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撤去作業の安全性を高めるため橋脚上および足場上からブロックで解体

新濃尾大橋(仮称)の桁架設で手延べ桁撤去用に『桁回転装置』を開発

公開日:2022.05.16

 愛知県が事業を進める新濃尾大橋(仮称)上部工事の左岸側(愛知県側、P5~A2間336m)では手延べ機を用いた送出し架設が行われており、現在手延べ機はP5橋脚に到達している。P5橋脚上では、手延べ機1ブロック分を送り出し、張り出した状態で手延べ機を撤去する送出しの最終局面に入っている。手延べ機の撤去に用いる機械は、施工時期が出水期であり河川部で桟橋が使えないこと、また、撤去作業の安全性を高めるため橋脚上および足場上からブロックで解体できるように、横河ブリッジとオックスジャッキは新たに『桁回転装置』を開発している。4月27日にはその1回目の施工が行われた。(井手迫瑞樹)

搭載能力70tの自走台車上に各種設備を搭載
 2段階で90°回転させトラベラークレーンで桁上運搬台車に積み替え

 同装置は、すでに設置されている手延べ機を回転・撤去する装置であり、搭載能力70tの自走台車上に、撤去する手延べ機(以下、撤去桁と呼ぶ)を固定する吊天秤、巻上げ支持するためのタワーとウインチおよび2セットのジャッキで構成されている。


桁回転装置

 回転の準備作業は、まず撤去桁に吊天秤を設置し、台車をボルト継手部後方の計画位置まで後退させ、レールクランプジャッキで桁回転装置と後方手延べ機とを固定する。次に、ジャッキを使用してタワーを鉛直まで建て起こす。最後にウインチを巻き上げて撤去桁の荷重を桁回転装置で受け替え、継手を撤去して準備完了となる。回転は第一段階として、ウインチで巻き上げて撤去桁を鉛直まで回転させ、タワーと撤去桁とをボルト固定する。第二段階として、メインジャッキで引き戻してタワーを約60度回転させ、最終的にサブジャッキに切り替えて約30度回転することで水平状態にした(下写真)


桁回転装置を用いた手延べ桁ブロックの撤去状況

 撤去桁は、桁回転装置に載ったまま手延べ機と本設桁の境目まで運ばれ、本設桁上に配置したトラベラクレーン(350t・m級)でクレーンの背後に設置している桁上運搬台車に積み替えられた。桁上運搬台車は桁上をA2側へ250m移動後、後方台車上へ乗り移り、桁上の運搬は完了となる。後方台車は撤去桁を桁上運搬台車とともに荷おろし用クレーン位置へ運ぶための台車であり、後方桁から切り離し所定の位置まで運搬した。撤去桁は、桁上の作業のみで堤防上まで運ばれ、ブロックで地面に荷おろしされていた。一連の作業終了後、後方台車は元の位置まで戻り、再設置して、次の運搬に備えていた。

桁回転装置に乗せたまま移動/トラベラークレーンで桁上運搬台車に積替え

桁上運搬台車の移動/後方台車が分離して、吊降ろしに使うクレーンまで移動/クレーンで吊降ろし

 本設桁が鋼2主箱桁であることから、手延べ機は左右に2本配置されている。初回は起点からみて左側のブロックを撤去したが、続いて右側のブロックを撤去するためトラベラクレーンで桁回転装置を吊り上げ、右側の手延べ機上へ盛り替えていた。手延べ機の1ブロック当たりの長さは7.2m、重さは6~16tある。手延べ機は全部で2本×64mあるが、これを実働1か月程度で解体し終える予定だ。元請は横河ブリッジ・JFEエンジニアリングJV。一次下請はミック、オックスジャッキなど。(新濃尾大橋(仮称)については、6月下旬に『現場を巡る』で詳細にレポートします)

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