現場で現物に接しながら現実をふまえて課題に臨む
NEXCO東日本 由木文彦新社長が就任会見
東日本高速道路は28日、本社で由木文彦社長(右肩写真)の就任会見を開催した。同日の株主総会後の取締役会で社長に選任された由木社長は挨拶で「将来を見通すことが難しくなってきている昨今の情勢のなかで変革を成し遂げていくためには、日々の選択や行動、習慣で小さな変化を積み重ねていくことが大切である。そのためには、現場において現物に接しながら、現実をふまえて課題に臨んでいく姿勢を忘れないようにしたい」と述べ、事業の推進にあたり、「すべての根底を支えるのは、安全を優先させながらお客様第一に、現場を大切にして仕事をすることであると考えている。この思いをグループ全体で共有しながら、社員が積極果敢に業務に取り組み、生き生きと働けるように自由闊達な意見交換をしながら、NEXCO東日本グループを社会に役立つ、より良い企業にするべく先頭に立って前進していきたい」と抱負を語った。
激甚化している災害に対しては、「常に心構えを持ちつつ対応していかなければならない課題」としたうえで、災害発生時に最小限の被害で復旧するために、「知見や経験を社内全体で共有し継承していくことが重要であるとともに、さまざまな新技術を活用して対応していきたい」と見解を示した。また、「事前防災」の重要性についても強調し、その例として自治体管理のロッキングピアを有する跨道橋の耐震補強を進めていることや、予防的交通規制を実施していることを挙げた。ロッキングピアの耐震補強は今年度に完了する予定となっている。
リニューアルプロジェクトについては、「計画に従い、床版取替工事などを実施しているが、今後、さらに工事件数が増えてくる。計画どおりに遂行すべき事業を万全な体制で遅れることなく進めていくことが、我々の使命だと考えている。工事量が増えれば現場が大変になるので、本社としてもコミュニケーションをとりながら、確実な施工ができるようにしていきたい」と述べた。償還期間の延長に関しては、「制度的なことなので全体の中で決めるべき課題」としたうえで、管内には雪氷地域が多いことから構造物の損傷が進んでいる現状もふまえ、「計画中のものですべての事業が完了するとは思っていない。高速道路を永続的に使い続けるために財源の確保が必要であれば、国土交通省などに的確に現状を伝えていきたい」とした。
資機材の高騰については、「仮に契約変更などが必要になれば、スライド条項もあるので施行者と情報交換をしながら対応していく」との考えを示した。
外環のシールドトンネル掘削時に発生した地表面陥没・空洞事故は「社を挙げて取り組まなければならない最大の課題」とし、現在、再発防止策の検討、地盤補修、被害に対する補償などの対応をしているが、何よりも「住民の不信感、不安感の解消を最優先に会社を挙げて取り組み、信頼の回復に誠心誠意努めていきたい」と決意を語った。
■由木文彦(ゆき ふみひこ)氏略歴
1983年東京大学法学部卒業、建設省(現国土交通省)入省。国土交通省都市計画課長、京都市副市長、国土交通省住宅局長、同総合政策局長などを歴任後、2018年国土交通審議官、2020年復興庁事務次官。島根県出身、61歳。