長井正嗣氏(長岡技術科学大学名誉教授)に伊藤學賞を授与
橋建協 「橋梁技術発表会及び講演会」を開催し、約320人が参加
日本橋梁建設協会(髙田和彦会長、右肩写真)は7日、東京・中央区の銀座ブロッサムホールで、「令和4年度橋梁技術発表会及び講演会」(東京地区)を開催した。18回目となった今回は、会員社をはじめ官公庁、高速道路会社などから関係者約320人が参加した。髙田会長は開会の挨拶で、「技術発表会は橋建協として一番大切なイベント」と述べたうえで、「近年、鋼橋の発注量が低迷していたが、阪神高速道路での大型プロジェクトの発注が目前に迫り、下関北九州道路での長大橋建設計画も動き出している。保全事業では大型の改築工事、耐震補強工事が多数発注されており、我々の技術をさらに磨いていかなければならないと強く感じている。また、激甚化する自然災害により毎年、橋梁の崩壊、損傷が発生しており、橋建協はその対応を求められているとともに、DX、GXといった新しい技術の創造も求められている。この技術発表会を通じて、新しい活用技術を共有したい」と語った。
技術発表では、「鋼橋におけるDXの取り組み ~鋼橋事業の生産性・安全性の向上~」と題してDX推進特別小委員会の嵯峨山剛委員長が発表を行い、次いで「曲線細幅箱桁橋の試設計について ~H29道示による設計の留意点~」と題して設計小委員会の掘井滋則委員長が発表を行った。
特別講演では、東京都立大学客員教授の野上邦栄氏が「吊形式橋梁の長大化とケーブル設計」というテーマで、国内外の長大吊橋・斜張橋プロジェクトを紹介した後、川崎臨港大橋での主塔低塔化や長大多径間吊橋の大学での研究などを例に挙げながら構造形式や安全性能検討について語り、ケーブル設計法に関する最近の動向についても説明を行った。結びでは今後の吊形式橋梁では、長大化のための技術開発、技術継承、維持管理の高度化が求められると訴えた。
会場の様子/特別講演を行った野上邦栄氏
今年度の「伊藤學賞」「技術功労賞」「奨励賞」の表彰式もあわせて行われ、伊藤學賞が長井正嗣氏(長岡技術科学大学 名誉教授)、技術功労賞が永山弘久氏(宮地エンジニアリング 顧問)にそれぞれ授与された。長井氏は表彰式後の記念講演で、伊藤學先生や橋建協と関わりの深いプロジェクトについて紹介し、少数主桁橋など構造のシンプル化への取組みなどを語った。奨励賞は下記の9人が受賞した。
▽小谷祐樹氏(川田工業 生産統括部生産開発室係長)▽中野克俊氏(横河ブリッジ 生産本部大阪工場製作第二課長)▽石部智之氏(横河ブリッジ 設計本部東京設計第一部)▽岡本裕氏(川田工業 東京本社鋼構造事業部技術部東京複合課主任)▽坂戸宣彦氏(JFEエンジニアリング 改築事業部技術部)▽島宜範氏(IHIインフラシステム 海外プロジェクト室プロジェクト部ブレイラPJグループ主査▽本山潤一郎氏(エム・エムブリッジ 技術部設計グループ主事)▽吉岡夏樹氏(駒井ハルテック 技術開発本部橋梁設計部東京設計課)▽升本和喜氏(日本ファブテック 工事統括部工事部工事課)
髙田会長から表彰状を授与される長井正嗣氏。表彰式後に記念講演を行った
挨拶をする永山弘久氏