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2台のクレーンを用いて両開きで施工

NEXCO東日本 上信越自動車道 蓬平工事 合成頂版の架設が進む

公開日:2022.11.07

 NEXCO東日本関東支社長野工事事務所は1日、上信越自動車道 蓬平工事(施工:フジタ・エム・エム ブリッジJV)の現場を公開した。同工事は、坂城IC~更埴JCT間に位置する蓬平地区ののり面地滑り対策工事で、本線に291mのボックスカルバートを建設して、その上部に約18万m3の押え盛土を設置するもの。2018年6月に跨道橋撤去の準備工から現場着手し、上下線車線シフトのための仮設土留め工、門型ラーメンカルバートの基礎工を経て、側壁部・中壁部躯体構築までが完了、現在は合成頂版の架設が行われている。


蓬平工事 施工ステップ(NEXCO東日本提供)

 同架設は、10月12日から昼夜連続対面通行規制を実施して、下り線を通行止めとしたうえで夜間に行っている。NEXCO東日本では交通への影響を考慮して規制延長を短くする取組みを行ったという。山間部でトンネルと橋梁が連続する区間ではあったが、渡り線の位置を検討するなどして対面通行延長を約3kmとすることができた。
 合成頂版は中壁部頂部のT型部材と、側壁部頂部からT型部材を繋ぐL型部材で構成されている。部材はH-800×300を加工した3本を1部材としており、T型部材(横方向3.9m×縦方向3m×鉛直方向3m、重量5.6t)は97部材、L型部材(横方向11.4m×縦方向3m×鉛直方向(L型の短い部分)3m、重量14t)は97部材×上下線=194部材に達している。


合成頂版 断面図(NEXCO東日本提供)

 T型部材の架設から開始し、現場公開当日は下り線側のL型部材の架設を行っていた。施工は、カルバート中央部から2台のクレーンを用いて長野側と高崎側に向かって両開き(2班体制)で進めている。長野側が220t吊オールテレーンクレーン、高崎側が130t吊オールテレーンクレーンで、長野側が220t吊となっているのは跨道橋下での架設があり、ブーム長と角度、負荷率を検討したことによるものだ。実際の跨道橋下での架設では部材を吊りながら、ブームを伸縮させるなどの慎重な作業が要求されたという。
 1日の標準工程は21時に作業を開始、L型部材は1日あたり8部材(1班4部材×2班)の架設を行う(T型部材は16部材/日)。所定位置への設置後、高力ボルトによる本締めまで夜間に完了させている。部材数が多いことから架設時に部材の高さと傾きがずれると全体の接合ができなくなるため、その数値を1部材ごと管理しながらの作業になっているとのことだ。公開当日は、2部材目を22時過ぎにトレーラー上から吊上げて10分程度で所定位置に到達させ、固定作業に入っていた。昼間は底鋼板の添接作業や躯体と合成頂版を剛結するためのコンクリート工を実施している。


高崎側の施工。T型部材の架設は完了している(左写真)。トレーラーで運搬されたL型部材を架設していく


長野側の架設。蓬平橋(跨道橋)上から撮影

 下り線のL型部材架設完了後は同線がカルバート(トンネル)構造となるため、照明設備などの設備・附属物工を行い、12月20日に対面通行規制を解除する予定だ。上り線のL型部材架設は来春を予定しており、その後、コンクリート打設を行って頂版部躯体構築後、盛土工を実施していく。本工事は盛土工3万m3までで、工期末は2024年12月18日となっている。残りの15万m3の盛土工は別工事で工期は約2年を予定している。
(後日、『現場を巡る』で本工事の詳細版を掲載します)

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