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透水抑制率は96%、塩化物イオン浸透抑制率も90%に達する

クラタ・テクノシステム シラン系撥水材『ペネトラントシラン』を4月から発売

公開日:2023.03.16

 クラタ・テクノシステムは、コンクリート構造物の長寿命化用途向けにシラン系撥水材『ペネトラントシラン』を4月から発売する。主材であるアルキルアルコキシシランが有効成分の97%を占めており、極めて高濃度であるため、含浸深さはW/C=50%のコンクリートで5.2~5.5mmの撥水層を形成することが可能で、透水抑制率は96%、塩化物イオン浸透抑制率も90%に達する(いずれもJSCE-K571-2100(土木学会)に基づく品質評価試験に拠る)など「コンクリート構造物の耐久性向上に大きな効果が期待できる」(同社)。

従材にはシリコーン樹脂を用いている「無溶剤型のシラン系撥水材」
 氷点下でも施工可能

 同製品の名称であるペネトラントシランとは直訳すると「よく浸透するシラン」である。主材はほかのシラン系撥水材と同様にアルキルアルコキシシランであるが、従材にはシリコーン樹脂を用いている「無溶剤型のシラン系撥水材」(同社)である。水系の撥水材と異なり氷点下でも施工可能という長所を有する。また、他のシラン系撥水材と同様にコンクリート表面に強固な撥水層を形成するため、水や塩分の浸透を抑制しつつ、コンクリート内部の水蒸気は透過させることが出来るため。塩害、ASRなどによる損傷の抑制に寄与できる。

 施工はまず、コンクリート表面のサンダーケレン、高圧洗浄および下地調整を施した後、養生、簡易清掃を行った後、コンクリート表面含水率が8%以下になった状態で、1m2あたり200gを1工程で、ローラーまたは刷毛で塗布する。塗布後は施工面を1週間程度保護しておけば、冒頭に示した撥水層および水や塩分の浸透抑制効果が発揮できるようになる。


1m2あたり200gを1工程で施工する。ローラーまたは刷毛で塗布する

 塗布量は表面被覆とは異なり、ゲージなどで膜厚を図ることはできない。そのため基本的には使用料で管理する手法を取る。撥水層の確認は構造物の本体のコアを抜いて確かめることが最適ではあるが、本体構造物に損傷を与えてしまうことになるため、次善策として現場で試験体を用意し、構造物本体に塗布すると同時に試験体にも塗布し、1週間後に割裂させて撥水層の形成状況を確認する試験を行うことなども想定している。


富山市の補修オリンピックで試験施工後の完了状況(富山市が所管する開発陸橋の橋脚に施工)

 また、厳しい塩害が予想される箇所や、既に塩害による損傷が生じてしまっているような箇所に対しては亜硝酸塩系防錆材でなどと併せて使用することにより複合的なコンクリート耐久性向上策も提案していく方針だ。
 材料価格(材工価格は検討中)はm2あたり2,640円を予定している。
 今後は本社のある東京だけでなく他地方にも販売拠点を作り、高速道路会社や国土交通省などを中心に積極的に営業を進めていく。

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