道路構造物ジャーナルNET

年次学術講演会数は3,487、約6,500人が聴講

土木学会 3年ぶりとなる対面形式の全国大会を京都で開催

公開日:2022.09.19

 土木学会(会長=上田多門氏・北海道大学名誉教授、右肩写真)は14日から16日の3日間、国立京都国際会館(14日)と京都大学吉田キャンパス(15日~16日)で令和4年度土木学会全国大会を開催した(12日~13日にはオンラインのみで研究討論会を実施)。対面形式での3年ぶりの開催となった今回、年次学術講演会はコロナ禍前の水準とほぼ同等となる3,487講演が行われ、同聴講登録者は6,423人に達した。
 15日の総括記者会見で、上田会長は今大会で実施された全国大会初の試みとして以下の3点を挙げ、「今後の大会のモデルとなった」と述べた。一点目は、今大会のテーマ「『文明化された社会』をこえて ――土木学のめざすもの」を決定するにあたり会長自身が実行委員会と事前に話し合い、会長の基調講演に反映させたこと、二点目は、国際関連行事をほかのプログラムと連携させることにより、参加しやすくしたこと――である。これまで国際関連行事は時間帯と開催場所が独立して決められていたため、連携が難しかったという。三点目は、対面とオンライン形式のハイブリッド型開催であり、双方の良さを活かすことができたと総括した。
 当NET記者の「激甚化する災害における土木学会および全国大会での対応は」の質問に対しては、「学会として災害発生にすぐ対応できる仕組みを整えている」(上田会長)とし、今年8月の東北・北陸地方を中心とした水害では山形県と新潟県に調査団を派遣したこと、全国大会では「残念ながらではあるが」災害報告会を実施していることを挙げた。これに関連し、今大会で実施された「2021年10月に発生した六十谷水管橋崩落 調査報告会」(関西支部主催)では会場が満員となり、その関心の高さとともに「自治体がインフラを維持管理していく難しさを理解してもらえた。京都府、京都市にも働きかけを行い、多くの方に来場いただけた」(全国大会実行委員会幹事長=勝見武氏・京都大学教授)との報告がなされた。
 さらに、「構造物の基準を耐震の観点から決めてきたが、今後は水害の観点も入れて決める必要があるのではないか」との質問に対しては、「地震に対しては科学的なアプローチで耐震を行い、構造物の被災がかなり減少した。それと比較して、河川、海岸、山、土に対する災害は起こり続けている」(上田会長)と述べ、「耐震は人工物に対する対処だが、山の崩落や川の氾濫などは現状、人知を超えてどこで発生するか分からないものなので、難しい対処となる」との見解を示した。
 2023年度の全国大会は9月11日~15日の日程で、11日~12日がオンライン、13日が広島国際会議場、14日~15日が広島大学東広島キャンパス、同・東千田キャンパス、広島工業大学の3会場で開催予定だ。


対面形式での開催は3年ぶり。多数の参加者が来場した

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