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SMH(スマートメンテナンスハイウェイ) 災害対応力の強化、点検の高度化などを目指す

NEXCO東日本 高速道路リニューアルプロジェクトの進捗率は今年度末に約3割に達する見込み

公開日:2022.10.26

 東日本高速道路(由木文彦社長、右肩写真)は26日、本社で定例会見を開催し、高速道路リニューアルプロジェクトやSMH(スマートメンテナンスハイウェイ)、東京外かく環状道路工事の現況などについて説明を行った。
 高速道路リニューアルプロジェクトの現在の進捗率は、契約ベースで約2割となっており、今年度末には約3割に達する見込みだ。今年度の床版取替工事は昨年度より15箇所多い29箇所、トンネルのインバート設置工事は1箇所増の4箇所で、「中期経営計画に沿って着実に推進を図っている」(由木社長)。首都圏の工事に順次着手するなど、リニューアルプロジェクトが本格化するなかで、「業界など関係者の皆様には、お客様や周辺地域の皆様への影響を極力抑えて工事を行うための新技術や新工法の積極的な開発・提案を期待している」(同)と述べた。
 また、土工部の舗装損傷などの新たな劣化・損傷が判明し、事業追加の必要性が明らかになってきていることから、関係機関と調整しながら新しい取組みを検討していく考えを示した。

 SMHは、2020年度からの道路保全業務のプロセス改革を中心とした第1期を経て、2022年度から各種ツールの開発、検証を行う第2期に移行しており、災害対応力の強化、点検の高度化を目指すとともに、施設管理や交通管理分野への展開を目指している。その具体的な取組みとして、GIS(地理情報システム)を活用した情報の一元管理による道路管理の高度化やロボティクス技術導入による点検業務の高度化を挙げた。道路管理の高度化では、地図情報と高速道路関連情報、さらに災害関連などの情報をGISの基盤で一元管理することにより、災害や事故通行止めなど有事の際における迅速な対応が可能となる。今年12月から現場試行を開始する予定だ。

 点検業務の高度化では、非GNSS環境下(GNSS:GPS等衛星測位システムの総称)でも飛行ができる球体ドローンの実証実験を昨年度から開始している。機体を球体ガードで囲んでいるために衝突耐性を有しているほか、高輝度LED照明により、暗所でも鮮明な撮影ができることが特徴だ。そのほか、検査路が設置されていない主桁間の床版下面等の点検にすでに活用されている「スパイダーeye」や高橋脚の点検業務で検証を進めている「壁昇降点検ロボット」が紹介された。


実証実験中の球体ドローン(左)/スパイダーeyeと壁昇降点検ロボット(右)

 東京外かく環状道路の大泉JCT本線トンネル(南行)工事については、4月に発生したシールドマシン破損の補修が完了したため、11月1日から事業用地内での掘進作業を再開する。施工にあたっては、「再発防止策が機能していることを丁寧に確認し、施工状況や周辺環境をモニタリングしながら、細心の注意を払いつつ慎重に進めていく」(同)とし、約620mの掘進を行う。事業用地外への掘進については再発防止策の機能確認を行ったうえで関係者への説明の場を設けるとしており、その時期は未定となっている。


掘進停止時のシールド機位置と事業用地概要(4月発表資料から/編集部で一部加工)

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