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見学会では橋梁伸縮装置点検車や橋梁点検ドローンなどを展示・説明

NEXCO中日本 点検新技術などを集約する「i-MOVEMENTショーケース」を開設

公開日:2022.10.31

 中日本高速道路(小室俊二社長、右写真)は28日、伊勢原保全・サービスセンターで「i-MOVEMENTショーケース見学会」を開催した。同社グループでは、「高速道路を取り巻く環境が大きく変化しているなかで最先端のICT技術やロボティクス技術などの導入により、高速道路モビリティの進化に貢献する革新的なプロジェクト『i-MOVEMENT』を推進している」(小室社長)。
 各保全・サービスセンターなどで実証している技術や検証を完了して本格導入する技術を集約し、本格導入していくのが「i-MOVEMENTショーケース」だ。伊勢原保全・サービスセンターと川崎道路管制センターに開設し、各新技術や変革された業務プロセスをまとめて実際に活用・実行することで、保全業務全体のマネジメントや生産性などがどのように変わるのかを検証していく。また、同社グループ内や外部に対して「i-MOVEMENT」の取組みを紹介する場としても活用する。
 同社では現在、24カ所ある保全・サービスセンターと高速道路事務所すべてで、テーマを設定してマザー現場としてさまざまな技術の検証を進めている。また、ポッドホールによる路面損傷や事故などの現場で発生する緊急対応については、同社が第一発見者となれるようにi-MOVEMENTの推進により「全線監視」体制を構築していきたいとした。
 見学会では、橋梁伸縮装置点検車や施設構造物変状検知システム、橋梁点検ドローン、侵入車両AI検知システムなどの展示・説明が行われた。

■橋梁伸縮装置点検車(ROAD CAT)
 時速80kmで走行しながら伸縮装置の直上通過時の音や振動を測定し、健常時データとの比較により健全度の評価ができる。現在、名古屋支社管内で定期的に計測を実施しており、来年、その検証を行っていく。システムは小形マイクロホン、振動センサ、レーザー変位計で構成され、他車両にも搭載が可能なことから、将来的には日常点検車やパトロールカーなどにも搭載して、伸縮装置に関するビッグデータの取得を目指している。


橋梁伸縮装置点検車(ROAD CAT)

■施設構造物変状検知システム(DSCV)
 撮像車両は時速100kmで走行しながら、8Kカラーラインカメラによる高精細画像を取得できる。撮像した対象設備の写真をAI処理することにより、過去データとの比較などから統一的な基準による点検結果の判定が可能となる。


施設構造物変状検知システム(DSCV)

■橋梁点検ドローン(構造物点検調査ヘリシステム SCIMUS)
 展示機体は、これまでに3機実用化されているSCIMUSの後継機で、ドローンの自己位置測定、衝突回避、自動機能飛行に加え、地上に設置したトータルステーションの自動追尾による測位情報の追加により、非GPS環境下でも安定して自動航行が可能となっている。検証は完了していて、来年度に実導入される予定だ。さらに、点検画像品質確認ツール(IIQC)を用いることにより、撮影後すぐに現場で撮影画像の品質チェック(100枚で5分程度)ができるため、1枚ずつ点検員が確認、判別を行うといった作業を省力化できる。


橋梁点検ドローン(構造物点検調査ヘリシステム SCIMUS)

■侵入車両AI検知システム・誤進入車両感知システム「みはるんだー」
 NEXCO中日本管内では、規制作業内の車両侵入事故が年間150件発生している。現場作業員の安全性を向上させるものとして、システムのディスプレイに規制範囲をタッチペンで指定することでAIにより進入しているのが車両か人かを見分け、車両の場合は警告音が鳴る「侵入車両AI検知システム」を開発している。また、誤進入車両感知システムは、ラバーコーン上部に光電センサー(みはるんだー)を取り付けることで、コーンとコーンの間に車両が誤進入すると警告音が鳴るというものだ。


侵入車両AI検知システム(左)と「みはるんだー」(右)のデモンストレーションが行われた

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