通前まで上島と下島を結ぶ唯一の橋だった国道266号天草瀬戸大橋は交通量約30,000台/日に達していたことから、同橋周辺では朝夕の通勤時間帯や休日などに慢性的な渋滞が発生し、毎朝の渋滞は上島側で2kmを超えていた。その渋滞緩和と災害時の代替路としての機能が開通により期待されている。
設計は、G1がオリエンタルコンサルタンツ・水野建設コンサルタントJV、G2~G4がオリエンタルコンサルタンツ、G5~G6が日鉄鉱コンサルタント・十八測量設計JV。
下部工施工は、A1~P5が共栄建設、P6が礎・共栄JV、P7が苓州・藤本JV、P8が礎・オオマスJV、P9~P10が藤本組、P11~P13が吉永産業、P14が前川・吉永JV、P15が中村・共栄JV、P16~P19・P22・P25~P26が礎、P20~P21が吉田組、P23~P24がオオマス、P27・A2が苓州建設工業
上部工施行は、G1がコーアツ・共栄・礎JV、G2~G4が日立造船、G5がピーエス三菱・苓州・オオマスJV、G6が日本ピーエス・中村・前川JV。
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